医療事務は難しい?仕事内容や就職に有利な資格を紹介

医療事務に関心はあっても、「未経験者が働くのは難しいのではないか」と不安を感じる人もいるでしょう。詳しい仕事内容や就職に有利な民間資格を知っていると、チャレンジしやすくなります。仕事のやりがいや仕事の探し方なども、併せて見ていきましょう。

この記事のポイント

医療事務の仕事内容
医療事務の仕事内容は多岐にわたり、医療保険制度や診療報酬などに関する知識が必要なため、難しいとされています。
医療事務のやりがいと大変なところ
患者から感謝され、地域社会への貢献できるなどのやりがいがある一方で、コミュニケーションスキルが低いと難しさを感じやすいでしょう。
医療事務に役立つ資格
医療事務の民間資格は、医療事務検定試験や医科医療事務管理士技能認定試験などがあり、合格すると有利になります。

医療事務は難しい?仕事内容と大変さを解説

保険証を返却する病院受付

(出典) pixta.jp

医療事務は難しいといわれることがありますが、どのような仕事を難しいと感じるかは人それぞれです。業務内容を知ると、自分に合っているかどうかが分かります。まずは、医療事務スタッフの主な仕事を見ていきましょう。

診察受付などの窓口業務や会計業務

新規患者受付・再診受付などの窓口業務や、診察料の会計は医療事務の代表的な仕事の1つです。

受付は、患者と最初に接する役割があり、丁寧な対応が求められます。新規患者の受付では、患者の保険証や問診票の情報などをコンピューターに登録し、診察券やカルテの発行をします。

会計業務は、診療内容や患者が加入している医療保険をもとに、医療費を算出する業務です。正確さやスピード、パソコンスキルなどが求められ、患者を待たせないように、プレッシャーを感じながら作業をしなければなりません。

時には、会計の内容について質問を受けることもあり、接客業務と同じように身だしなみや言葉遣いなどへの気遣いも必要となります。

外来・病棟でのクラーク業務

外来や病棟で事務処理・文書作成などをする仕事を、クラーク業務といいます。外来クラークは、外来診療に来た患者の対応をします。

患者の呼び出しや電話対応、カルテ・レントゲンの準備などが主な仕事です。病棟クラークは、入退院に関する事務手続きや、手術・検査のスケジュール管理など、入院患者に関わる業務をこなします。

どちらも、医師・看護師・患者とコミュニケーションを取りながら、スムーズに仕事を進めなければならないところが大変です。

診療報酬請求(レセプト)業務

診療報酬請求は、医療機関が健康保険の保険者(健康保険や協会けんぽなど)に対して、医療費を請求する業務のことです。診療報酬は診療にかかった費用を指し、1点を10円で計算します。

患者が窓口で支払う医療費は、実際にかかっている費用の2〜3割です。それぞれが加入している保険者に対し、残りの費用を正確に請求しなければなりません。

保険者への請求をその都度行うのは大変なので、1カ月分をまとめて請求する仕組みです。月の初めから10日ごろまで、診療報酬請求業務が発生します。

診療行為と病名、投薬内容が合っているかなどのチェックを正確にするには、専門知識が必要です。

医療事務を難しいと感じる理由

病院の受付

(出典) pixta.jp

さまざまな業務を同時にこなさなければならないのは、医療事務だけではありません。医療事務ならではの難しさとは、どのような点にあるのか見ていきましょう。

覚えることが多く専門知識が必要

医療事務は業務内容が幅広く、覚えることが多い分、難しいと感じがちです。保険料の負担割合や診療報酬請求など、普段の生活で意識することがない分野の知識を覚えるのは時間がかかります。

場合によっては、窓口に立つだけでなく、電話対応やカルテ管理などを並行して行うことも求められます。また、医療に関するさまざまな専門用語も覚えなければなりません。

知識が足りないと専門用語を使った会話についていけず、難しいと感じるでしょう。医療に関する法律や医療保険制度は変更になることも多く、知識を更新する必要がある点も難しさを感じやすい部分です。

患者対応に苦労する場合がある

窓口業務では、多くの患者と接します。病気・ケガなどで不安を抱えている患者の中には、気持ちに余裕がなくなる人もいるでしょう。

患者を不安にさせないようにするには、真摯な態度で接し、気持ちに寄り添った声がけをすることが必要です。

また、医療事務スタッフは、医師や看護師に言えない不満・クレームのはけ口になってしまう場合があります。患者とのやりとりの中で、精神的な負担を感じやすい点も、難しいと感じやすい理由です。

医療事務員は国家資格を持っていないため、医療行為に関する説明はできません。クレームの内容によっては、医師や看護師などにつなぐことが大切です。

医療事務のやりがいとは

病院内総合窓口

(出典) pixta.jp

医療事務は覚えることが多く、患者対応などに難しさを感じる一方で、やりがいを感じる場面も多いといえます。達成感のある仕事をしたい人にとって、おすすめの職種です。どのような点にやりがいを感じられるのか、具体的に見ていきましょう。

患者やスタッフに感謝される

受付や会計を担当したときに、患者から感謝してもらえると、頑張りが報われるように感じるものです。患者が元気になった様子を見れば、達成感を得られるでしょう。

医療機関ではさまざまな専門家が、患者の治療やサポートをするために働いています。それらの人々と連携しながら、仕事をこなす機会は少なくありません。

経験を積むうちに、医師や看護師などの医療従事者から感謝され、頼りにされるところもやりがいだといえます。チームの一員として重要な存在になれば、さらに大きな充実感を得られるでしょう。

