クリエイターとは、クリエイティブな仕事に携わる人を指す言葉です。クリエイターにはさまざまな種類の職種があり、仕事の内容も異なります。クリエイターの種類ごとの仕事内容や、クリエイティブな仕事を目指す方法を解説します。
クリエイターの仕事とは?
クリエイターと聞くと、何かを作り出す仕事というイメージはあるものの、明確な定義が分からないという人も多いかもしれません。まずは、クリエイターとはどのような仕事なのか、明らかにしていきましょう。
発想を形にする仕事
クリエイターとは、自身の技術・スキルを使い、さまざまな発想を具現化する人を指す言葉です。オリジナルの発想によって制作する人だけでなく、クライアントから依頼を受け、デザイン・制作を通じてニーズを形にする人もいます。
芸術・デザイン・音楽・広告・ゲーム・Webコンテンツなど、クリエイターが活躍する分野はさまざまです。表現の手段・手法は分野によって異なるものの、創造性・独創性が求められる仕事という点では共通しているといえるでしょう。
また、デザイン・制作の中心にいる人物だけでなく、チームとして仕事に携わっているメンバーも含めてクリエイターと呼びます。
アーティストやデザイナーとの違いは?
クリエイターは、創造的な活動に従事する仕事全般を指す言葉なので、アーティストやデザイナーも大きなくくりで捉えればクリエイターです。厳密には、アーティストは主に芸術分野で活躍する人と定義できます。
絵画・彫刻のように形として残るものだけでなく、音楽の演奏・パフォーマンスなど、形はなくても自分の発想を自由に表現する人はアーティストと呼べるでしょう。
デザイナーは、さまざまな分野のデザインに関わる仕事です。クライアントからの要望に応じ、特定の目的・ニーズに沿って設計・図案などを考える仕事なので、クリエイターの職種の1つといえます。
クリエイターの種類
クリエイターの仕事は、主に「ディレクション系」と「制作ポジション」の2つに分かれます。それぞれの特徴について、具体的に見ていきましょう。
ディレクション系のクリエイター
ディレクション系のクリエイターは、制作現場において全体の指揮・監督の役割を果たす存在です。Webディレクター・アートディレクター・編集者・テレビ番組のプロデューサーなどが、ディレクション系のクリエイターに該当します。
クライアントのニーズを受けて企画を考えたり、責任者としてスケジュール・予算などを管理したりするのが主な仕事です。
管理側の立場となり、制作・デザインなどの作業に直接携わるケースは少ないですが、クリエイティブな現場で働くという点でクリエイターといえます。
制作ポジションのクリエイター
制作ポジションのクリエイターは、作り手側の立場としてものづくりを担当する人のことです。アイデア・コンセプトなどを、クライアントのニーズに合わせて実際の形に落とし込み、作品・成果物を作っていきます。
制作ポジションのクリエイターが活躍するジャンルは幅広く、Webデザイナー・イラストレーター・ゲームクリエイター・動画クリエイター・フロントエンドエンジニアなど、多種多様な職種があります。
企業に属している人や、業務委託・フリーランスとして活躍している人など、働き方もさまざまです。
クリエイターの主な職種
クリエイターが活躍する領域は幅広く、職種もさまざまです。代表的なクリエイターの職種を4つ紹介します。
Webクリエイター・Webデザイナー
Webクリエイター・Webデザイナーは、どちらもWebサイトの制作に携わる仕事です。Webクリエイターとは、Webサイトの制作に関わる仕事を総括した呼び名で、クライアントへのヒアリングからサイト設計・アクセス解析・保守まで幅広く担当します。
Webデザイナーは、Webサイトの制作において、主にグラフィックデザイン・レイアウトなど、Webサイトのビジュアル面を作り上げていくのが仕事です。WebデザイナーもWebクリエイターの1つに含まれる職種ですが、厳密には役割が異なります。
Webクリエイターとして活躍している人の中には、Webデザイナーとしての実績を積んできた人も少なくありません。
グラフィックデザイナー
グラフィックデザイナーは、視覚的な要素を用い、情報・メッセージを伝えるデザインを作成する仕事です。主に商品パッケージや広告、ポスターなど紙媒体のデザインを手がけますが、近年はWeb・映像分野で活躍する人もいます。
グラフィックデザイナーは、クライアントのニーズを満たしつつ、人目を引くデザインを作り出さなければなりません。クリエイティブな発想のほかに、コミュニケーション能力やデザインを作成するソフトウェア・ツールを駆使するスキルも求められます。
ゲームクリエイター
ゲームクリエイターは、アプリ・オンラインゲームなどの制作に携わる仕事です。ゲームの企画・コンセプトから始まり、デザイン・設計・プログラミングなど、それぞれ専門のクリエイターが集まって1つのゲームを完成させます。
ゲームのストーリーを作る「シナリオライター」や、キャラクター・背景などをデザインする「グラフィックデザイナー」、ゲームが設計通りに動くようプログラミングする「プログラマー」などが、ゲームクリエイターの主な職種です。
これらのクリエイターによって作られるゲームの開発全体をまとめる「ゲームプロデューサー」や、現場をまとめたり各クリエイターに指示を送ったりする「ゲームディレクター」もいます。
動画クリエイター
動画クリエイターは、動画編集からVR映像などの制作まで、動画制作に幅広く携わる仕事です。
動画クリエイターには、個人撮影から編集までを1人でこなす場合と、プロデューサー・カメラマン・エディターなど、各工程によって役職が分かれているケースの2種類があります。
フリーランスの動画クリエイターの場合は前者のスタイルが多く、制作会社などでは後者のように、さまざまなクリエイターが専門職として担当するのが一般的です。
動画クリエイターが制作する映像は、テレビ番組・映画・CM・企業のPR動画など、幅広い分野で利用されています。また、クライアントからの依頼で制作するだけでなく、YouTuberのように独自のコンテンツを作って配信する人もいます。
クリエイターの魅力とは?
