医療事務資格はさまざまな団体が主催しており、それぞれ難易度が異なります。どの資格の取得を目指すべきかは、合格率や勉強に必要な時間を考慮して決めるのがおすすめです。独学で取得できる認知度の高い資格を紹介するので、詳細をチェックしましょう。
この記事のポイント
- 独学で取得できる医療事務資格
- 独学で取得でき、就職でアピールしやすい医療事務資格は主に4つあります。
- 合格率や難易度
- 合格率や難易度はそれぞれ異なるので、目指す資格を決める参考にしましょう。
- 独学での勉強方法
- 独学する際の勉強方法のポイントとおすすめの参考書も必見です
独学で取れる医療事務のおすすめ資格 その1
「医療事務の資格を取りたいけれど、どの資格が自分に合っているのか分からない…」そのような人におすすめなのが、「医療事務認定実務者試験」です。まずは、試験の特徴から見ていきましょう。
医療事務認定実務者試験
医療事務認定実務者試験は、幅広い知識が求められる医療事務の中でも、基礎に重きを置いていることが特徴です。実務における必須の基礎知識を、しっかりと理解しているかを評価します。
受験資格は特に設定されておらず、誰でも受験が可能です。試験は毎月開催されており、個人での受験料は5,000円となっています(2025年3月時点)。
在宅で試験を受ける場合は、自宅に問題用紙と解答用紙が郵送されます。パソコンやWi-Fi環境がなくても受験可能で、気軽にチャレンジできるのも魅力です。
【合格率60~80%程度】難易度は初心者向け
合格率は60~80%程度とされており、難易度が高すぎず比較的挑戦しやすいといえるでしょう。勉強時間の目安は約200時間とされ、計画的に学習を進めれば、医療事務の初学者でも十分に対策可能です。
試験は学科30問と1症例の実技を含み、マークシート形式の4択問題で構成されています。学科・実技それぞれで6割以上のスコアを取れば合格できるため、正確な知識と基本的な実務スキルを身に付けることが重要です。
また、参考書の持ち込みが可能となっているので、必要なときに資料を参照しながら問題に取り組めます。試験会場の緊張感に左右されることなく、自宅で落ち着いて受験できるでしょう。
【勉強方法】図解やイラストの多い参考書を
医療事務認定実務者試験に合格するためには、しっかりとした勉強計画が必要です。難易度はそれほど高くないものの、2カ月連続での受験ができないので、一度で合格することを目指して準備を進める必要があります。
学科試験では、基礎知識を問われます。ミスなく解答できるようにするために、テキストの読み込みが欠かせません。
公式に対応したテキストはありませんが、「ユーキャンの医療事務 リアルにわかるお仕事マニュアル<クリニック編>」はおすすめです。
内容が簡潔にまとめられており、カラーイラストが豊富で読みやすくなっています。テキストをしっかりと理解した上で、自分のペースで反復学習を行いましょう。
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独学で取れる医療事務のおすすめ資格 その2
医療事務の資格取得を目指す初学者にとって、実践的かつ合格しやすい資格が「医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)」です。試験の概要と、合格に向けた勉強のポイントを確認していきましょう。
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)は、日本医療教育財団が主催する試験で、約50年の歴史を持つ全国規模の資格試験です。基本的な知識と技能を確認するためのもので、大学や職業訓練校など多数の教育機関で採用されています。
試験の受験資格は特になく、誰でも受験可能です。試験はインターネット試験(IBT方式)となっており、土日を中心に毎月複数回実施されているため、自分の都合に合わせて受験できます。
受験料は8,800円です(2025年3月時点)。試験勉強を通じて、医療事務の分野に必要な基礎知識を習得できます。異業種から医療事務への転職を考えている人にとって、有用なステップとなるでしょう。
【合格率60~70%程度】初心者でも十分狙える
公式に発表されている合格率はありませんが、受験者の60~70%程度が受かる試験であるといわれています。10人中6~7人が受かるということなので、十分な準備をすれば合格できるでしょう。
合格までには、約200時間の勉強が必要とされています。1日2時間弱勉強したとして、約3.5カ月で受かる計算になるため、短期で資格を取得したい人にもおすすめです。
なお、2024年7月からは試験方法が大きく変更され、自宅でインターネットを利用して受験できるIBT方式が導入されました。これにより、受験者は自宅のリラックスした環境で、試験に臨むことが可能となります。
【勉強方法】専門用語への理解を深める
医療事務の初学者が最初につまずきやすいのが、専門用語の理解です。最初のステップとして、テキストを通じて医療事務に関する専門用語をチェックしましょう。
IBT試験は、学科・実技ともにテキストの持ち込みが可能ですが、調べるのにもたついてしまうと試験時間内に問題を解ききれません。どの項目がどこで解説されているのか、細かく把握しておくことが大切です。
おすすめのテキストは「'24-'25年版 これならわかる医療事務」です。現場の様子をマンガで分かりやすく解説しているので、具体的な業務イメージを持ちながら学ぶことができます。
