高卒の給料は?初任給や生涯賃金を大卒と比較。高給料な業界も紹介

高卒の給料は、大卒と比較すると低くなる傾向にあります。ただし、業種・職種によっては、高卒でも高額な給料を得ることは可能です。高卒の給料について、初任給や生涯賃金を交えて紹介します。また高卒が高い給料を得ている業界についても解説します。

高卒の給料は?大卒と比較

給料のイメージ

(出典) pixta.jp

高卒の給料は、大卒と比較すると低水準で遷移している傾向にあります。初任給や平均賃金・生涯賃金を比較しながら紹介します。

高卒・大卒の初任給

高卒・大卒の初任給については、厚生労働省が発表する「2022年賃金構造基本統計調査」で確認できます。(※1)

資料によると高卒の初任給は、18万1,200円です。一方、大卒は22万8,500円となっており、大卒の方が4万円以上高くなっていることが分かります。

また、男女別に見た場合は、高卒男性の初任給は18万3,400円、大卒男性は22万9,700円です。高卒女性の初任給は17万7,600円、大卒女性の初任給は22万7,200円となっており、特に高卒女性の給料が低い傾向にあります。

(※1)ここでいう初任給は、所得税や社会保険料などを控除する前の金額から、時間外手当などの超過労働給与額を差し引いた金額

参考:令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況 新規学卒者の学歴別にみた賃金|厚生労働省

高卒・大卒の平均賃金

厚生労働省の「2022年賃金構造基本統計調査」から、両者の平均賃金(※2)を確認しましょう。

高卒全体の平均賃金は27万3,800円、大卒の平均賃金は36万2,800円です。月額で約9万円も大卒の方が多く、その差は大きいといえます。

男女別に見ると、高卒男性の平均賃金は29万7,500円、大卒男性の平均賃金は39万2,100円です。一方、高卒女性の平均賃金は22万2,900円、大卒女性の平均賃金は29万4,000円です。

平均賃金が最も低い高卒女性と最も高い大卒男性を比較すると、差額は約17万円もあり、かなりの開きが見られます。

(※2)賃金とは、所得税や社会保険料などを控除する前の金額から、時間外手当などの超過労働給与額を差し引いた金額

参考:令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況 学歴別にみた賃金|厚生労働省

高卒・大卒の生涯賃金

両者の生涯賃金(※3)については、厚生労働省所管の独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が発表する「ユースフル労働統計2022」で確認できます。退職金なし(※4)・あり(※5)のケースについて高卒男性と大卒男性を比較します。

高卒男性の生涯賃金は2億500万円、大卒男性の生涯賃金は2億6,190万円となっています。高卒男性よりも大卒男性の方が5,000万円以上多くもらっています。

一方、退職金ありの高卒男性の生涯賃金は2億5,410万円、大卒男性の生涯賃金は3億2,780万円です。差額は約7,000万円となり、退職金をもらっても縮まりません。このような結果から、学歴による生涯賃金の違いは大きいいえます。

(※3)所得税や社会保険料を控除する前の賃金。各種手当や超過労働給与額も含まれる
(※4)労働者が学校を卒業してすぐに就職し、正社員として60歳までフルタイム労働した場合。必ずしも生涯同じ企業とは限らない
(※5)労働者が学校を卒業後すぐに就職し、正社員として60歳までフルタイムで働いて退職金を受け取り、平均引退年までフルタイムの非正社員を続けた場合

参考:ユースフル労働統計2022 ―労働統計加工指標集― 生涯賃金など生涯に関する指標|労働政策研究・研修機構(JILPT)

高卒の賃金がピークとなる年齢

高卒の賃金(※6)がピークとなるのは、定年間際の55~59歳です。この傾向は大卒・男女でも変わりません。

55~59歳時点の賃金を比較すると、高卒全体では31万4,300円、大卒全体では49
万1,100円です。ピーク時の賃金も、大卒の方がより高額な賃金を得ています。

ほかの年代を見ても、高卒が大卒を上回ることがないのが現状です。

(※6)賃金とは、賃金、給与、各種手当、通勤手当、賞与など労働の対償として事業主が労働者に支払うすべての金額

参考:令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況 学歴別|厚生労働省

【高卒の給料が高い仕事】建設業

建築現場で働く女性

(出典) pixta.jp

建設業は、建設工事や建設工事の工程で必要となる仕事全般のことを指します。体力勝負の仕事が多く、さほど学歴は重視されない傾向にあります。そのため、高卒で高給を得ている人も多くいるでしょう。
建設業の中から、給料が高い仕事を探している人におすすめの仕事を紹介します。

なお本記事での平均給料は、厚生労働省が毎年公表している「賃金構造基本統計調査」(2022年)の「きまって支給する現金給与額(企業規模計10人以上)」を引用しました。

一方、平均年収は「きまって支給する現金給与額(企業規模計10人以上)」に12カ月を掛け「年間賞与その他特別給与額」を足して計算したものです。

参考:令和4年賃金構造基本統計調査(順次掲載予定) 一般労働者 職種|e-Stat

建設機械オペレーター

建設機械オペレーターの仕事は、機械の運転・コンディションの維持・安全管理全般です。扱う機械は現場によって異なりますが、総重量100トンを超える超大型重機を扱うこともあります。

