薬剤師のやりがいは何?業種別に解説!やりがいがないときの対処法も

勉強した知識を生かし、薬剤師として働いていても「やりがいがない」と感じてしまう人もいるでしょう。業種別の薬剤師のやりがいと、やりがいがないと感じるときの対処法を解説します。自分にとって今の業種が合っているかどうか、じっくり考えてみましょう。

薬剤師のやりがいは「人の役に立てる」こと

薬を差し出す薬剤師

(出典) photo-ac.com

毎日の業務でストレスや疲れがたまると、薬剤師としてのやりがいを見失ってしまうこともあります。今一度、薬剤師の仕事とやりがいについて、じっくり考えてみましょう。

薬剤師は苦労が多く大変なことが多い

薬剤師はミスが人の命に影響する仕事なので、常に緊張感を持って業務に取り組まなければなりません。

患者の多い調剤薬局では、多くの処方箋から調剤・服薬指導・薬歴入力など、膨大な業務を正確にこなし続ける必要があります。対人業務では、患者からのクレームを受けることがあり、精神的な苦労もあるでしょう。

また、限られた空間の中で人間関係がうまくいっていない場合は、職場に行くのも嫌になったり、注意力が散漫になることでミスを誘発してしまったりするなどの恐れもあります。

薬剤師は人の健康に貢献できる

薬剤師は学んだ薬の知識を生かし、人々の健康をサポートする仕事です。

医療や薬は日々進化しているので、薬剤師は覚えることが多く、常に知識のアップデートが必要です。薬の知識だけでなく、コミュニケーション能力や幅広い経験値など、業種によって、さまざまなスキルが求められます。

ドラッグストアのように、お客さまと直接接する業種でも、製薬会社のように健康に広く貢献できる業種でも、薬剤師は人の役に立てるやりがいのある仕事です。

患者と接する業種で働く薬剤師のやりがい

薬剤師が患者と直接コミュニケーションを図る業種での、薬剤師のやりがいについて紹介します。それぞれ人との関わり方は違いますが、相談に乗って健康を守る点は同じです。

ドラッグストア

ドラッグストアに勤務する薬剤師のやりがいは、お客さまに合うOTC医薬品を、薬剤師自身の判断で紹介できる点です(OTCはOver The Counterの意味で、処方せんなしで販売できる一般用医薬品を指します)。

政府が推進している「セルフメディケーション」(自分自身の健康に責任を持ち、軽度な不調は自分で手当てすること)では、OTC医薬品の活用を促しています。薬の知識が少ないお客さまにとって、ドラッグストアの薬剤師は心強い存在です。

ドラッグストアは、OTC医薬品だけでなく、健康食品やサプリメントなど、健康維持に役立つさまざまな商品を扱っています。薬との飲み合わせや、悩みに合ったものはどれがいいかなど、お客さまから薬以外の相談を受けることも多くあります。

ドラッグストアの薬剤師は、お客さまのセルフメディケーションをサポートし、お客さまにとって身近で相談しやすい頼れる存在です。

調剤薬局

調剤薬局に勤務する薬剤師のやりがいは、服薬サポートを通じて地域医療に貢献できる点と、相互作用や重複投薬をチェックし、患者の健康を守れる点です。

定期的に病院を訪れる患者とは、服薬指導や健康管理で直接コミュニケーションが図れます。そのため、患者が元気になっていく姿を見ることも多いので、薬剤師としてのやりがいを感じられます。

処方されている薬について、患者が疑問や不安を感じている場合に解決するのも薬剤師の仕事です。自分の説明で、患者に納得や安心感を与えられたときは、薬剤師になってよかったと実感できるでしょう。

在宅医療

薬剤師は在宅医療において、患者の薬物療法をサポートする役割も担います。最適なチーム医療を提供するために、薬剤師は他の医療関係者と連携しながら、患者と深く向き合う必要があります。

調剤業務との大きな違いは、薬物療法の専門家として、医師や看護師らと連携してチームの一員として療養に当たります。処方せん通りに行う調剤業務とは、異なるやりがいがあります。

患者の自宅を訪問して服薬指導や管理を行い、患者の生活と密に関わりながら、長期的にサポートします。患者とのコミュニケーションを大切にできる点も、薬剤師としてのやりがいを見つけられるでしょう。

病院

病院における薬剤師の業務は、病院へ訪れた患者の対応だけではありません。病棟に入院している患者に対して服薬方法などを指導し、毎日経過を見守ることもできます。

医師や看護師が、薬についてのアドバイスを求めるケースもあるので、薬のスペシャリストとして、やりがいを感じられるでしょう。

また、手術や治療のための薬を準備することも、病院に勤める薬剤師の重要な仕事です。最前線の医療や臨床現場に参加することもあり、スピードや正確な判断力を求められますが、病院ならではのやりがいを得られるでしょう。

健康に広く貢献できる業種で働く薬剤師のやりがい

薬と水

(出典) photo-ac.com

製薬会社や行政機関に勤める薬剤師には、どのようなやりがいがあるのか、具体的に紹介します。

製薬会社

製薬会社では、MR(医薬情報担当者)・創薬担当・臨床開発モニター・研究職など、さまざまな働き方ができます。MRは医療従事者と信頼関係を築き、自社の医薬品の良さが伝わったとき、創薬担当は新薬の開発に期待する患者のため、日々研究や開発しているときなど、それぞれに異なるやりがいがあります。

