派遣社員はどれくらいの給料がもらえる?給料を上げる方法も紹介

新しい働き方を模索している場合に気になるのは、その働き方でどれくらいの給料がもらえるのかという点です。給料事情が分かれば、転職後の生活がより明確にイメージできるでしょう。厚生労働省などのデータから、派遣社員の給料について解説します。

派遣社員の給料の実像

お金と電卓

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今後働くときの雇用形態として派遣社員を検討する中で、給料の水準が気になったことはありませんか?平均してどの程度の給料をもらえるのか、データに基づいて実態を確認しましょう。

※一般的に給料は基本給を指し、残業代をはじめとした諸手当を含めませんが、本記事では諸手当を含めた賃金を給料として扱います。

派遣社員全体の平均賃金は約377万円

厚生労働省が発表した2021年度の「労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」によると、派遣労働者全体の平均給料(8時間換算)は、1万5,698円です。年間240日働くと、年収は376万7,520円になります。

雇用契約で就業する期間が決められている有期雇用派遣に絞ると、1日当たりの給料は1万3,409円(年間240日働くと321万8,160円)です。

一方、派遣会社と期間に定めのない契約を結んで働く無期雇用派遣の場合、1日当たりの給料は1万6,231円(年間240日働くと年収389万5,440円)となっています。

参考:令和3年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)|厚生労働省

平均時給が高いのは大都市圏

派遣社員に支払われる給料は、大きな都市がある都道府県ほど高い傾向にあります。

2018年度の「労働者派遣事業報告書の集計結果(労働者派遣事業・都道府県別)」によると、東京都で働く派遣社員の平均給料は日額1万7,989円です。ほかに神奈川県(1万6,856円)や大阪府(1万5,341円)も、派遣社員の給料が高い地域といえるでしょう。

最も給料が低い鳥取県(1万1,248円)と東京都を比べると、日給にして6,650円、年収にして約162万円(年間240日勤務した場合)の差があります。給料の高さを考えるなら、大都市圏で仕事を探すのが鉄則と考えてよいでしょう。

参考:平成30年度労働者派遣事業報告書の集計結果(労働者派遣事業・都道府県別)

専門性の高い職種は高時給

2022年度の「労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」によると、情報処理・通信技術者は1日当たり1万9,886円、建築・土木・測量技術者は2万332円と、専門性が要求される職種では給料が平均して高くなっています。

未経験でもチャレンジしやすい仕事の中では、営業職業従事者(1万5,278円)が高収入を期待できる職種です。一般事務従事者(1万1,435円)や商品販売従事者(1万714円)などは、給料が低い傾向にあります。

参考:令和3年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)|厚生労働省

正社員と比べた派遣社員の給料は?

データとお札

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派遣社員としての働き方を検討するときに気になるのが、正社員と比較した待遇の差ではないでしょうか?正社員と派遣社員の給料にどの程度の差があるのか、データから確認してみましょう。

130万円以上低くなっている

国税庁が実施した2021年分の「民間給与実態統計調査」によると、正社員の給料は平均して年間508万円です。派遣社員の給料は平均して年間約374万円なので、差は130万円を超えます。

派遣社員と正社員の給料が大きく違うのには、昇給の有無が関係していると考えられるでしょう。正社員の給料は、勤続年数が長くなるほどに上がっていくのが一般的です。

一方で派遣社員は例外を除いて、一定期間だけ働いたら次の職場に移ります。その職場で勤務年数を重ねて昇給することは、基本的にありません。

ただ、時給に換算すると、正社員より派遣社員の方が高い給料を得ている場合もあります。特に勤続年数が少ない若手の社員と比較すれば、派遣の方が待遇がよいケースも多く見られるでしょう。

参考:令和3年分 民間給与実態統計調査|国税庁

派遣社員の時給が高くなる理由

通帳を見る男性

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年齢や職種によっては、正社員に比べて派遣社員の時給が高くなるケースも見られます。派遣社員の時給が高くなるのは、どのような理由からなのでしょうか?

採用コストの分を派遣料金に回せる

派遣社員の時給が高くなる理由として挙げられるのが、派遣社員の活用により採用にかかるコストを削減できる点です。

正社員やアルバイトを募集するには、各種媒体に求人を出す必要があります。数万〜数十万円と、掲載だけで多大なコストがかかるケースも少なくありません。さらに面接をするには、面接官の人件費もかかります。

派遣社員であれば、派遣会社に依頼するだけで自社の求める人材を確保できます。派遣会社へのマージンは発生するものの、広告費や自社の人件費がかからない分だけ時給を高く設定できるのです。

ボーナスや昇給の分が上乗せされる

ボーナスや諸手当に相当する額が上乗せされているために、派遣社員の時給が高くなっているケースもあります。派遣社員は基本的に働いた時間に相当する時給だけ受け取る形になり、ボーナスの支払いはない場合が大半です。

同一労働同一賃金の導入で派遣社員にもボーナスの支給が期待されていますが、まだ支給されている職場は少ないでしょう。派遣会社によっては、まれに交通費の支給がない場合もあります。

本来であれば別に支給されるお金が時給に上乗せされるのも、派遣社員の時給が高くなる理由です。

残業代はもれなく支払われる

働いた時間に応じて時給が支払われる派遣社員は、残業したときも働いた分の給料をしっかりもらえます。

労働基準法には、原則として働いた分だけ残業代を支払うよう明記されています。しかし、時間単位の支払いではない正社員の場合、残業代が正しく給料に反映されずサービス残業となってしまうケースが後を絶ちません。

