看護師で年収1,000万を目指す方法は?おすすめの転職先も紹介

現役看護師の中には、「年収1,000万を目指したい」と思っている人もいるかもしれません。看護師で年収1,000万円は可能なのでしょうか。看護師が年収を上げる方法や給与が高い職場の特徴も解説するので、ぜひ参考にしましょう。

看護師で年収1,000万円は可能だが難しい

カルテを手にしている看護師の女性

(出典) photo-ac.com

結論をいうと、看護師で年収1,000万円は可能ですが、かなり難しいといえます。具体的な理由や、政府による看護師の待遇改善施策を解説します。

年収1,000万は看護師の平均年収の倍近く

看護師で年収1,000万円が難しいといえる理由は、平均の倍近くの年収を稼がなければならないためです。令和3年度の賃金構造基本統計調査を参考にすると、看護師の年収は498.6万円でした。

単純に年収の高い職場で働こうとしても、相場の倍の給与を提示してくれるところは見つからないでしょう。夜勤を増やしても、今までの倍の給与を稼ぐことは現実的ではありません。

看護師として年収1,000万円を目指すなら、ただ働くのではなく、別の工夫が必要といえます。

参考:賃金構造基本統計調査 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 | ファイル | 統計データを探す | e-Stat

看護職員処遇改善評価料によって給料がアップ

2022年10月より、看護職員の待遇改善を目的として「看護職員処遇改善評価料」が新設されました。対象の施設で働く看護職員に対し、月平均約1万2,000円相当(収入の3%相当)の賃上げが行われます。

看護師だけでなく、保健師や助産師、准看護師を含む「看護職員」に適用されるものです。年収に換算すると、約14.4万円アップすることになります。

なお、看護職員処遇改善評価料との合計額の2/3以上は、基本給または毎月支払われる手当の引き上げによって支給されます。

この改革のみで年収が1,000万円に届くことは厳しいものの、働き方改革も収入アップへの追い風となっています。

看護師で年収1,000万円を目指す方法

お札と電卓

(出典) photo-ac.com

看護師として働くだけでは、年収1,000万円は難しいことがわかりました。そこで、看護師が年収1,000万円を目指すためにできる取り組みを4つ紹介します。

注意点として、下記のうち1つの方法だけで年収1,000万円に届かせることは難しいため、複数の方法を組み合わせる必要があります。自分にできることは積極的に試してみましょう。

昇進して役職に就く

昇進して看護師長のような役職に就くと、手当をもらえるようになります。すると年収もアップし、1,000万円に近づくでしょう。

ポイントは、経営者に近いポジションに就くことです。経営者に近いほど責任も大きくなりますが、その分報酬も高くなるでしょう。

手当の金額は、職場によって異なります。役職に就くには看護師としての経験も求められるため、経験年数も重要です。

ただし、役職に就くだけで年収1,000万円に届くケースはなかなかないため、他の方法も並行して行う必要があるでしょう。

副業をする

副業をして年収アップを目指す方法もあります。しかし、年収1,000万円を目指すには、本業と同じ水準の金額を稼がなければなりません。パートやアルバイトなどの時給制の仕事だけでは、なかなか目標に届かせることは難しいでしょう。

おすすめなのは、医療系ライターやブログ運営など、収入に上限がなく自分の専門知識を生かせる副業です。

自分の頑張りや実績次第で単価や報酬がアップするため、うまくいけば年収1,000万円も夢ではありません。試してみる価値は十分あるでしょう。

転職する

キャリアアップや、将来役職に就くことを狙って転職するのもおすすめです。看護部長などのポストを狙う場合、都市部の大規模病院なら年収1,000万円は射程圏内に入ります。

または、看護師の経験を生かせる一般企業へ転職する方法もあります。一般企業であれば、年収1,000万円の選択肢が増えるでしょう。

ただし、どちらの方法でも厳しい競争を勝ち抜かなければならないため、簡単な道ではありません。

転職を検討しているなら、「スタンバイ」で情報収集するのがおすすめです。スタンバイには看護師の高年収の求人を多数掲載しています。一般企業の求人も多く取り揃えているため、求人探しはスタンバイでしましょう。

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訪問看護ステーションを起業するという手も

看護師の経験を生かして起業する手もあります。看護師におすすめなのは、訪問看護ステーションの設立です。経営者になれば、頑張り次第で年収1,000万円を目指せます。

ただし、起業するとなると、看護の実務経験に加えて経営スキルも求められます。未経験からいきなり事業を成功させるのは、難度が高いでしょう。まずはスタッフとして働き、経営のノウハウを勉強してからチャレンジするのもおすすめです。

なお、訪問看護ステーションの起業には最低3名以上の従業員が必要で、提出する書類も多くあります。準備や経営を軌道に乗せるのは大変ですが、その分夢のある方法です。

看護師の年収アップにおすすめの転職先

ヒアリングする白衣の女性

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看護師の年収アップにおすすめの転職先を3つ紹介します。同じ看護師でも、働く場所を変えることで年収1,000万円を狙うことが可能です。

美容外科クリニック

美容外科クリニックの主な仕事内容は、患者の悩みをヒアリングし、適切なサービスや商品を提案することです。働き方は看護師というよりも、営業職に近いでしょう。

給与は歩合制のところが多く、患者が自社のサービスや商品を多く契約・購入するほどインセンティブとして給与に反映されます。そのため、結果を出せば年収1,000万円を狙うことも可能です。