担う役割は違うものの、自社の薬が患者の健康に役立ったり、命を救ったりという誇りは、製薬会社勤務の薬剤師として共通のやりがいでしょう。

最前線で薬の知識を生かせるので、患者と直接関わらなくても、広く医療貢献できます。

保健所や検疫所などの行政機関

公務員として働く薬剤師は「国家公務員薬剤師」「地方公務員薬剤師」「麻薬取締官」が挙げられます。新規医薬品や医療機器の承認・飲食店や薬局などへの立入検査など、業務は多岐にわたります。

他の業種と違い、人の健康に直接関わる業務ばかりではありません。しかし、地域医療・健康促進・衛生管理と、広い視点で仕事をするので、病気を治すことよりも、病気にならないための公衆衛生に尽力できます。そのため、国民の健康を支えているという大きなやりがいを感じられるでしょう。

公務員ならではの収入の安定と、福利厚生の充実もやりがいにつながります。定期的に部署移動はありますが、さまざまな業務に携わることで、広く経験を積めます

やりがいがないと感じたときの対処法

悩む薬剤師

(出典) photo-ac.com

現在の職場で、薬剤師としてやりがいがないと感じたときは、どうすればいいのでしょうか。対処法を3つ紹介します。

信頼できる人に相談する

毎日行う業務に慣れてしまうと、忙しさや疲れなどで、やりがいを見失いがちになります。自分の業務や状況を改めて考えるためにも、信頼できる人に相談しましょう。

業務内容と、日頃の取り組みを知っている同じ職場の仲間なら、具体的なアドバイスに期待できます。家族や友人なら、業務内容は分からなくても、客観的に話を聞いてくれるでしょう。

信頼できる人に話を聞いてもらうだけでも、自分の気持ちを整理できます。話しているうちに、業務の好きなところや、忘れていたやりがいを思い出せる可能性もあります。

スキルアップなど、新たな目標をセットする

医療や医薬品は常に研究されており、進歩し続けています。薬剤師には学ぶことが多く、新薬の効果や副作用など情報にアンテナを張り続けなければいけません。

しかし、やりがいがないと感じているときは、モチベーションが保てないものです。長く働いている職場でマンネリになっている場合は、今の環境でもできるスキルアップなどの具体的な目標を立てるとよいでしょう。新しい知識を増やすことでマンネリを脱出し、やりがいを思い出すこともあります。

具体的には勉強会・学会への参加や、専門的な資格の取得、専門書や業務に関連のある書籍を読むなど、できることは多くあります。患者とのコミュニケーション向上について考えたり、薬歴の書き方を研究したりと、現在の業務に関わる工夫をするのも一案です。

薬剤師の資格を生かせる他の業種を検討する

現在の業種が原因で、薬剤師としてのやりがいを感じられない場合は、薬剤師の資格を生かせる他の業種に転職するのも1つの方法です。

ドラッグストアで働いていて「薬剤師として勉強するのが大好き。最前線で仕事がしたい」と考える薬剤師は、病院薬剤師が向いています。

調剤薬局で働いていて「裏方作業は好き、でも接客や対人業務は苦手」という人もいるでしょう。その場合は、医薬品卸会社のような裏方業務が多く、社内の人間をサポートする方が向いているでしょう。

現在就業している業種だけでなく、やりがいを見つけられる他の業種に転職するのも視野に入れてみましょう。

薬剤師のやりがいを感じられる職場を探す方法

2人の薬剤師

(出典) photo-ac.com

薬剤師として、やりがいを感じられる自分に合った職場を探す方法を紹介します。転職活動を始める前に、現在の職場で、なぜやりがいがないと思ったのかを整理しておきましょう。

キャリアアップの体系が整っている

やりがいを求めて転職する場合は、まず自分がどのような薬剤師を目指すのか明確にしましょう。

ドラッグストアや、調剤薬局のような勤務薬剤師でキャリアアップしたい場合は「管理薬剤師」「エリアマネージャー」「薬剤部長」を目指すことになります。また、専門性を高めてキャリアアップしたいなら「認定薬剤師」「専門薬剤師」の資格取得を目指すとよいでしょう。

ドラッグストアや調剤薬局の中には、研修や学会への参加を積極的に支援してくれるところもあります。自分がなりたい薬剤師像を決めて、冷静に考えましょう。

どのようにキャリアアップしたいのかが明確になったら職場探しです。スタンバイでは、薬剤師に関する仕事も多数取り扱っており、条件やキャリアプランを見据えながら、自分の求める仕事が見つけやすくなっています。   

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら

自分に合った業種をじっくり考える

現在の業種でやりがいがないと感じ、薬剤師の資格が生かせる他の業種を検討する場合は、どのような業種が合っているのか冷静に考えましょう。しかし、やりがいばかりを優先し、待遇面に納得いかない状態のままでいると、働くこと自体が苦痛になってしまいます。

薬剤師として、自分が何に一番やりがいを感じているのかと同時に、待遇面でここだけは譲れないという条件も明らかにしましょう。思いつくことを全てリストアップし、じっくり検討するのが転職に失敗しない方法です。

やりがいや理想も大切ですが、勤務条件・待遇・通勤時間も重要です。何をどこまで妥協できるかを具体的に考え、ベストな業種と職場を見つけましょう。

薬剤師は健康に貢献できるやりがいのある仕事

薬剤師のイメージ

(出典) photo-ac.com

薬剤師は知識と経験を生かし、人の健康に貢献できる仕事です。患者の健康や命にかかわるので責任もありますが、その分やりがいがあります。

しかし、同じ職場で長く働いていると、マンネリもしやすくやりがいが感じられなくなることもあるでしょう。

そんなときは信頼できる人に相談したり、スキルアップを目指したりするのがおすすめです。転職する場合は、冷静に自分のやりたいことを考え、ベストな業種と職場を見つけましょう。