プログラマーの将来性は高く、今後も需要が続くと予測されています。しかし、技術の進化に伴い求められるスキルも変化しているため、継続的なスキルアップが必要です。この記事では、プログラマーの現状と将来性、今後必要となるスキルを詳しく解説します。
この記事のポイント
- プログラマーの将来性
- IT業界全体が人手不足に悩まされており、中でも若手のプログラマーは今後も不足すると予想されています。そのため今後も需要が見込まれます。
- プログラマーとしての価値を高める方法
- PythonやC++など人気のある言語を習得する他、AI・IoTに関するスキル、セキュリティに関するスキルを身に付けることで市場価値を高められます。
- 有利に働く資格
- どの分野を強くしたいかによって変わりますが、プログラマー全体としてはITパスポート試験・基本情報技術者試験・応用情報技術者試験がおすすめです。
プログラマーに将来性はある?
プログラマーは、デジタル社会の中核を担う職業として注目されています。しかし、技術革新が進む中で「将来性があるのか」という不安を抱く人も少なくありません。はじめに、プログラマーの将来性と現状を紹介します。
現在は人員が不足している状態
IT業界では慢性的な人手不足が問題となっており、プログラマーも例外ではありません。
経済産業省が2016年に発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、日本のIT人材供給は2019年をピークに下降をたどると予測されています。
2030年の人材不足数は最低で41万人、最高で79万人ともいわれ、需要に対し供給が追い付かず今以上の人手不足が懸念されています。
プログラマーに関しては若手人材の不足が予測されており、その懸念は数ある人材の中でもトップです。IT人材の不足は、企業のDXの推進や新技術の導入が関係しています。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が発表した「DX動向2024」によると、2023年の時点でDX人材が大幅に不足していると回答した企業は58.1%に上りました。
企業間で人材の獲得競争が激化することでプログラマーは売り手市場となり、今後も需要が高まると考えられます。
出典:IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果|経済産業省
「35歳定年説」は過去の話
加齢による体力・学習能力の低下から停滞期に入るとして、プログラマーは「35歳が定年の目安」といわれていました。しかし、35歳を超えても第一線で活躍するプログラマーは多く、この考えは過去の話となりつつあります。
IT業界では新しい技術を学び続ける姿勢が重要視されており、年齢よりもスキルや実績を評価する傾向があります。そのため「35歳定年説」に囚われる必要はありません。
しかし、イレギュラーな対応に追われがちなプログラマーは他の職種に比べて忙しく、年齢による衰えに抗えない部分があることも事実です。
40代を過ぎれば年下が上司となることもあるため、経験を積んだプログラマーであってもマネジメント力を身に付ける、スキルアップをするなどの工夫は必要となるでしょう。
今後の需要低下の可能性は低い
AI技術の普及やプログラミングの自動化から、プログラマーには将来性がないといわれることもあります。
しかし、現時点のプログラミング自動化は汎用的なものにとどまっており、カスタマイズ性の高い処理をするにはまだまだプログラマーの手が必要です。
また、一般企業だけでなく医療・金融・物流・農業など幅広い業界でDXが進んでいることから、DX投資によるプログラマーの需要が高まると予測されます。
企業のDX推進、AI技術の発展、IoTの普及など、ITの重要性は増す一方です。これらの分野にプログラマーは必須となるため、需要低下の可能性は低いといえるでしょう。
プログラマーの将来性がないといわれる理由
IT人材が不足しているにもかかわらず、なぜプログラマーは将来性がないといわれるのでしょうか。
それにはAI技術の進化や自動化、オフショア開発が関係しています。ここでは、それぞれの問題とプログラマーの将来性との関係を解説します。
AI技術の進化
AI(人工知能)の発達により、プログラマーの仕事が減ると考える人も少なくありません。
これは、2013年に英国オックスフォード大学のマイケル・オズボーン氏、カール・ベネディクト・フレイ氏が発表した推計結果が大きく関係しています。
この推計結果では、米国総雇用者約47.0%の仕事が今後20年以内にAIとロボットに代替可能になるとされています。
日本国内においては、マイケル・オズボーン氏と株式会社野村総合研究所の共同分析により「日本の労働人口約49.0%が代替される可能性が高い」との見解が報告されました。
しかし、プログラムの設計や書き方には幅があり、アプローチを柔軟に変えなければならないケースも多々あります。また、AIの開発・管理にはプログラマーが必要なため、プログラマーの仕事が完全に奪われることはないでしょう。
出典:カール・ベネディクト・フレイ マイケル A. オズボーン 野村総合研究所|日本におけるコンピューター化と仕事の未来
自動プログラミング技術の普及
簡単な操作でWebページを作成できる技術や自動でコードを生成するフレームワークの普及も、プログラマーの将来性が不安視される要因です。
プログラミングの自動化技術は今後も普及・発展していくと予想されますが、現時点では入出力のような汎用的な処理までしか自動化されていません。
AIと同じく全ての工程を任せられるわけではなく、開発や運用はもちろん、高度なデータ分析にはプログラマーが必要です。自動化が進んでいるとはいえ、今すぐにプログラマーの仕事が自動化に置き換えられるとは考えにくいでしょう。
