医療事務の資格取得は難しい?就職に有利な4つの資格と取得メリット

医療事務を目指す場合、資格を持っている方が有利といわれています。とはいえ、どのような資格があるのか、どのくらい難しいのかが分からず、不安に思う人も多いでしょう。医療事務資格の種類や難易度・取得のメリットを丁寧に解説します。

医療事務の資格試験は難しい?

資格を勉強する女性

(出典) photo-ac.com

難易度の高い資格を取るためには、それなりに勉強時間を確保しなくてはなりません。医療事務の資格を取ろうとした場合、今の仕事と勉強の両立は可能なのでしょうか。医療事務資格の実情を見ていきましょう。

医療事務関連の資格は種類が豊富

医療事務は人気が高く、応募者が多い職種といわれています。そのため、まったくの初心者よりも、知識やスキルを持っている人の方が、採用されやすいのが現状です。

医療事務に関する知識やスキルがあることを証明するためには、資格が役立ちます。多くの民間団体が医療事務関連の資格を発行し、独自の基準で試験を実施しています。

医療事務の資格は、仕事探しを有利にするために取得する方がよいでしょう。

難易度は資格による

ひと口に医療事務といっても、業務内容は多岐にわたります。少し勉強すれば覚えられるものから、難しい知識や経験が必要なものまでさまざまです。

そのため資格試験も、仕事の難易度に応じてレベルがわかれています。初心者レベルの試験は、合格率が約80~90%といわれていますが、上級レベルの合格率は、30%程度しかないようです。

初心者がいきなり上級を目指しても、合格できる可能性は低いといえます。まずは初心者レベルから挑戦し、医療事務の仕事に慣れてから上級資格に挑戦するとよいでしょう。

医療事務の就職に資格は必要?

考え事をする女性

(出典) photo-ac.com

医療事務として働くとき、同じ医療機関に在籍する医師や看護師のような、国家資格は必要なのでしょうか?民間資格の必要性も併せて見ていきましょう。

資格はなくても就職できる

医療事務として働くのに、国家資格を取得する必要はありません。民間資格の有無も採用の際に参考にはするようですが、資格がなくても医療事務として就職は可能です。

医療関係の仕事の多くは国家資格が必要なため、医療事務は無資格・未経験で働ける数少ない職種といえます。

ただし、先述のとおり、医療事務は競争倍率が高いため、資格を持っていない人は採用される確率が下がります。

また業務上、医療制度に関する知識も必要なので、何も知らないまま就職することに不安を感じる人も多いでしょう。民間団体が発行する資格を取得していれば、選考でプラスになるだけでなく、業務に必要な知識は最低限身につくため、自信を持って仕事に臨めます。

就職・転職に有利な4つの資格

医療事務に従事する女性

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医療事務関連の資格の中から、特に人気の高いものを4つ紹介します。自分に合う資格を選び、就職・転職活動に生かしましょう。

医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)

医療事務技能審査試験は「一般財団法人 日本医療教育財団」が主催する認定試験です。1974年の開始以来、受験者総数が約163万人・合格者数が約92万人を誇り、医療事務関連の試験としては国内最大規模といわれています。

試験は自宅で受験できるので、わざわざ会場まで行く必要はありません。毎月1回実施しているため、就職・転職のタイミングに合わせて受験できるのもポイントです。

試験の合格者には「メディカルクラーク」の称号が与えられ、医療事務従事者として適正な技能を備えていることを証明できます。医療機関からの信頼度も高く、初心者向けの医療事務資格の中では、挑戦しやすい資格といってもよいでしょう。

医療事務検定試験

医療事務検定試験は「日本医療事務協会」が主催する、初心者向けの資格試験です。医療保険制度・患者への対応方法・医療費計算・請求事務など、医療事務の基礎知識が全般的に問われます。

会場受験と自宅受験があり、自宅受験は毎月1回開催されます。合格率は約90%と高く、同協会による通信講座や就職サポートも充実しているため、ゼロから医療事務を目指す人におすすめです。

診療報酬請求事務能力認定試験

診療報酬請求事務能力認定試験は、「公益財団法人 日本医療保険事務協会」が主催しています。医療事務関連の資格の中で、最も難しいといわれています。合格率が医科は約30%で、歯科は約38%と低い上に、年に2回しか受験のチャンスがありません。指定会場で受験するため、移動の手間や交通費もかかります。

自宅で毎月受験できる試験に比べると、受験・合格ともに、とてもハードルが高いことが分かるでしょう。その代わり合格できれば、就職・転職がとても有利になります。

採用後は資格手当を付与されるなど、好待遇も期待できます。勉強の時間が取れる人や、医療事務としてステップアップを目指す人は、挑戦する価値がある資格試験といえそうです。

医科医療事務管理士​技能認定試験

医科医療事務管理士​技能認定試験は、半世紀近い歴史があり、日本で最初の医療事務資格として知られる「株式会社技能認定振興協会」が主催しています。医療機関への知名度も高く、合格者は就職・転職活動を有利に進められるでしょう。