クリエイターの仕事の魅力とは、いったい何なのでしょうか?多くのクリエイター職に共通する魅力を紹介します。
実績が直接評価に結び付く
クリエイターの仕事の成果は、たくさんの人の目に触れることが多いため、自分が作った作品の評価が分かりやすいのが特徴です。例えば、Web制作・動画配信であれば閲覧数や再生数、ゲームなら売上などによって分かりやすく可視化されます。
低評価の場合もダイレクトに伝わるので、厳しい側面はあるものの、作品が高く評価されたときの喜びは何ものにも代えがたい魅力といえるでしょう。
地道に制作していた作品がSNSなどで人気が出れば、優れたクリエイターとして認知され、大きな仕事につながる可能性もあります。
ものづくりの達成感を味わえる
ゼロからスタートした制作物が完成したときの達成感を味わえるのも、クリエイターの仕事の魅力です。印刷物など手に取れるものを制作したときは、作り終えた実感も大きいでしょう。
クライアントからの難しい要望に応えられたときや、タイトな納期に間に合ったときなど、制作に苦労した分だけ完成時の喜びもひとしおです。
クリエイターは、クライアントの要求に応じつつ、独創性・表現力も求められる大変な仕事といえます。完成したときの達成感は、次の仕事へのモチベーションにもなるでしょう。
クリエイターに必要なスキルとは?
クリエイターに必要なスキルは、それぞれの職種によって異なります。しかし、どのようなクリエイターであっても、身に付けておくべき基本的なスキルがあります。どのようなスキルが求められるのか見ていきましょう。
コミュニケーションスキル
クリエイターにコミュニケーションスキルは不可欠です。クライアントの要望・解決したい課題を正しく把握するためには、話を上手に聞き出すアプローチ力・ヒアリング力が必要です。
また自分の発想を形にするには、クライアントや一緒に働くメンバーに対して、意図・要求を明確に伝えなければなりません。
円滑なコミュニケーションができなければ、プロジェクトの進行・成果物のクオリティにも影響を及ぼします。
そもそも言葉・デザインを使って、見る人にメッセージを伝えるというクリエイターの仕事自体が、コミュニケーションそのものといえるでしょう。
課題解決力
クリエイターには、課題解決力も求められます。クリエイターの仕事は、クライアントの課題をクリエイティビティをもって解決することです。課題を明確に把握した上で解決策となる企画を提案し、成果物として提供しなければなりません。
制作途上では、さまざまなトラブル・問題が発生するケースもあるでしょう。そうした問題に対しても、適切に対応できる能力が必要です。
多くのクリエイターの中からプロとして生き残るためには、デザインスキル・発想力に加えて、課題解決力も必須といえます。
マネジメント力
クリエイターにとって必要なマネジメント力とは、時間・人を管理するスキルです。クリエイターの仕事には、必ず納期が付いて回ります。
どんなに優れた成果物が完成しても、クライアントから要求された期限内に届けられなければ、プロの仕事として十分とはいえません。
納期を守るためには、チーム内のクリエイターが各自の仕事のタイムリミットを把握して、自己管理することが必要です。
また、完成までに長い時間がかかる仕事では、モチベーションを保てるよう自分をマネジメントするスキルも求められます。
クリエイターになる方法は?
