インフラエンジニアは「やめとけ」?やりがいや向いている人も解説

ITインフラの構築や運用に関わるインフラエンジニアは、情報化社会を支える縁の下の力持ちです。重要な職業なのにもかかわらず「やめとけ」といわれるのはなぜでしょうか?将来性や今後の需要、向いている人の特徴なども解説します。

「インフラエンジニアはやめとけ」といわれる理由は?

悩むビジネスマン

(出典) photo-ac.com

インフラエンジニアは、企業のITインフラを担う重要な職種です。将来性が高いのにもかかわらず「インフラエンジニアはやめとけ」という声が聞かれるのはなぜでしょうか?

残業・夜勤がある職場も

1つ目の理由に、勤務時間の不規則さが挙げられます。インフラエンジニアは、IT基盤の設計・構築・運用・保全を担当する技術者です。24時間365日の安定稼働を求める企業では、夜間や休日も監視業務を続けなければなりません。夜勤は交代制ですが、昼夜逆転で体調を崩してしまう人もいるでしょう。

システムの導入やメンテナンスは、システムが稼働していない時間帯に行う方が負荷は少なくて済みます。従業員が退社した後にスタートし、明け方までに作業を終えるのが一般的なので「大変な仕事」というイメージを持たれてしまうのだと考えられます。

実際のところ、他のエンジニアに比べると残業時間はそれほど多くはありません。しかし、スケジュール通りに作業が進まなかったり、トラブル復旧のめどが立たなかったりすれば、残業も増えていきます。

緊急のシステム障害に対応する必要がある

ネットワークやサーバーの不具合は、企業の経営活動に大きな影響を及ぼします。トラブルが起こったときは、休日や深夜でも迅速に対応する必要があり、肉体的・精神的にハードです。

せっかくまとまった休みが取れても「電話がかかってこないだろうか」「ちゃんと稼働しているだろうか」と落ち着かず、旅行やイベントが存分に楽しめない人もいるかもしれません。常に緊張した状態で生活していると、知らずしらずのうちに疲れもたまっていくでしょう。

仕事とプライベートのメリハリを付けたい人にとって、インフラエンジニアはあまり向いていないといえます。肉体的・精神的にタフでなければ、長く続けていくことは難しいといえます。

裏方の仕事で成果を実感しにくい

インフラエンジニアの中でも下流工程を担う人は、システムの運用・保守がメイン業務となります。

成果物を評価される機会がほとんどない上、マニュアル化されたルーティン業務が多いため「自分の仕事ぶりは評価してもらえているのか」「成長できているのだろうか…」と心配になる人もいるようです。

ITインフラは企業にとっての生命線ですが、多くの人は「正常稼働が当たり前」と認識しています。トラブルを解決しても、評価・感謝される機会が少なく、報われないと感じることもあるでしょう。

インフラエンジニアの将来性の実態

プログラミング

(出典) photo-ac.com

インフラエンジニアはあまり目立たない職業だけに、他のITエンジニアに比べると「将来性がない」と評価される傾向にあります。ネガティブな面だけがクローズアップされがちですが、本当に将来性は期待できないのでしょうか?

将来性は十分期待できる

結論からいうと、インフラエンジニアは需要が高く、将来性は十分に期待できます。その理由としては、以下の2つが挙げられます。

  • IT業界は慢性的な人手不足に陥っている
  • 企業のIT化が本格化している

周知の通り、IT業界は深刻なIT人材不足で、インフラエンジニアも例外ではありません。企業のIT化が本格化する中、ITインフラの構築や運用などを手掛けるエンジニアの需要は高いといってよいでしょう。

特に、AIやクラウドなどの最先端技術を扱えるエンジニアは、多くの企業で重宝されます。

将来性がないといわれる理由

一時期、ネットでは「インフラエンジニアは将来性がない」という書き込みが目立ちました。従来のオンプレミスからクラウドに移行すると、物理的な機器の管理が不要になるため、運用や保守に携わるインフラエンジニアの仕事も激減すると考えられたためです。

とはいえ、全てのサーバーをクラウドに移行するケースはごくまれです。監視や運用の自動化も進んでいますが、インフラエンジニアの仕事がゼロになる可能性は低いといえます。

5年・10年後も活躍できるシステムエンジニアになるためには、従来のオンプレミスとクラウドの両方を扱えるスキルが必要です。

インフラエンジニアの「上流」「下流」とは

パソコンで作業をする

(出典) photo-ac.com

インフラエンジニアの仕事は「上流」と「下流」に大別されます。一般的に、上流はプロセスの前半で、下流はプロセスの後半といわれています。上流と下流では、仕事内容や必要とされるスキルが異なります。

開発の前半部分を担う「上流」

インフラエンジニアがITインフラを構築する場合、以下の流れでプロセスを進めていきます。

  1. 要件定義
  2. 設計
  3. 構築
  4. テスト
  5. リリース
  6. 運用・保守

上記のプロセスのうち、要件定義や設計に関わる部分を「上流工程」と呼びます。具体的には、システム構築を検討している企業から要望をヒアリングし、設計書を作成します。打ち合わせや設計作業は日中に行われるため、夜勤はほとんどありません。

上流を担うインフラエンジニアには、システムやネットワークに関する専門知識に加え、コミュニケーションスキルや、ドキュメント作成スキル・プレゼンスキルなどが求められます。

