臨床検査技師の面接では、候補者の人柄や価値観、仕事に対する姿勢などをチェックされます。聞かれそうな質問を事前に把握し、回答を準備しておきましょう。身だしなみの注意点や、受け答えのコツについても解説します。
臨床検査技師の面接に向けた準備
臨床検査技師とは、病院や検査センターで臨床検査に従事する職業です。採用試験では、小論文や筆記試験、書類審査などが行われ、最終的な候補者が絞り込まれます。
書類審査後の面接は、採用の可否を決める最も重要なプロセスの1つです。万全の準備で臨みましょう。
応募先までのルートをチェック
書類審査に通過した候補者には、採用担当者より面接の日時や場所が伝えられます。面接会場までスムーズに行けるように、自宅からのルートや所要時間、交通手段を確認しておきましょう。地図アプリを使えば、最短ルートと適切な交通手段が分かります。
面接会場には、おおよそ10分前に到着するのが理想です。天候や交通機関の乱れによって、到着時間が遅れる可能性があるため、時間に余裕を持って出発するのが望ましいでしょう。万が一の事態を考えて、迂回ルートも決めておくのが賢明です。
面接当日までに時間があれば、会場付近まで足を運んでみることをおすすめします。
企業研究・自分なりの回答を考える
臨床検査技師の採用面接では、志望動機や退職理由のほかにも、さまざまな質問がなされます。聞かれそうな質問をピックアップし、自分なりの回答を用意しておきましょう。
医師や看護師などの職業に比べ、臨床検査技師はそれほど知名度が高い仕事ではありません。「なぜ臨床検査技師を目指したのか」「チーム医療でどのような役割を果たしたいのか」といった点を質問される可能性は高いといえます。
応募時点で企業研究を行っている人が大半ですが、Webサイトやインタビュー記事、公式SNSなどを改めてチェックし、応募先への理解を深めることが重要です。
面接でよく聞かれる質問は?
臨床検査技師の面接では、適性や資質、仕事へのモチベーションなどがチェックされます。聞かれそうな質問をあらかじめピックアップし、答える練習をしておきましょう。
退職・転職の理由
社会人経験がある人の場合、退職・転職の理由は必ずといってよいほど聞かれます。異業種からキャリアチェンジした人であれば、「転職を決めたきっかけは何か」「どんなキャリアプランを描いているのか」が問われるでしょう。
臨床検査技師の経験者の場合、「前の職場を離れなければならない理由」に注目が集まります。人間関係や給与の低さが本音であっても、以下のように前向きな理由を伝えるのがポイントです。
内視鏡検査の専門的な知識・スキルを磨き、早期がんの発見に貢献したいと考えています。現在の職場は内視鏡検査に携わる機会が少なく、キャリアプランを実現するために転職を決意しました。
長所・自己PR
面接官が長所や自己PRを求める理由は、候補者を採用するメリットを知るためです。ただの自慢話にならないように、自分の経験・スキルを臨床検査技師にどのように活かせるのか、関連付けて話しましょう。
候補者のコミュニケーション力を測る目的もあるため、結論から簡潔に話すように心掛けます。時間の指定がない場合は、1分以内に収めるのが適切です。
例文を確認しましょう。
私の強みは、探究心が強いことです。気になったことは徹底的に調べると同時に、さまざまな人の意見を聞き、物事をあらゆる角度から捉える努力をしています。自分の探究心と粘り強さを、病気の早期発見に生かしたいと思います。
志望動機
面接官が志望動機を聞く理由は、志望度の高さや自社とのマッチ度合いを見極めるためです。内容に説得力を持たせるために、以下の2点を盛り込みましょう。
- なぜ臨床検査技師を目指したのか
- 数ある転職先の中でも、なぜ応募先を選んだのか
例えば以下のように、自身が経験した具体的なエピソードを絡めて答えると、採用担当者の心に響きます。
臨床検査技師を目指したきっかけは、祖母のがんです。内視鏡検査によって初期の胃がんが見つかり、幸いにも完全治癒しました。1人でも多くのがん患者の命を救いたいと考え、がん検診に注力している御院への転職を決めました。
御院では、チームワークを大切にされています。患者様に良質な医療を提供できるように、迅速な伝達とこまやかなコミュニケーションを心掛けたいと思います。
最近気になったニュースも
社会への関心やその人の価値観、人柄などを知る目的で、「最近気になったニュースは何ですか?」という質問をされる場合があります。ニュース選びのポイントは以下の通りです。
- 1年以内のニュースを取り上げる
- 信頼できる情報源である点を確かめる
- 応募する職種・業種に関連性があるものを選ぶ
- 暗すぎる話題は避ける
面接官は、ニュースの内容について聞きたいわけではありません。候補者の価値観や人柄を知るのが真の目的であるため、自分の意見をしっかり伝える必要があります。
逆質問では何を聞くべき?