一方で派遣社員の場合は、残業も含めて働いた時間から厳密に給料が管理されます。万が一支払いがなければ派遣会社が交渉してくれるので、違法な状態が継続される心配はほぼないでしょう。

参考:労働基準法 第37条 | e-Gov法令検索

派遣社員として働くメリット

ファイルを確認する女性

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派遣社員には、正社員では享受できないメリットが数多くあります。今後の働き方として検討しているなら、給料以外の要素にも目を向けてみましょう。

ライフスタイルに合った働き方ができる

派遣社員を選ぶメリットとして、望んだライフスタイルを実現しやすい点が挙げられます。

派遣社員は、派遣会社との間で結ばれた契約に規定された仕事以外をする必要がありません。仕事内容をよく吟味した上で契約を結べば、自分の理想とする働き方を実現できます。

派遣社員は必ずしもフルタイムで働く必要はないため、週休4日の仕事を選んで趣味や副業に時間を費やしたり、時短の仕事をしながら子どもとの時間を多く作ったりする働き方も選べます。

自分のライフスタイルを守りながら働きたい人にとって、派遣社員は魅力的な働き方といえるでしょう。

人間関係に煩わされにくい

人間関係の悩みを抱えにくいのも、派遣社員として働くメリットです。派遣社員は基本的に有期雇用のため、自分を取り巻く人間関係が定期的にリセットされます。

派遣社員は一定期間(最長でも3年)その職場で働いた後、職場を去ることが決まっています。雇用期間が終了すれば人間関係も強制的に終了するため、必要以上に人間関係に煩わされる心配がありません。

職場に反りの合わない人がいても、長く続く付き合いではないと割り切れれば、ストレスも小さくなるでしょう。必要以上に周囲に気を使わなくてよい環境だと、仕事にも打ち込みやすくなります。

参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第35条の2 第35条の3 第40条の2 第40条の3 | e-Gov法令検索

派遣会社のサポートが受けられる

派遣会社の充実したサポートを受けられるのも、派遣社員として働くメリットです。派遣会社には、契約する派遣社員たちが働きやすい環境を整えるためのサポートが充実しています。

サポートの代表例が、資格取得支援です。派遣会社によっては、資格を取得した際に報奨金や一時金が支払われるケースがあります。スキルアップを実現しながらお金がもらえれば、資格取得へのモチベーションが上がるでしょう。

ほかにもPCスキルやビジネスマナーを学ぶ研修や、仕事の悩みを相談できるキャリアカウンセリング・相談窓口が用意されているのが通常です。

派遣社員として給料を上げるには

デスクワークをする女性

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昇給という形で給料が上がらない派遣社員は、正社員とは異なるアプローチで給料アップを実現していく必要があります。派遣社員として高収入を目指す方法を確認しましょう。

複数の派遣会社に登録しておく

派遣社員として高収入を実現したいなら、複数の派遣会社に登録するのがおすすめです。求人は派遣会社ごとに異なるため、登録する派遣会社の数を増やせば選択肢を広げられます。

同じような仕事でも、派遣会社が違えば時給にも差が出るものです。複数の派遣会社に登録しで似た仕事の時給を比較すれば、好条件の求人を選びやすくなるでしょう。

ただ、登録する派遣会社は2~3社程度にとどめておくのが賢明です。あまりに多くの派遣会社に登録していると、派遣会社からの提案を断る機会が多くなります。働く意思がないと判断されて、紹介が来なくなるかもしれません。

都市部に限定して仕事を探す

派遣社員として給料をアップさせたいなら、できるだけ都市部に絞って求人を探しましょう。都市部の方が時給の高い求人が多いので、高収入を実現しやすくなります。

日本人材派遣協会が発表した2018年度の「労働者派遣事業報告書の集計結果(労働者派遣事業・都道府県別)」を見ると、1日当たりの派遣料金(派遣労働者全体)は東京都では2万8,064円ですが、北海道では2万336円となっています。

派遣社員に支払われる給料は、派遣料金に比例して増える仕組みです。派遣料金が高い首都圏・都市部で就業すれば、高収入を実現しやすいでしょう。

求人数の多さも、都市部で派遣の仕事を探すメリットです。選べる仕事が多いほど、希望に合った求人を見つけやすくなります。

参考:平成30年度労働者派遣事業報告書の集計結果(労働者派遣事業・都道府県別)

資格の取得を目指す

資格の取得も派遣社員の給料を上げる手段の1つです。時給が高い求人の中には、資格を持っている人に限って募集しているものが多くあります。

資格を持っているからといって、必ず給料が上がるわけではありません。ただ、希望の職種の実務に直結する資格があるなら、事前に取得しておくと有利に働くでしょう。

事務系の派遣で給料を目指す人におすすめの資格が、「MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)」です。MOSを取得しておけば、事務仕事の必需品であるオフィスソフトを使いこなせる人材であると証明できます。

MOS公式サイト-マイクロソフト オフィス スペシャリスト

派遣社員で高待遇かつ自由な働き方を実現

デスクワーク

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派遣という働き方にネガティブなイメージを抱く人は、少なからずいます。しかし派遣には、ほかの働き方では味わえないメリットもある働き方です。

正社員と比較して年収は低くなりがちですが、ボーナスや昇給が望みにくい分、時給換算で高めの給料を得られる側面もあります。紹介した給料の平均額も参考にしながら、今後の働き方として検討してみましょう。

派遣の仕事探しには、スタンバイの活用がおすすめです。豊富な求人を抱えるスタンバイなら、自分の希望に合った派遣の仕事が見つかるはずです。

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