開発の後半部分を担う「下流」

構築から運用・保守までのプロセスは「下流工程」と呼ばれます。経験の浅いインフラエンジニアは、最初に下流工程で実績を積み、上流工程へのキャリアップを目指すのが一般的です。下流での業務には以下のようなスキルが必要です。

  • サーバー・ネットワークの基礎知識
  • セキュリティに関する知識
  • OS操作・コマンド操作スキル
  • プログラミングスキル

下流工程では、夜勤や緊急の呼び出しは当たり前です。トラブル発生時は夜通しで作業しなければならず、忍耐力がない人は務まりません。「インフラエンジニアはやめとけ」といわれるゆえんは、下流工程のハードさにあるといえるでしょう。

インフラエンジニアになるメリット

プログラマー

(出典) photo-ac.com

エンジニアを目指している人の中には「インフラエンジニアになるメリットはあるの?」「他のエンジニアの方がやりがいがあるのでは…」と感じている人がいるかもしれません。インフラエンジニアになるメリットや魅力はあるのでしょうか?

努力次第でキャリアアップできる

インフラエンジニアの下流工程は、マニュアルを基にしたルーティン業務が多く、IT業界未経験者でも挑戦しやすいのが特徴です。

IT業界の慢性的な人手不足に伴い、近年は「ITの知識さえあれば、エンジニア未経験でも応募可能」という採用企業が増えています。就職・転職のチャンスがつかみやすく、努力次第では上流工程へのキャリアアップが可能でしょう。

今後は、ITインフラのクラウド化が進んでいくと予測できるため、クラウドサーバーの知識とスキルも身に付けておくと有利です。

規模が大きい案件に関われることも

インフラエンジニアは、顧客先に常駐して作業を行う「客先常駐型」が大半です。大企業や公的機関での需要が多く、規模の大きな案件に関われる機会にも恵まれます。

社外の優秀なエンジニアによるプロジェクトチームが組まれることもあり、他のエンジニアから学べるチャンスも少なくありません。

エンジニアの世界は実力主義です。学歴や職歴がない人でも、高度な専門知識と技術さえ備えていれば、多方面で活躍できる可能性は高いといえます。

社会貢献度が高く自信につながる

アプリケーションやゲームを開発するエンジニアに比べると、インフラエンジニアは地味で目立たない存在かもしれません。

しかし、私たちの生活や社会は、ITインフラによって支えられています。ITインフラの設計・構築・運用・保守を担うインフラエンジニアがいなければ、社会はうまく機能しないといっても過言でありません。病院・金融機関や、自治体のシステムもITインフラによって支えられています。

社会貢献度が高く、自信と誇りを持って仕事ができることは大きな魅力といえます。

インフラエンジニアに向いている人

パソコンを操作する男性

(出典) photo-ac.com

インフラエンジニアは、未経験でもチャレンジしやすい職業ですが、向き・不向きがあり、人によっては長続きしない場合もあります。優秀なインフラエンジニアとして業界で長く活躍できるのは、どのようなタイプの人なのでしょうか?

知的好奇心・探究心が旺盛な人

IT業界は技術や情報のアップデートが速く、既存の知識や技術だけで満足している人は、すぐに取り残されてしまいます。急速な変化に柔軟に対応するためにも、スキルのアップデートを図ることが肝要です。

インフラエンジニアに限りませんが、知的好奇心や探求心が旺盛で、学びに対して貪欲な人ほど成功しやすいといえます。「自分で調べるのが好き」「できるまで何度もチャレンジする」という人は、インフラエンジニア向きと考えられます。

キャリアパスや目標が明確で、主体的に努力ができる人も大きく飛躍するでしょう。

機械・IT機器に触れるのが好きな人

インフラエンジニアは、サーバー機器やネットワーク機器などのハードウエアを相手にする仕事です。

現場では、ルーター・スイッチングハブや、ネットワーク用の配線などを取り扱うため、IT機器の扱いに慣れている人や、機械いじりが好きな人であれば、日々の業務が苦にならないでしょう。

インフラ構築の全工程では、物事の因果関係を整理しながら、筋道を立てて考えていく「論理的思考力」が必要とされます。論理的思考ができる人は、顧客に説得力のある説明が容易にでき、トラブルの原因と解決法を素早く導き出せるでしょう。

逆に「機械いじりが苦手」「論理的に考えるよりも直感で行動する」という人は、インフラエンジニアにはあまり向いていないかもしれません。

コミュニケーション能力が高い人

インフラエンジニアは、1人で黙々と作業することもあれば、チーム単位で動くこともあり、個の力とチーム力のバランスが重要です。

チームプロジェクトでは、コミュニケーション能力や協調性が試されます。客先常駐型で働く場合は、その会社の従業員との関係性も大事にしなければなりません。

また、上流工程を担うエンジニアは、クライアントと話をする機会が多いため、コミュニケーションが苦手な人にはあまり向いていないといえます。相手の価値観やニーズを正しく理解できなければ、その後のプロセスが失敗する恐れもあります。

インフラエンジニアは将来性も十分

パソコンを見ている男性

(出典) photo-ac.com

インフラエンジニアの仕事は、社会にとって不可欠です。将来性に期待できる上に社会貢献性も高く、やりがいを持って働けるといえます。

時代が変化すれば、エンジニアに求められるスキルも変わります。学びの姿勢を忘れなければ、業界で長く活躍できるはずです。

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