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独学で取れる医療事務のおすすめ資格 その3
医療事務という専門分野で確固たる実力を証明し、キャリアアップを目指すなら「医科 医療事務管理士技能認定試験」がおすすめです。気になる合格率や、効率的な学習の仕方について見ていきましょう。
医科 医療事務管理士技能認定試験
「医科 医療事務管理士技能認定試験」は、受験者が医療事務に必要な基礎知識から、診療費の計算などの専門性の高い知識までを、持っていることを証明する資格です。特許庁に商標登録が認められた資格で、医療機関でも広く認知されています。
試験は、学科と実技の両方がマークシート形式で行われ、インターネットを通じた試験にも対応しているため、受験しやすい環境が整っています。受験料は7,500円です(2025年3月時点)。
【合格率50%程度】スキルを磨きたい人にも
合格率は約50%とされており、合格するためにはしっかりとした準備が必要です。一般的には、約350~450時間の勉強時間が必要だとされています。
この試験は医療事務の初学者だけでなく、現職での経験を持つ医療事務従事者が、スキルをさらに向上させるためにも有用です。
難易度としては決して低くはないため、試験対策に時間を割き、知識と技術を確実に身に付けることが求められます。計画的な学習と実践的な経験の積み重ねが、合格への鍵となるでしょう。
【勉強方法】問題集で試験の形式に慣れておく
医科 医療事務管理士技能認定試験では、基礎知識は大前提として、さらに診療費の計算方法を習得しておかなければいけません。診療費の計算は慣れが必要となるため、何度も問題を解くことが合格の秘訣です。
勉強にあたってはテキストに加えて、「医科 医療事務管理士技能認定試験 模擬問題集」のような対策問題集を活用するのが効果的です。
実際の試験と同じ形式で問題が出題されており、試験の予行演習として非常に役立ちます。試験の時間配分や問題形式に慣れておけば、本番での緊張が和らぐでしょう。
- 商品名:「医科 医療事務管理士技能認定試験 模擬問題集(2024年度版)」
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※こちらの商品は技能認定振興協会(JSMA)公認の参考書になっています。
独学で取れる医療事務のおすすめ資格 その4
医療事務の中でも需要の高いスキルを証明する資格として、「診療報酬請求事務能力認定試験」があります。初学者のスキル証明だけではなく、経験者が転職する際の強い武器にもなるでしょう。受験するかどうか決める参考として、試験の詳細を解説します。
診療報酬請求事務能力認定試験
診療報酬請求事務能力認定試験は、医療事務の中でも専門性の高い業務である、診療報酬請求事務の能力を向上させるための試験です。
資格を取得することにより、医療現場での業務効率を向上させるだけでなく、医療事務に携わるプロフェッショナルとしてのスキルを証明できます。
唯一の厚生労働省認定の試験でもあるため、高い信頼性と価値があるとされています。受験資格に制限はなく、誰でも受験可能です。
試験は年に2回実施され、受験料は9,000円です(2025年3月時点)。この試験を受けることで、より専門的な知識と技術を身に付け、医療事務の分野でのキャリアアップを目指せるでしょう。
【合格率40%程度】難易度は高め
公式に発表されている直近10回の合格率を見てみると、平均は37.1%(医科)となっています。この数字から分かるように、決して簡単な試験ではありません。
勉強時間は約300~600時間が目安となっており、個人の持つ知識や実務経験によって大きな差があります。全くの初心者が1日2時間ずつ勉強を進めた場合、約10カ月の期間を見ておくことが必要です。
試験に合格するためには、かなりの時間と努力を要する試験であるといえます。特に初学者の場合は、医療制度や報酬請求の実務に対する深い理解と、継続的な学習が不可欠です。
【勉強方法】問題集をメインに取り組む
まず、症例をもとにしたレセプト作成の練習を、繰り返し行うことが重要です。実際の業務においても不可欠なスキルであり、自信を持って請求事務を行えるようにするための基礎力を養いましょう。
この過程で、分からないところが出てくるのは当然のことです。長時間悩み続けるよりも、すぐに解答を見てどの部分が理解できていなかったのかを確認し、理解を深めましょう。
テキストは「医療事務 診療報酬請求事務能力認定試験(医科) 合格テキスト&問題集」がおすすめです。演習から問題のポイントを押さえ、レセプト作成を含む実技・学科対策ができます。
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独学で医療事務の資格取得を目指そう
医療事務の資格取得は、新しいスキルを身に付け、キャリアアップを目指すための大切なステップです。
独学で挑戦可能な4つの資格は、自宅でリラックスしながら受験できるものや、実務に役立つスキルを証明できるものなど、ライフスタイルやキャリアプランに合わせた選択が可能です。
独学での資格取得は、自分自身で計画を立て進める必要がありますが、それだけに合格したときの達成感はひとしおです。勉強時間を積み重ねることで、医療事務のプロフェッショナルとしての第一歩を踏み出せるでしょう。
医療事務資格を取得した後に仕事探しをするなら、国内最大級の求人情報一括検索サイト「スタンバイ」の活用がおすすめです。