障害者雇用の給料は安い?障害別の給料平均と収入をアップする方法

障害者雇用の枠で働くにあたって、どの程度の給料をもらえるのか気になる人は多いでしょう。同じ時間の労働をするなら、できるだけ多くの給料を得たいものです。障害の種類によっても変わる平均収入や、給料をアップする方法を見ていきましょう。

障害者雇用ではいくらもらえる?

障害者手帳

(出典) photo-ac.com

障害者が働く場合に、どれくらい給料がもらえるのか気になる人は多いはずです。給料の平均や、一般雇用との違いを確認しましょう。

障害種別ごとの給料平均

障害といっても、さまざまな種類があります。厚生労働省の「平成30年度障害者雇用実態調査結果」によると、身体障害者・知的障害者・精神障害者・発達障害者それぞれが得ている1カ月あたりの平均賃金は、以下の通りです。

  • 身体障害者:21万5,000円
  • 知的障害者:11万7,000円
  • 精神障害者:12万5,000円
  • 発達障害者:12万7,000円

障害者雇用の給料は、障害の種類によって平均金額が異なると分かります。

※一般的に給料は基本給を指し、諸手当を含めませんが、本記事では諸手当を含めた給与を給料としています。

参考:平成30年度障害者雇用実態調査結果 P.9 P.13 P.18 P.23|厚生労働省

一般雇用との違い

障害者の雇用に関するルールは、国により定められています。一般雇用との大きな違いは2つです。障害者雇用は「障害者雇用促進法」に基づいた雇用形態であり、障害者手帳・療育手帳を持っている人に対象が限定されます。

障害者雇用の場合、職場環境やサポート体制などに関して企業側の配慮が得られる点も、一般雇用との大きな違いです。

障害者雇用促進法では、従業員を43.5人以上雇用している事業主は、1人以上の障害者を雇わなければならないと決まっています。ただ障害者を雇うだけでなく、個々の適性や能力を生かして働ける職場づくりも、事業主に求められている措置の1つです。

参考:事業主の方へ|厚生労働省

給料が低くなる傾向にある理由

給料袋と現金

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障害者の平均年収は低い傾向にあります。「平成30年度障害者雇用実態調査結果」をもとに1カ月あたりの平均賃金×12カ月で算出すると、身体障害者は258万円、知的障害者は140万4,000円、精神障害者は150万円、発達障害者は152万4,000円です。

日本の給与所得者全体の平均年収は443万円なので、全体的に低めの金額といえます。なぜ給料が低くなるのか、見ていきましょう。

参考:令和3年分 民間給与実態統計調査|国税庁

雇用形態

給料の額はさまざまな要因をもとに決まり、雇用形態にも左右されます。「平成30年度障害者雇用実態調査」から、障害の種類ごとに正社員(有期契約を含む)の割合を確認すると以下の通りです。

  • 身体障害者:52.5%
  • 知的障害者:19.8%
  • 精神障害者:25.5%
  • 発達障害者:22.7%

正社員の割合が低い点は、障害者雇用の給料が低くなる理由の1つです。契約社員や派遣社員といった非正規雇用では基本給以外の手当や賞与・昇給がない場合も多く、正社員と比べて賃金が低くなる傾向にあります。

参考:平成30年度障害者雇用実態調査結果 P.8 P.12 P.17 P.22|厚生労働省

仕事内容やキャリア形成

一般雇用の人と比べて仕事内容の面で差が生じる点も、障害者雇用の給料が低くなる原因の1つです。障害の度合いによっては、仕事内容に制限が設けられます。

自由に身体を動かせない関係で重い物を運べない人もいれば、顧客のもとに直接足を運ぶのが難しい場合もあるでしょう。仕事内容に制限がかかるということは、キャリア形成の面でも不利です。

リーダーやマネジメント職になると、役職手当が支給されたり昇給したりするケースが珍しくありません。簡単なルーティンワークが中心の人は、昇進に必要な評価を受けにくく、結果的に給料が低い水準のままになってしまいがちです。

勤務時間

「平成30年度障害者雇用実態調査」では、障害者に対する配慮事項として、身体障害者では51.8%、知的障害者では57.6%、精神障害者では70.8%、発達障害者では76.8%の事業所が「短時間勤務等勤務時間の配慮」をしていると答えています。

障害者の心身に負担がかからないように勤務時間を短くしている事業所が多い点も、給料が少なくなる理由の1つです。これは障害者に限った話ではなく、時短勤務中の人はフルタイムの人に比べて、もらえる給料の額が減ります。

時短勤務では労働者が提供できる労働力が少なくなるため、短縮された労働時間分の給料しかもらえません。

民法の労働と報酬に関する決まりでも

労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。

と定められており、働いていない分の給料は発生しないと解釈できます。

参考:平成30年度障害者雇用実態調査結果|厚生労働省

出典:民法 第624条 第1項 | e-Gov法令検索

障害者雇用で収入を増やすには

電卓を使う

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障害者雇用で働いている人でも、収入を増やす方法はあります。どのようなことをすればよいのか、チェックしましょう。