建設機械オペレーターになるには、建設会社や機械リース会社へ入社します。入社後は、厚生労働省が実施する「車両系建設機械運転技能講習」を受けた後、現場に入ることとなるでしょう。なお、各種建設機械を操作するためには、機械に応じた免許の取得が必要です。

建設機械オペレーター(その他の定置・建設機械運転従事者)の平均年収は432万9,100円、平均給料は30万3,700円となっています。

配管工

配管工は、住居や工場などに設置されている配管工事を担当します。仕事では配管の素材に合わせた接合を行えるよう、ねじ接合・溶接・接着などのスキルが求められます。

配管工になるために必要な学歴は、特にありません。高卒も多く、設備工事会社などに入社して、現場でスキルを学ぶルートが一般的なようです。

また、より多くの仕事に携わりたい人は、厚生労働省が実施する「配管技能士」や「給水装置工事主任技術者」を取得する方法もあります。

配管工(配管従事者)の平均年収は485万2,800円、平均給料は33万8,800円です。

型枠大工

型枠大工は、鉄筋コンクリート工法で必要とされる型枠を作るのが仕事です。ビル・トンネル・橋など、コンクリートを使う工事現場で働くこととなります。

仕事では、施工図を正確に読み取って、型枠を組み立てなければなりません。空間判断力と工作能力が必要なほか、高所作業に耐えられることや、力仕事が苦にならないことも重要です。

高卒または高卒未満の人が多く、学歴は問われません。高校を卒業した後、コンクリート型枠施工会社に入るルートが一般的です。

型枠大工(大工)の平均年収は406万6,600円、平均給料は30万7,600円です。

【高卒の給料が高い仕事】運輸業

トラック運転手

(出典) pixta.jp

運輸業は、人々の生活に必要な日常品や大型貨物などを運搬するサービス業です。学歴不問のケースが多く、高卒の人も多く活躍しています。運輸業界から、高卒におすすめの給料が高い仕事を紹介します。

参考:令和4年賃金構造基本統計調査(順次掲載予定) 一般労働者 職種|e-Stat

トレーラートラック運転手

トレーラーを運転して長距離を走り、大量の荷物を輸送するのが仕事です。建築資材や大型機械・食料品など、さまざまなものを運びます。安全運転スキルと時間管理スキルが求められるほか、体調管理に気を配れることも重要です。

トレーラートラック運転手になる場合は、運送会社に就職するのが一般的です。学歴は不問ですが、大型自動車免許と牽引自動車免許は必要となります。

トレーラートラック運転手(営業用大型貨物自動車運転者)の平均年収は477万3,700円、平均給料は36万6,400円です。

タンクローリー乗務員

タンクローリー乗務員の業務は、運転や液体・高圧ガスなどの輸送・積み込みです。

就業に学歴は問われませんが、大型自動車運転免許や牽引免許の取得を求められます。また、運搬物に合わせて、毒物劇物取扱責任者や高圧ガス製造保安責任者などの資格も必要になるでしょう。

中途採用も多く、転職してタンクローリーの運転に従事する人も少なくありません。そのため、未経験者でも就業しやすい仕事といえます。

タンクローリー乗務員(営業用大型貨物自動車運転者)の平均年収は477万3,700円、平均給料は36万6,400円です。

港湾荷役作業員

船や港などで荷物の積み降ろしを行います。業務では大型クレーンや、ウインチ・フォークリフトなどを使うのが一般的です。

港湾荷役作業員になるルートとしては、港湾運送会社に就職する方法があります。基本的に学歴は不問のため、高卒で働く人も少なくありません。機械運転や玉掛けに携わる場合は、各種資格の取得が必要です。

港湾荷役作業員(船内・沿岸荷役従事者)の平均年収は585万9,900円、平均月給は41万4,600円となっています。

【高卒の給料が高い仕事】情報・通信業

プログラマーのイメージ

(出典) pixta.jp

情報伝達や情報処理に関するサービスを提供するのが、情報・通信業です。特定の技術が必要な仕事ですが、高卒の人が活躍できる場面もたくさんあります。情報・通信業から、高卒の給料が高い仕事を紹介します。

参考:令和4年賃金構造基本統計調査(順次掲載予定) 一般労働者 職種|e-Stat

プログラマー

システムエンジニアが作成した仕様書に基づき、プログラミングを行うのが仕事です。開発では下流工程の担い手として、コーディングやテスト・修正を行います。

プログラマーの仕事は、選択するプログラミング言語によって種類や方向性が変わります。ただし、どの職場でも、高いITリテラシーとセキュリティ意識は必要です。

学歴不問のケースが多く、知識とスキルがあれば高卒でも活躍できます。就業先はシステム開発会社やWeb開発会社となるでしょう。

プログラマー(ソフトウェア作成者)の平均年収は550万2,200円、平均給料は37万7,100円です。

ヘルプデスク(IT)