地域医療になくてはならない存在になれる

医療事務スタッフは、医師や看護師だけではカバーできない部分を担当します。医療機関にとって、なくてはならない存在です。

単なる事務作業だけでなく、体調が優れない患者に適切な案内をし、不安を和らげる大切な役割を持ちます。

1つ1つの仕事内容は地味かもしれませんが、プロ意識を持って取り組めば、地域医療の活性化にもつながる仕事です。できる仕事が増えるたびに、地域医療を守り社会貢献していることを誇らしく感じられるでしょう。

未経験から医療事務の仕事を始める方法

キーボードと初心者マーク

(出典) pixta.jp

医療事務の仕事は専門知識が必要なので、未経験でも雇ってもらえるのか疑問に思う人もいるでしょう。難しいとされる一方で、経験者以外や資格を持たない人でも挑戦できます。ここでは、医療事務の仕事に就く方法を見ていきましょう。

無資格・未経験可の求人に応募する

医療事務スタッフとして働くには、未経験者を募集している病院・クリニックを探して、応募する方法があります。医師や看護師とは違い、特別な資格がなくても医療事務スタッフとして働けます。

ただし、資格がないと必要な知識がない状態からのスタートになるので、仕事を覚えるのが難しいと感じるかもしれません。

待遇面では、経験者や民間資格を取得している人の方が有利です。少しでも条件の良い勤務先に採用されたい場合は、資格の取得を検討するとよいでしょう。

医療事務の民間資格を取得する

医療事務の民間資格を取得すると、未経験でも必要な知識を身に付けているとアピールできます。何も分からない状態からスタートする場合に比べ、採用される可能性を高められます。

民間資格を持っている人を募集するのは、医療機関にとってメリットがある方法です。知識が全くない人を教えるより、資格を持っている人を雇った方が教育コストを低くできます。

人気が高い勤務先の場合、競争を勝ち抜く上で有利になるでしょう。また、会計業務や診療報酬請求業務のように、専門知識を必要とする業務を担当する際に自信を持って取り組める点も、資格を取得するメリットです。

医療事務の資格試験は難しい?

ノートの上にある単語帳とペンと消しゴム

(出典) pixta.jp

医療事務の民間資格には、さまざまな種類があります。難易度は資格ごとに異なりますが、他の医療系の資格に比べると、挑戦しやすいものが多く見つかります。代表的な医療事務資格やそれぞれの特徴、合格率などを見ていきましょう。

医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)

医療事務技能審査試験は、「一般財団法人 日本医療教育財団」による認定試験です。

試験に合格すると「メディカルクラーク」の称号を得られ、診療報酬請求業務や窓口業務など、医療事務スタッフに必要な能力を備えていると証明できます。

医療事務関係の資格としては知名度が高く、約50年の歴史があります。試験は毎月実施されているので、転職・就職活動をするタイミングで受けられるでしょう。

学歴や年齢制限など、受験に際して必要な条件はありません。合格率は公表されていませんが、約70%とされています。

医療事務検定試験

医療事務検定試験は、「日本医療事務協会」が主催する認定試験です。医療保険制度の概要や、診療報酬の計算に必要な知識などが身に付きます。

同協会が主催する医療事務講座を受講した人の合格率は、90%を超えています。(※2023年度)

試験は毎月第4日曜日に開催され、自宅受験の形式です。教材や資料を閲覧しながら試験を受けられるので、初心者でも合格しやすいでしょう。

出典: 医療事務の資格取得講座TOP|医療事務の資格講座なら日本医療事務協会

診療報酬請求事務能力認定試験

診療報酬請求事務能力認定試験は、「公益財団法人 日本医療保険事務協会」が実施する認定試験です。試験は医科と歯科に分かれており、それぞれ学科試験と実技試験があります。

医療事務関連の資格の中では、合格の難易度が高い試験です。2024年12月15日に実施された試験の合格率は、医科が41.2%、歯科が35.9%でした。

同試験の医科の受験者数は2.594人で、合格者数は1,069人です。1回の試験で1,000人程度しか合格できない点を考えると、取得している人の数は少ないといえます。

合格できれば、医療機関に採用されやすくなるだけでなく、資格手当の付与も期待できるでしょう。

出典:合格発表|公益財団法人日本医療保険事務協会

医科医療事務管理士技能認定試験

医科医療事務管理士技能認定試験は、「株式会社技能認定振興協会」が主催する認定試験です。日本で最初の医療事務の資格として知られ、医療機関での認知度が高いといえます。

合格すると「医療事務管理士」の称号が与えられます。試験内容は、医療保険制度や診療報酬請求業務などの知識を問う学科試験、レセプト作成や点検に関する実技の2種類です。

直近の試験合格率は平均約79%と、比較的難易度が低いといえます。試験は毎月開催されており、受験のチャンスが多いところも魅力です。

出典:試験実績 | JSMA 技能認定振興協会

医療事務は難しいがやりがいのある仕事

病院の受付の中

(出典) pixta.jp

医療事務は、医療保険や診療報酬に関する知識だけでなく、患者や医療従事者とのコミュニケーションが必要な仕事です。

難しい一方で患者や医療スタッフから感謝され、やりがいを感じられるメリットもあります。医療機関は地域に不可欠であり、医療事務スタッフは将来にわたって必要とされる存在です。

働くに当たって必要な公的資格はありませんが、医療事務スタッフとして必要な知識を身に付け、自信を持って働きたい人は民間資格を取りましょう。

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