エンジニアの仕事が知りたい!種類別の仕事内容や求められるスキルも

スマートフォンのアプリや、クラウドサービス、ITシステムの便利さに触れ、エンジニアの仕事に興味を持った人は多いのではないでしょうか?エンジニアの仕事はもちろん、種類ごとの特徴・求められる能力などを解説します。未経験からエンジニアに転職するまでのステップも確認していきましょう。

エンジニアの主な仕事はシステム提供

プログラミング画面

(出典) photo-ac.com

エンジニアの代表的な仕事は、コンピューター・ソフトウェアなどの技術を使って開発したITシステムを提供することです。システム開発を行う企業の多くが、クライアント企業からの依頼を受けてシステム開発を行う受託開発を行いますが、その他にも自社で提供するサービス・アプリの開発であったり、自社で利用する社内システムの開発などを行う場合もあります。

ここでは依頼を受けてからシステムを提供するまでの代表的な工程や、エンジニアの仕事ならではの特徴を解説します。

システムの設計・分析・稼働など

クライアント企業へのシステム提供を担うエンジニアの仕事の場合、自由にシステムを開発するのではなく、クライアントの要求を分析してニーズに沿ったシステムを提供する必要があります。

そのため、クライアントからITシステムの導入依頼を受けたエンジニアは、要望・予算などのヒアリングを行います。クライアントの要望・予算などを踏まえた上で、ITシステムの全体像(スコープ)を策定し、何を実現する必要があるかといった要求仕様を明確化し、クライアントと合意ができればシステム開発がスタートします。

システム開発は設計、開発、試験などの工程を経て、完成したシステムを企業に導入するための本番環境へのインストール、初期設定であったり、ユーザマニュアルの作成や利用法のレクチャなどもエンジニアの業務に含まれることがあります。

システムが稼働してからは、障害・事故などが起きないように稼働中のシステムを監視したり、障害が発生した場合、トラブルに対応を行う場合もあります。

工程ごとに専門のエンジニアが関わる

エンジニアがクライアントから依頼を受け、システムを提供するまでの代表的な流れは、以下の通りです。

  1. 要望・予算などをヒアリング
  2. 要求を分析してシステムを設計
  3. プログラミングを行ってシステムを構築
  4. 動作の確認・テスト
  5. システムの納品・稼働
  6. システムの監視やメンテナンス

システムをつくりあげるためには、ソフトウェアを開発するためのプログラミングスキルのほか、ネットワークやサーバー、OS(オペレーションシステム)などのインフラに関する知識、ミドルウェアとして利用するOSS(オープンソースソフトウェア)やユーザーが利用する画面表示の設計や開発など、幅広い対応が求められます。

そのため、プロジェクトの工程や利用する技術に合わせて、専門性の高いエンジニアを配置し、分担して作業を行う形でシステム開発を行うことが一般的です。

エンジニアの種類・仕事内容もチェック

パソコン作業とメモ

(出典) photo-ac.com

IT技術に携わるエンジニアは工程・仕事内容を分担して業務にあたるため、複数の種類に分けられています。開発・インフラ・セールスの3つのグループに分け、仕事内容・含まれるエンジニアなどを紹介します。

開発の業務に携わるエンジニア

クライアントに提供するシステムの開発に携わるエンジニアの主な種類は、以下の通りです。

  • システムエンジニア
  • バックエンドエンジニア
  • フロントエンドエンジニア
  • テストエンジニア

システムエンジニアは、クライアントからのヒアリング・システムの設計から技能に関するシミュレーション・調整まで、幅広く対応します。システムエンジニアが作成した考えた設計書に基づいて、バックエンドエンジニアやフロントエンドエンジニアがプログラミングを行います。

バックエンドエンジニアは、主としてシステムの業務ロジックを実装するエンジニアです。バックエンド側の開発では、ユーザの操作や定時実行などを起点として、システムの中で行われる処理をJavaやPythonなどのプログラム言語を用いて実装します。

フロントエンドエンジニアは、ユーザが目にするユーザーインターフェースなどの画面表部分を担当し、ユーザが使いやすい画面をデザインすることを求められる場合もあります。フロントエンド側の開発では、バックエンドから取得したデータを画面表示したり、ユーザ操作をバックエンド側に伝えて適切な業務ロジックを実行する開発を行います。

また、PCやスマホのアプリケーション開発であれば、バックエンドとフロントエンドといった担当領域を分けずに、アプリケーション全体を担当するアプリケーションエンジニアと定義する場合もある他、家電や機械の中に組み込まれた制御プログラムなどを構築する組み込みエンジニアと定義するなど、開発するシステムに応じてエンジニアの定義が異なります。