正社員登用制度を活用

正社員になれば給料が上がったり賞与が支給されるようになったりして、収入を増やせるようになる可能性があります。最初は非正規雇用での採用でも、正社員登用制度があれば待遇の向上を目指せるでしょう。

正社員になりたい意思を示し、仕事ぶりで評価を受けていれば、非正規社員から正社員になれる可能性は十分にあります。

最初から正社員雇用のみに絞って仕事を探すよりも、就職へのハードルを下げられるのが正社員登用のメリットです。非正規雇用から正社員登用で待遇アップを狙う道も、視野に入れておくとよいでしょう。

ただし、どの企業でも正社員登用制度が設けられているわけではありません。制度の有無の確認をしてから応募することが大事です。

資格の取得にチャレンジする

その仕事に役立つ資格を取得すると、資格手当をもらえる場合があります。資格手当には一時金と、毎月の給料に上乗せして支給されるものがあり、数千~数万円程度の給料アップが見込めるでしょう。

どのような資格に手当を設けているのかは、業種や職種によって違います。その職種との関連性が高く、難易度が高いものほど、高額の手当が設けられているケースが一般的です。

たとえ資格手当がなかったとしても、向上心を持って資格取得に取り組む前向きな姿勢や、勉強を通して培った専門性が評価される可能性もあります。

転職をする際も資格を持っていると有利になる場合があるので、興味のある資格にはぜひ挑戦してみましょう。

公的な制度を利用する

障害年金は病気やけがで働けなくなった場合や、生活が制限される場合に受け取れる年金です。障害基礎年金と障害厚生年金に分けられ、それぞれ初診日の時点で国民年金・厚生年金に加入していた人を対象としています。

受け取れる金額は障害等級によって異なり、申請して審査に通らなければ受け取れません。年金の加入状況によっても、支給を受けられるかどうかが変わります。働ける状態でも、申請すれば受け取れる可能性があるので、かかりつけ医に相談してみましょう。

納税者本人や扶養家族が障害者である場合に受けられる「障害者控除」も、障害者雇用で働きながら収入を増やすために使える制度です。

障害者控除は原則として、障害者手帳を持っている人を対象としています。年末調整や確定申告で申告することで、課税所得から障害の程度や本人との関係によって27万〜75万円が差し引かれる決まりです。

参考:
障害年金|日本年金機構
No.1160 障害者控除|国税庁

障害者雇用を探すには

スマホと携帯電話

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ハローワークへ行く以外にも、障害者雇用の仕事を探す方法はあります。どのような点に注意して、どこで求人情報を探せばよいのか確認しましょう。

転職サイトを利用する

ハローワークでも障害者雇用の求人は探せますが、紹介された求人だけでは待遇面に満足できない可能性もあります。より自分に合った求人に応募した方が、採用された後もやる気を持って働けるはずです。

転職サイトを利用すれば、理想とする条件にマッチした幅広い求人を探せるでしょう。例えばスタンバイで「障害者雇用」のキーワードを検索すると、30万件以上の求人情報がヒットします(2023年1月17日時点)。

他にも勤務地・職種・給与の幅など、希望する条件で絞り込んで検索できるので、理想の職場探しに役立てましょう。

障害者雇用の求人・仕事・採用|スタンバイでお仕事探し

転職の際は福利厚生や手当にも注目

給料だけで転職先を決めてしまうと、福利厚生や各種手当に満足できず、後悔する場合もあります。給料が低く設定されている企業は、その分福利厚生や手当が手厚くなっている可能性があるので、提示されている条件を細かくチェックしましょう。

福利厚生は企業によってさまざまな種類があります。例えば、食事補助・住宅手当・子育て支援などがあり、長い目で見ると大きな節約になるケースは珍しくありません。

企業によってはジムや保養所を格安で利用できる制度を設けている場合もあり、活用すればお金をかけずにプライベートを充実させられるでしょう。

障害者雇用の給料はケースバイケース

握手するスーツの男性

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障害者雇用の給料は、日本の給与所得者全体の平均年収に比べると安い傾向です。障害の種類によっても異なり、労働時間が短い人や仕事内容が制限されている人ほど、多くの給料を得るのは難しいでしょう。

障害者は正社員以外の雇用形態である場合が多く、昇給や昇進がしづらい点も給料が安い理由の1つです。しかし人によっては、正社員として雇用されフルタイムで働いている場合もあり、ケースバイケースだといえます。

障害者が利用できる制度を最大限に使えば収入を増やせる可能性もあり、現状に満足できない人は、収入アップを目指してスタンバイのような転職サイトを利用するのがおすすめです。

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