システムやツールなどの使用で生じる疑問・トラブル対応を行うのが仕事です。社内向けと「サポートデスク」とよばれる社外向けがあります。

業務では、システム・ツール・機器に関する知識や、ITリテラシーが必要です。また、対人の仕事であるため、対人スキルや問題解決能力が求められます。海外向けの商品を扱っている場合は、英語力も必要です。

ヘルプデスクも学歴不問で、必要な資格も特にありません。就業したい場合は、システム会社やシステム運用会社に就職するのが一般的です。

ヘルプデスク(その他の情報処理・通信技術者)の平均年収は534万6,100円、平均給料は35万9,700円です。

【高卒の給料が高い仕事】保険業

保険の営業のイメージ

(出典) pixta.jp

必要とする人に保険サービスを提供するのが保険業です。保険業界でも、高給を得ている高卒の人が多く見られます。保険業界から、高卒の給料が高い仕事を紹介します。

参考:令和4年賃金構造基本統計調査(順次掲載予定) 一般労働者 職種|e-Stat

保険営業(生命保険、損害保険)

家庭や会社に出向き、保険商品を販売する仕事です。主な種類として、病気や事故を補償する生命保険と、事故や火事・地震などを補償する損害保険があります。

仕事では保険商品の知識はもちろん、相手に必要な保険を見極める能力も必要です。信頼が業務のベースにあるため、コミュニケーション能力や社交性も重視されます。

保険営業として働く場合は、保険会社へ入社します。学歴や資格は不問ですが、保険営業を行うには「生命保険一般課程試験」「損害保険募集人一般試験」に合格する必要があります。

保険営業(保険営業職業従事者)の平均年収は446万9,500円、平均給料は32万4,100円です。

損害保険事務

自動車保険などの損害保険について、受付から保険料の支払までの業務を担当します。保険契約者から連絡があった場合は、事故対応の助言や、事故の相手との協議・必要な調査を実行するのが仕事です。

損害保険事務の仕事に就くには、損害保険会社に入社する必要があります。学歴や資格は不問ですが、高卒からダイレクトに入社するケースはまれです。実務経験のある人が、中途入社するケースが多いでしょう。

業務の遂行には保険商品の知識のほか、正確な支払保険金算定ができることや、各種関連法規などの知識が必要です。

損害保険事務(営業・販売事務従事者)の平均年収は471万4,100円、平均給料は31万7,700円となっています。

高卒で高い給料を得る方法

資格の勉強をする女性

(出典) pixta.jp

高卒で高い給料を得る方法としては「資格を取得すること」「転職すること」などがあります。それぞれ詳しく解説します。

業種別に役立つ資格を取得する

資格を取得することは、スキルの証明となります。より高度な仕事を任されやすく、給料アップにもつながるでしょう。

例えば、事務職ならパソコンスキルが高いと有利です。MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)の資格を所有していると、責任ある仕事に就きやすくなります。

また、建設業は資格を必須とする業務が少なくありません。資格手当を支給する会社が多い傾向にあり、資格の取得が給料アップに直結するはずです。

例えば、管工事施工管理技士1・2級や、建築施工管理技士1・2級などを取得すると、資格手当の支給を期待できます。

同業種で転職する方法もある

現在の仕事で、ある程度キャリアを積んでいる場合は、より給料の高い同業他社への転職がおすすめです。高卒だからこその「社会人として働いた期間が長い」「実績やスキルがある」というメリットを生かしましょう。即戦力になれることをアピールすれば、転職もスムーズに進むはずです。

また、大手企業への就職を希望する場合は、非正規で入社するのも1つの方法です。会社が正社員登用制度を設けていれば、途中で正社員になることも不可能ではありません。企業規模の大きな会社で働けば、給料は必然的にアップするでしょう。

成果で評価してくれる企業に転職する

完全実力主義の企業なら、成果と給料が比例します。バリバリ働いて稼ぎたい人は、成果型の会社に転職しましょう。

評価制度が整っていて実力主義の会社なら、学歴は関係ありません。実力次第で高い役職に就くことも可能です。

「どうやって仕事を探したらよいか分からない」という人は、日本最大級の仕事・求人探しサイト「スタンバイ」をチェックしましょう。

スタンバイなら、キーワードで理想の職場を探せます。「成果報酬型」でヒットする求人も多いので、興味のある業種・職種の求人に出会えるはずです。

どのような案件があるのか、まずは気軽にスマホで検索してみてはいかがでしょうか。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら

転職やスキルアップで高卒でも給料アップを目指せる!

前向きな女性

(出典) pixta.jp

高卒は大卒と比較して、給料が低くなる傾向にあります。とはいえ、学歴不問の業種・職種なら、働き次第で高給を得られます。建設業や運輸業など、高卒の人が多く働く職種をチェックしてみるのがおすすめです。

また、特定の業種・職種で実務経験がある人は、経験やスキル・知識を武器に、よりよい職場に転職できるでしょう。給料が上がらない職場に居続けるのは、時間のロスになるかもしれません。さっそく今からでも、転職活動を始めましょう。