プロジェクトを進めるために、今後は自動化ツールを開発するプログラマーやツールを使いこなすエンジニアの需要が高まると予想されます。
オフショア開発の普及
近年、日本国内でもオフショア開発が広まっています。オフショア開発は、Webシステムやソフトウエア、アプリケーションなどの開発を海外の企業や現地法人に委託する開発技法です。
深刻なIT人材不足を抱える日本では、優秀なプログラマーを複数人確保するとなると莫大な人件費がかかります。また、企業間の人材争奪が激化していることから人材が確保しづらく、プロジェクト始動にも時間がかかります。
アジアを中心とした諸外国には優秀なプログラマーが多いため、オフショア開発を採用することで人材不足の解消に加え、低コストでの開発が可能です。
一方、言葉の壁があり、離れていることにより工程の管理が難しいなどの問題もあるため、オフショア開発の採用は企業の文化や考え方にもよるといえるでしょう。
プログラマーの将来性を高める方法
AI技術や自動化技術の発展、オフショア開発の普及による将来性の不安はあるものの、プログラマーの需要は今後も続くと予想されます。
ただし、長期的に活躍するには継続的なスキルアップが必要です。ここでは、具体的なスキルアップの方法を紹介します。
需要の高い言語をマスターする
プログラミング言語は得意分野とそうでない分野があることに加え、トレンドもあります。プログラマーとしての将来性を高めるには、さまざまな言語に対応できることが大切です。
オランダの「TIOBE Software」が発表した2025年2月時点のTIOBE Indexでは、Pythonが人気ランキング1位でした。
2位はC++、3位はJava、4位はC言語、5位はC#です。日本国内ではJavaの人気が高く、次いで人気があるのはJavaScript・PHP・Python・TypeScriptです。
IT業界は日々進化を続けており、過去に主流とされていた開発言語やフレームワークが使われなくなるケースも少なくありません。
IT業界のトレンドや動きを確認しながら需要の高い言語をマスターすることで、息の長いプログラマーになれるでしょう。
AIやIoTに関するスキルを身に付ける
AI・IoT技術が普及する現在は、AI・IoTに関するスキルも必要です。中でも開発に関するスキルは重宝されるため、身に付けることで将来性が高まるでしょう。
AI開発に必要な言語は、Python・C++・Juliaです。AIプログラミングでは組み合わせたライブラリの処理がメインとなることから。プログラミング言語に加え機械学習ライブラリを実装できるスキルも身に付けておくとよいでしょう。
この他、PyTorchやTensorFlowといった機械学習フレームワークを扱うスキルも市場価値の向上につながります。
IoT開発で必要となる言語は、C言語・Python・Java・R言語・C++です。プログラミングスキルの他、電子回路やネットワークに関する知識も求められます。IoTは今後も需要が伸びると予想されるため、身に付けると仕事の幅が広がるでしょう。
セキュリティに関するスキルを身に付ける
サイバー攻撃への対策として、セキュリティ知識も重要視されています。セキュリティ関連の知識や技術を身に付けることで付加価値が付くだけでなく、他のプログラマーと差別化もできるでしょう。
セキュリティ対策で大切なのは、プログラムの脆弱性をカバーするプログラミングスキル(セキュアプログラミング)やシステムに合わせた言語を扱うスキルです。
PHPやC言語、JavaScript、C++は必須言語といえるため、セキュリティ対策に強いプログラマーを目指す場合はこれらを積極的に学習しましょう。
マネジメントスキルを身に付ける
キャリアアップを目指す人は、マネジメントスキルを磨きましょう。マネジメントスキルを身に付けることで、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーといったマネジメント職を務められます。
マネジメント職に必要なのは、コミュニケーション能力や管理能力、問題解決力、危機管理能力です。コミュニケーション能力と管理能力はチームをまとめるだけでなく、進捗状況をつかむことや納期に間に合うよう進めることに役立ちます。
プロジェクトを進める上でトラブルは付きものです。問題解決力と危機管理能力があれば、万が一のトラブルにも冷静かつ迅速に対応できるでしょう。
チームを統率するにはプログラマーとしてのスキルも必要となるため、それぞれを並行して身に付けることをおすすめします。
資格取得で市場価値の高いプログラマーに
キャリアアップや転職に有利となる主な資格は以下の6つです。
- ITパスポート試験
- 基本情報技術者試験または応用情報技術者試験
- C言語プログラミング能力認定試験
- PHP技術者認定試験
- Python3エンジニア認定試験
- Ruby技術者認定試験
資格を選ぶ際は、今後どの道に進みたいか、どの分野を強くしたいかで決めましょう。Web系プログラマーを目指す場合、PHP技術者認定試験とRuby技術者認定試験がおすすめです。
Python3エンジニア認定試験はAI分野で使う「Python」の認定試験のため、AI開発に携わりたい人に向いています。
求められるプログラマーを目指そう
プログラマーの将来性は依然として高いものの、将来性をより高めたいのであれば継続的な学習とスキルアップが必要です。
需要の高い言語を習得する、AIやIoTに関連するスキルを身に付けるなどして、自分の市場価値を高めましょう。キャリアアップを目指す人や転職を考えている人は、目指す道に合わせた資格を取得するのも一案です。
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