インフラの業務に携わるエンジニア

インフラエンジニアはサーバーや・ネットワークなどのシステムを動かすIT基盤(インフラストラクチャー)を構築するエンジニアです。代表的なインフラエンジニアの分類は以下の通りです。

  • サーバーエンジニア
  • ネットワークエンジニア
  • セキュリティエンジニア

サーバーエンジニアはサーバー部分を担当し、システムが求めるサーバーのCPU、メモリ、ストレージなどを適切に設計し、OS(オペレーティングシステム)のインストールや必要なミドルウェアの構築、設定を行います。ネットワークエンジニアはネットワーク部分を担当し、ネットワーク機器の選定やの設計・構築・運用までを幅広く担当します。

サーバー・ネットワークにおける保守の部分を担当するのが、セキュリティエンジニアです。必要なセキュリティ設備やソフトをネットワークやサーバ上に配備してハッカーやウイルスの侵入を防いだり、OSやミドルウェア、開発しているアプリケーションのシステム上の脆弱性がないかを監査するなどが主な業務です。

そのほかのインフラ業務に携わるエンジニアには、データベースエンジニア・クラウドエンジニアが挙げられます。

特に、近年ではAWSなどのクラウドプラットフォーム上にシステムを構築することも多く、ハードウェアのサーバ構築だけでなく、クラウド基板上に必要なVM(仮想化マシン)やコンテナを構築したり、クラウド上に仮想化ネットワークを構築するなど、クラウド上で複数のインフラ領域に対応できるインフラエンジニアの需要が高まっています。

営業の業務に携わるエンジニア

エンジニアは、クライアントからの依頼を待っているだけではありません。そのため、企業にシステムを売り込む営業の業務に携わるエンジニアも存在します。営業の業務に携わるエンジニアとしては、セールスエンジニア・フィールドエンジニアが挙げられます。

セールスエンジニアの主な仕事は、営業現場に行ってシステムや機器を設置したり、故障対応や定期メンテナンスを行うなど現場の対応を担う職種となります。

エンジニアに共通して求められるスキル

パソコンとスマホとタブレット

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「細かな種類は決まっていないけれど、エンジニアに転職したい!」という人は多いのではないでしょうか?種類・仕事内容を問わず、エンジニアに共通して求められるスキルを3つ紹介します。

ITの基礎的な知識

エンジニアの仕事とITスキルは、切っても切れない関係です。エンジニアとして活躍するためには、ITに関する基本的な技術知識を習得しておく必要があります。

また、システムの開発には、プログラミングスキルのみならずハードウェア・ソフトウェア・データベースなどのインフラに関する理解があることも重要です。必要なセキュリティシステムを用意して、ハッキング・サイバー攻撃などから、ITシステムを守ることもエンジニアの重要な業務となります。

プログラミングの技術

エンジニアに転職するのであれば、プログラミングの基本的な技術は必須といえます。

たとえば、サーバーやネットワーク構築を行うインフラエンジニアなどの職種であっても、作業効率化のためにスクリプト言語でのプログラミングが求められることがあり、基本的なプログラミングの知識・スキルを求められるのが一般的です。

また、エンジニアの仕事の生産性はいかにフレームワーク・ライブラリなどを活用して開発を効率化するかに左右されるため、これらを活用したプログラミングの知識やスキルも身につけましょう。

エンジニア未経験でプログラミングの知識がない場合には、書籍や動画学習を使って自分で勉強したり、専門のスクールに通ったりすることも1つの方法です。

コミュニケーション能力

1つのプロジェクトを複数のメンバーで分担して行うエンジニアの仕事には、コミュニケーション能力が求められます。

システムを完成させる過程では、チームの間で意見を出し合ったり、自分だけでは解決できない問題点を相談したりするなどのコミュニケーションが欠かせません。

ITに慣れていないクライアントからの依頼を受ける可能性も十分に考えられます。クライアントの要望がぼんやりとしている場合には、エンジニアの方から予算・規模などの希望を引き出していく必要があるでしょう。

さらに、ITシステムの導入を検討している人に、自社で開発したシステムを売り込むこともエンジニアの重要な仕事です。

エンジニアの仕事をするメリットと大変さ

プログラミング作業をする女性

(出典) photo-ac.com

ITの世界で活躍するエンジニアにはやりがいと同じぐらいに、IT業界ならではの大変さがあるのも事実です。転職した後、理想と現実のギャップに苦しまないためにも、メリット・大変さの両面からエンジニアの仕事における特徴を紹介します。

需要が高く仕事が確保しやすい

エンジニアに転職する大きなメリットは、希望に合った求人を見つけやすいことです。企業はもちろん、学校・銀行・スーパーなど、幅広い分野でIT化が促進されています。

しかし、ITの普及とは対照的に、エンジニアなどのIT技術に携わる人材が不足しているのも事実です。実際に多くの企業はテレワークや資格の支援制度など、働きやすい環境を整えて人材の確保に動き出しています。