面接官が質問して志望者が回答する形式で進みますが、面接の終盤では「何か質問はありませんか?」と聞かれるケースがあります。逆質問は、熱意や意欲を伝えるチャンスです。あらかじめ質問を用意しておきましょう。
面接官に響く逆質問のポイント
応募先で働く熱意がある人であれば、面接官に聞きたい内容は自然に浮かんでくるはずです。的確な質問ができれば、仕事への意欲や前向きさをアピールでき、相手に好印象を残せます。
質問内容に制限はありませんが、業務内容や必要なスキル、将来のビジョンに関するものが望ましいでしょう。例えば以下のように、質問は5つ以上考えておくと安心です。
御院の臨床検査技師には、どのような経歴の方がいらっしゃいますか?
活躍されている方に共通する点があれば教えてください。
臨床検査技師として活躍する上で、最も重要なスキルは何ですか?
入職後はどのような業務からスタートしますか?
忙しい時期や時間帯はありますか?
できれば避けたい対応・質問の例
面接では時間の許す限り、どんな質疑応答にも答えてくれるのが一般的です。入社後に理想と現実のギャップで悩まないためにも、聞きたい項目をピックアップしておきましょう。
質問の内容だけで採否が決まるわけではないものの、以下に挙げるような質問は避けるのが無難です。
- 昇給やボーナス、休暇に関すること
- Webサイトに記載がある内容
- 面接官が既に話した内容
1次面接はお互いのマッチ度合いを確かめる機会のため、給与の交渉は行わないのが基本です。1次面接を通過した人や内定者には、条件を擦り合わせる場が別途設けられます。
面接に臨む際の身だしなみ
医療チームの一員である臨床検査技師には、清潔さが求められます。面接時の身だしなみは、受け答えの内容と同じぐらい重要視されるため、家を出る前に最終チェックを行いましょう。
男性の場合
男性は、黒・紺・ダークグレーなどのビジネススーツを着用します。ベルト・革靴・かばん・ネクタイは、落ち着いた色を選びましょう。ワイシャツは、白無地か淡い色が基本です。
面接での受け答えがどんなに立派でも、服装や髪形に不潔さが表れていれば、面接で落とされる可能性があります。男性は以下の点に注意しましょう。
- 整髪剤で髪がべたついている
- ひげのそり残しがある
- スーツやワイシャツに汚れやしわがある
- 靴が磨かれていない
入室後にコートを脱ぐのはマナー違反です。冬は面接会場の外でコートを脱ぎ、裏地を表にして畳み、片方の腕にかけて歩きましょう。着席後は床に置いたかばんの上に乗せておきます。
女性の場合
女性は、黒・紺・ダークグレー・ベージュなどのスーツに、白無地か淡い色のブラウスを合わせます。靴は黒のローヒール(5cm以内)が基本で、ピンヒール・サンダル・ミュールはNGです。
普段メイクをしない人でも、面接にはナチュラルメイクで臨みましょう。医療従事者という職業柄、香水や柔軟剤の強い香りを漂わせていると、印象ダウンにつながります。華やかなアクセサリーやマニキュア、ブランド小物も控えなければなりません。
髪の色は自然な黒髪が無難ですが、ヘアカラーをするなら明るすぎない7トーンまでに抑えましょう。
事前準備と面接時の注意点
面接で採用を勝ち取るには、事前準備を抜かりなく行うことが重要です。当日は、「自分が面接官だったらどう思うか」を考えながら、笑顔で受け答えをしましょう。好印象を与えるポイントと注意点を解説します。