毎月1回の在宅受験のほか、インターネット受験にも対応しています。インターネット受験なら、時間や場所を問わず挑戦でき、合否もすぐに分かります。仕事が忙しく受験の日程が合わない人や、少しでも早く就職したい人におすすめです。

資格を取得する3つのメリット

履歴書を見せる女性

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医療事務資格を取得するメリットは、大きくわけて3つあります。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

就職・転職に有利

景気に左右されにくく、性別や年齢の影響も少ない医療事務は、長く安定して働ける仕事として人気があります。そのため、少ない募集枠に多くの応募が集まり、競争率が高くなるケースも珍しくありません。

こうした状況では、資格の有無が明暗を分けることになります。採用する側から見れば、何も知らない人よりも、即戦力となってくれる人を選びたいと思うのは当然です。

資格があれば、医療事務の知識を持っていることを客観的に証明でき、書類選考や面接で有利になるでしょう。

資格手当が見込める

有資格者は、無資格者に比べて待遇がよくなるのも大きなメリットです。医療機関の中には、特定の資格を持っている人に対して、手当を支給しているところもあります。資格手当が見込めれば、同じ業務内容でも給与が上がるため、働くモチベーションにつながるでしょう。

また、医療事務の資格は更新の必要がなく、全国どこでも通用します。将来的に、結婚・出産・家族の転勤などで仕事を辞めることがあっても、資格を持っていれば再就職先を見つけやすくなります。

経験不足を補える

医療事務は、無資格・未経験でも就業は可能です。実際に、資格も経験もない人を採用する医療機関は少なくありません。ただし業務内容が幅広く、専門知識も必要なため、まったくの初心者だと相当苦労することが予想されます。

運よく採用されたとしても、慣れるまでに時間がかかり、周囲に迷惑をかける事態にもなりかねません。資格があれば、実務が未経験でもすぐに仕事になじめる上に、周囲からの信頼や評価が高まり、ぐっと働きやすくなるでしょう。

資格選びのポイントは?

勉強する女性

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医療事務の資格は種類がたくさんありますが、それぞれ特徴が異なります。多くの資格の中から、自分に適した資格を選び出すポイントを見ていきましょう。

身につけたいスキルで選ぶ

職場によって、医療事務に求められるスキルは異なります。たとえば、街中にある小さなクリニックなら、受付・会計といった窓口業務や電話応対がメインとなるでしょう。

総合病院の場合は、病棟に配属される可能性もあります。診療科目が多ければ、それだけ業務が細分化されることも予想されます。

近年はネットワーク上でカルテを管理したり、オンラインで受診予約を受け付けたりする医療機関も増えており、パソコンのスキルがあると重宝されるかもしれません。

迷ったときは、自分がやりたい業務に必要なスキルが、しっかりと身につく資格を選ぶとよいでしょう。

資格取得するまでにかかる時間別に選ぶ

取得までにかかる時間も、資格を選ぶポイントの1つです。医療事務の資格を取得するために必要な勉強期間は、初心者向けは約200時間で、上級者向けの難しいものだと約600時間とされています。

毎日2時間ほど勉強すると仮定しても、最短で約100日かかります。難しい試験の場合は、勉強だけで300日程度を費やすことになるので、いつまでに資格取得したいのか考えておく方がよいでしょう。

また、受験機会が少ない資格では、受験日が講座の終了から数カ月先になることもあります。合格率の低い試験では、資格を取得するまでに数年かかるケースもあるでしょう。

医療事務として1日でも早く働きたいなら、準備期間が短く受験機会の多い資格に挑戦する方が効率的です。余裕がある場合は、じっくりと勉強して難しい資格にチャレンジしてもよいでしょう。

一般教育訓練給付制度の対象講座から選ぶ

ほとんどの場合、民間の資格試験を受けるためには、通信講座などを利用して、独学で取得を目指さなくてはなりません。講座の受講料は、少なくても数万円かかるため、払える自信がなく受験をためらう人もいるでしょう。

ただし、雇用保険に一定期間加入している人や、失業中の人は「一般教育訓練給付制度」を利用できます。対象講座を受講し、修了後に申請すると、後日ハローワークから受講料の20%(上限10万円)が支給される仕組みです。

たとえば、受講料が8万円の講座なら、1万6,000円が戻ってきます。実質6万4,000円で受講できるため、対象外の講座を受けるよりも負担が軽くなります。

受給要件や対象講座の詳細は、厚生労働省やハローワークのサイトで確認しましょう。

参考:
教育訓練給付制度|厚生労働省
ハローワークインターネットサービス|教育訓練給付制度

資格取得で就職を有利にしよう

働く女性看護師

(出典) photo-ac.com

医療事務として働くために、特別な資格は必要ありません。しかし、民間資格を取得しておくことで、採用試験が有利になったり、給与が上がったりするメリットがあります。

また、事情があって退職したとしても、資格を持っていれば再就職しやすくなるでしょう。費用や時間はかかるものの、長い目で見れば資格を取っておいて損はないといえます。

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