そのため、エンジニアに必要なスキルを身に付けている人ほど、好条件で働ける可能性が高まるというわけです。

参考:IT人材需給に関する調査(概要)|経済産業省

新しい技術を習得する努力が必要

多くの業界でITの技術が使われるほど、さらに高度で便利なシステムへの要求は高まります。そのため、新しいプログラミングの言語が登場したり、クラウドプラットフォームが目まぐるしく進歩するなど、ITの技術は変化が激しいのも事実です。

エンジニアとして長く働くためには、新しい技術を学び続ける必要があります。クライアントに最先端のIT技術を提供できるように、常に情報収集をしたり、自分に足りないスキルを身に付けたりするなど、絶え間ない努力が求められるのです。

未経験からエンジニアになるまでのステップ

タイピングする手元

(出典) photo-ac.com

エンジニアの種類は豊富なため、未経験から挑戦できる仕事もあります。未経験からエンジニアになる方法をチェックしましょう。

まずはエンジニアの職種を決める

エンジニアといっても、仕事内容・求められるスキルは種類によって異なります。未経験からエンジニアへの転職を目指す際には、挑戦したいエンジニアの種類を決めることが大切です。

幅広いエンジニアの中でも、未経験からチャレンジしやすいエンジニアの種類は以下の3つです。

  1. サーバーエンジニア
  2. ネットワークエンジニア
  3. フロントエンジニア

サーバーエンジニアや手順書通りに作業をすることが求められる場合が多い職種であり、シニアエンジニアのもと、ジュニアエンジニアが作業を行うことが多いため比較的未経験者が入りやすい職種です。

フロントエンジニアの主な仕事は、プログラミングを書き込んでパソコンの画面などにデザインを表示することです。HTML・CSS・Java Scriptのような、マークアップ言語やスクリプト言語を中心に扱うため、未経験からでも比較的始めやすい仕事といえます。

IT技術の資格を取得する

IT技術を扱うエンジニアへの転職を有利にするためには、ITに関する資格を取得することがおすすめです。

ITに関する資格には主に、国家資格と、民間企業が運営するベンダー資格の2種類があります。国家資格は信頼性が高い上に、1度取得すると生涯にわたって使えます。未経験からエンジニアを目指す場合には、以下のような国家資格があるとよいでしょう。

  • ITパスポート
  • 基本情報技術者
  • 応用技術者情報

中でもITパスポートは比較的難度が低く、ITの基礎知識を幅広く学べます。未経験の人はエンジニアに転職する準備として、ITパスポートの取得に挑戦してみてはいかがでしょうか?

未経験でも働ける企業に転職する

エンジニアの種類を決めてIT技術に関する資格を取得したら、転職活動をスタートしましょう。求人の条件に「未経験歓迎」のような、未経験でも働けることを示す言葉が記載されているかを確認することが大切です。

さらに、資格の取得を支援したり、研修制度が整っていたりする求人を選んでおくと、エンジニアとしてのスキルアップに役立てられます。

なお、未経験者を迎え入れている企業の多くは、求職者の年齢に独自の基準を設けている傾向にあります。求人を探す際には、企業の採用枠に該当するかを忘れずに確認しましょう。

IT社会を支えるエンジニアを目指そう

パソコンを操作する手元

(出典) photo-ac.com

IT業界で活躍するエンジニアの主な仕事は、企業などのクライアントにITシステムを提供することです。システムをつくり上げるのはもちろん、システムを導入したり、運用状況を定期的にチェックしたりすることも、エンジニアの仕事に含まれます。

1つのプロジェクトの作業を分担するため、業務内容によってエンジニアの種類が細かく分けられているのが特徴です。

中でも、サーバーエンジニア・ネットワークエンジニア・フロントエンジニアは、比較的簡単な作業もあるため、初心者からでも挑戦しやすい職種だといえます。

「スタンバイ」では、エンジニアに関する求人を幅広く扱っています。なりたいエンジニアの種類や、希望の条件で求人を検索し、転職に向けた準備を始めましょう。

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北真也
【監修者】All About デジタルガイド北真也

モバイル業界のシステムエンジニアとして18年以上勤務し、サーバやネットワークのインフラ構築から大規模システムのプロジェクト管理、設計、開発まで幅広く携わる。自身が主宰するブログ「Hacks for Creative Life!」と「アシタノレシピ」、勉強会「東京ライフハック研究会」にて実践的な仕事術を研究・発信中。
All Aboutプロフィールページ

著書:
新時代のワークスタイル クラウド「超」活用術
シゴタノ!手帳術―クラウド&スマホ×アナログ手帳で人生を楽しく自由にする方法