どちらかというと、看護師としてのスキルよりも営業力やコミュニケーション能力が求められる傾向があります。ノルマが課されることもあるので、大変ではありますがバリバリ稼ぎたい人にはおすすめです。

臨床開発モニター

臨床開発モニターとは、新薬の治験や臨床試験を執り行う仕事です。具体的には、製薬会社が開発した新薬の臨床試験を受託し、治験を依頼する病院の選定や内容の説明、治験の進捗管理などを行います。

採用要件として看護師資格が求められることが多く、管理職まで上り詰めれば年収1,000万円も狙えます。

外資系企業の方が待遇はよい傾向にあるため、語学に自信があれば外資系を狙うのもおすすめです。

治験コーディネーター

治験コーディネーターも、臨床開発モニターと同じく新薬の治験を執り行う職種です。臨床開発モニターが治験のモニタリング・管理をメインに行うのに対し、治験コーディネーターは実際に患者と接して治験のスムーズな進行を担います。

そのため、どちらかというと治験コーディネーターの方が看護師経験を直に生かしやすい仕事といえるでしょう。

また、ワーク・ライフ・バランスを調整しやすいこともおすすめのポイントです。給与水準は臨床開発モニターの方が高いですが、役職に就くなど工夫次第で年収1,000万円を狙えるでしょう。

看護師の年収が高い職場の特徴

カルテと聴診器

(出典) photo-ac.com

年収1,000万円とまではいかないものの、看護師の年収が高い職場にはいくつかの特徴があります。5つ解説するので、転職を検討している場合は以下のポイントを押さえながら求人を探してみましょう。

規模が大きい

統計的に見ると、規模が大きい病院の方が給与が高い傾向にあります。「2023年病院看護実態調査報告書」では、非管理職の看護師の平均月額給与額(勤続10年・31~32歳)の調査結果を公表しています。

●99床以下:31万2,151円
●100~199床:32万2,341円
●200~299床:32万6,827円
●300~399床:33万9,992円
●400~499床:34万6,317円
●500床以上:35万8,465円

規模が大きい病院ほど福利厚生が充実しており、昇給制度などが整っていることが背景にあると考えられます。求人を探すときには、病院の規模にも注目してみるとよいかもしれません。

参考:2020年病院看護実態調査報告書|日本看護協会

私立病院

公立の病院よりも私立の病院の方が看護師の給与が高いといえます。

「2023年病院看護実態調査報告書」では、所属先ごとの平均月額給与額(非管理職の看護師・勤続10年・31~32歳)を公表しています。

国立病院の平均月額給与が34万9,836円であるのに対し、私立学校法人の附属病院は36万9,216円です。

私立病院の方が、専門領域に特化した高度な医療が提供されていることが背景にあるでしょう。看護師にも高いレベルが求められ、それが給与に反映されていると考えられます。

参考:2020年病院看護実態調査報告書|日本看護協会

自由診療がメイン

自由診療がメインの病院は、診察代を自由に設定できます。そのため収益性が高く、従業員にも還元されやすいのです。

このような施設は営利的な性格が強いため、業績によってインセンティブがもらえるところもあるでしょう。

美容外科クリニックも、この特徴に当てはまります。他には、医療脱毛や美容皮膚科、AGAクリニックなども含まれます。

注意点は、患者の利便性のために夜間や休日も開院しているところが多く、拘束時間が長くなりやすかったり、シフトが不定休になりやすかったりすることです。

郊外の療養型病院

療養型病院とは、長期的な治療が必要な患者が入院する病院のことです。近年は回復後の生活を見据えたリハビリのニーズが高まっており、療養型病院の数は増えています。

郊外の療養型病院は立地が悪いことから、待遇を良くして看護師を募集するケースがあります。

また、諸手当や福利厚生が整っているケースも多いでしょう。残業が少なく、ワーク・ライフ・バランスを調整しやすいことも特徴です。働く場所にこだわりがなければ、穴場の職場といえるでしょう。

フィールドナース

フィールドナースとは、自社製品のプレゼンやデモンストレーションなどを行う職種のことです。いわゆる営業職に近いでしょう。

医療機器メーカーに勤めるのが一般的な働き方で、美容外科クリニックと同じく、頑張り次第で年収1,000万円が狙える職種です。

実力主義の傾向が強い外資系企業は特に年収アップを狙いやすいので、語学に自信がある人はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

スキルを磨いて年収1,000万を目指そう

通帳と電卓と現金

(出典) photo-ac.com

看護師の平均年収は約498.6万円であり、年収1,000万円を稼ぐには平均の倍の金額を稼ぐ必要があります。昇進や副業、転職など年収を上げる方法はさまざまありますが、共通していえることは自分のスキルを生かすことが重要ということです。

年収1,000万円を稼ぐためには、それ相応の実力が求められます。自分のスキルを磨き、年収アップを目指しましょう。

【監修者】バースコンサルタント代表。助産師・看護師・保健師。 助産師として1万件以上の出産に携わり、8千人以上の方を対象に産前・産後のセミナー講師を務める。海外での生活を機にバースコンサルタントを起ち上げ、現在「妊娠・出産・育児」関連のサービスの提供、アドバイスを行う。関連記事の執筆・監修、商品・サービスの監修、産院のコンサルタント、国・自治体の母子保健関連施策などに従事。現在2児の母。 公式HP:https://birth-consultant.com  公式Instagram:https://www.instagram.com/birth_consultant_nao