クリエイターになるには、企業に就職するかフリーランスとして独立するかの、2つの道があります。どちらがよいかは人それぞれの状況によって異なるので、自分に合った方法を選ぶのがポイントです。
クリエイターとして就職する
クリエイターとしてのキャリアをスタートしたいという人は、広告会社や制作会社、自社メディアを展開している企業などに就職するのが近道です。
企業に就職すると、クリエイターとしての実績が少ない人・未経験の人でも、就職先でスキルアップしたり知識を身に付けたりできるメリットがあります。多くの仕事に携わることで、クリエイターとしての実績も残せるでしょう。
求人検索エンジン「スタンバイ」には、さまざまな種類のクリエイターの求人が多数掲載されています。自分のスキルを生かせる仕事を探している人は、チェックしてみましょう。
フリーランスとして独立する
クリエイターとしての実績があれば、フリーランスとして独立することも可能です。フリーランスが仕事を受注するには、SNS経由・クラウドソーシングの活用などさまざまな方法があります。
近年はさまざまなクラウドソーシングのプラットフォームが存在するため、フリーランスでも仕事を見つけやすくなりました。自分の作品をまとめたポートフォリオをあらかじめ作っておくと、仕事の獲得に役立つでしょう。
フリーランスのクリエイターになるメリット
クリエイターの中には、フリーランスとして活躍している人も数多くいます。フリーランスのクリエイターになると、どのようなメリットがあるのでしょうか?3つのメリットを紹介します。
自分のペースで働ける
フリーランスのクリエイターになるメリットは、時間・場所を選ばず、自分の裁量で働ける点です。クリエイターの仕事には、パソコンがあればどこでも作業できるものも少なくありません。
自宅・コワーキングスペースなどのほか、各地を旅しながら仕事をするワーケーションというスタイルで働くクリエイターもいます。
会社員は就業時間が決まっていますが、フリーランスの場合は自分で好きなように決められます。平日に休みを取るなど、自分のライフスタイルに合わせて休日を設定できるのも、フリーランスならではです。
仕事を選べる
フリーランスになると、自分で仕事を選べるというメリットもあります。企業に所属している場合、上司・先輩から指示されれば、やりたくない仕事でもやらなければなりません。
しかし、フリーランスになれば自分で仕事を選べるため、やりたくない仕事をしてストレスを感じるといった場面を減らせるでしょう。
また、自分のスキルを生かせる仕事で実績を作り、フリーランスとしての価値を高められる利点もあります。専門性・難易度の高い案件に挑戦するなど、理想のキャリアパスを目指した仕事選びも可能です。
実力次第で収入アップを見込める
スキル・実績次第では、会社員より高収入を得られる可能性もあります。フリーランスは、受注する仕事の単価・量などを自分自身で決められるので、頑張った分だけ収入になるのが魅力です。
会社員の場合、個人でどれだけ成果を上げても、インセンティブ制を導入していなければ給料の額は大きく変わりません。
しかしフリーランスは、仕事の報酬は全て自分の収入になります。仕事の単価が上がれば、そのまま自分の収入に反映されるため、大幅な収入アップも可能です。
フリーランスのクリエイターになるデメリット
フリーランスには、メリットだけでなくデメリットも存在します。フリーランスを目指す人は、デメリットについても把握しておくことが大切です。フリーランスのデメリットを3つ解説します。
収入が不安定
フリーランスは、決まった給料が毎月支払われる会社員とは違い、収入が安定しにくいというデメリットがあります。仕事を獲得するのも自分なので、営業がうまくいかなければ収入に結び付きません。
仕事がある月とない月によって、収入に差が出てしまうのも特徴です。最低賃金が保障されているわけではないため、案件によっては作業工程に見合わない収入になるケースもあるでしょう。
契約先のクライアントの事情によっては、急に仕事がなくなるリスクもあります。安定して稼げるクリエイターになるには、スキルを上げておくことはもちろん、営業力を身に付けるといった努力も必要です。
スキルアップしにくい
フリーランスには、自分の好きな仕事を選べる反面、得意な仕事ばかり受けてしまいスキルアップしにくくなるというデメリットもあります。
会社員のように上司・先輩からのフィードバックもないので、弱みなどの分析も自分で行わなければなりません。
フリーランスになってもスキルを上げていくためには、意識してさまざまな仕事を受けることも1つの方法です。
スキルアップのために、セミナー・研修などに参加するのもよいでしょう。業界・仕事に関する情報交換のためにも、同業者との交流の場を持っておくことは重要です。
社会的信用や保証を得にくい
会社員に比べると、フリーランスは社会的な信用が低くなる可能性もあります。収入が安定しないことが、主な理由の1つといえるでしょう。住宅・車など、各種ローンを組みにくいといった経験をしているフリーランスも多いようです。
また、社会保険料や将来の保証に関するデメリットもあります。フリーランスになると社会保険料は全額自己負担となり、年金は厚生年金から国民年金へと切り替わります。
支出が増える一方、将来受け取れる年金額は減少するので、老後の資金計画をしっかり考えておくことが大切です。
クリエイターにはさまざまな種類がある
クリエイターは自分のスキルを生かし、アイデアを形にする仕事です。クリエイターにはさまざまな種類があり、活躍する分野も多岐にわたります。
独自性・発想力などが求められる分、優れた作品はダイレクトに評価されるなど、大きなやりがいも得られる仕事です。
実績次第では、独立して高収入を見込める魅力もあります。スキルが足りない人は、クリエイターとして就職し、経験を積んでいくのがおすすめです。