回答内容を丸暗記しない
回答内容を事前に準備するのはよいですが、丸暗記は避けましょう。キーワードをピックアップし、話す順番を決めておけば、大抵の人はスムーズに受け答えができるはずです。
暗記をすると、内容を忘れた場合にパニックになる可能性が高い上、話し方が機械的になってしまいます。熱量が伝わらないばかりか、コミュニケーション能力が低いと判断されかねません。
面接では、言葉のスムーズなキャッチボールを意識しましょう。面接官の質問の意図をくみ取り、自分らしい表現で伝えるのがポイントです。
明るくポジティブに
臨床検査技師というと、黙々と仕事に打ち込むイメージがありますが、ほかの医療従事者や患者と接する場面が多く、コミュニケーション力の高さが要求されます。
面接での受け答えが機械的だったり、表情が暗かったりすると、面接官は「この人をメンバーに加えても大丈夫だろうか」という不安を抱く可能性があります。
緊張するのは仕方ないものの、明るくポジティブな姿勢を忘れないようにしましょう。意識したいポイントは以下の通りです。
- 相手が聞き取りやすい話し方(声の大きさ・ペース)を意識する
- 質問を最後まで聞いてから話す
- 話すときは相手の目を見る
- 背筋を伸ばす
- 口角を上げ、無愛想な表情にならないようにする
最後まで気を抜かない
面接が終了した途端、緊張の糸がほどけてしまう人がいます。退出するや否やスマートフォンをいじりはじめたり、ネクタイを緩めたりするのは控えましょう。
面接会場の外で関係者に遭遇する可能性もあり、「面接時と態度がまったく違っていた」「マナーがなっていなかった」とうわさになるケースもあります。
常に緊張している必要はありませんが、誰かに見られて困る言動は慎みましょう。特に注意したい行動は以下の通りです。
- 歩きながらスマートフォンをいじる
- 電話をしながら会場の入り口付近をうろつく
- 近くのカフェで仲間に面接の内容を報告する
質問内容を把握して自分ならではの回答を
面接では誰もが緊張するものですが、事前にしっかり準備をしておけば、自信を持って面接に臨めます。面接で聞かれやすい質問を把握し、自分なりの回答を考えておきましょう。暗記に頼らず、要点のみを押さえておくのがポイントです。
臨床検査技師という職業柄、身だしなみは厳しくチェックされるため、服装や髪形の清潔感にも気を配る必要があります。
求人検索サイト「スタンバイ」には、臨床検査技師の求人情報が豊富です。転職を検討している人は、仕事内容や待遇をチェックしましょう。
株式会社キャリ・ソフィア代表取締役一般社団法人ダイバーシティ人材育成協会代表理事大手総合人材サービス会社、JAL系研修会社を経て2011年に株式会社キャリ・ソフィアを設立。人材育成事業を通して5万人以上のキャリア形成に携わってきた。Career Elements CardⓇなどのキャリア教材考案者。大阪府立大学大学院人間科学修士(博士後期課程単位取得退学)。国家資格キャリアコンサルタント。
著書:
自分から動く部下が育つ8つのパワーフレーズ(同文舘出版)
監修者のコメント
面接での第一印象は視覚情報が大きく影響します。清潔感が伝わる身だしなみを整えましょう。受け答えでは、借りた言葉でなく自分の言葉で志望理由を語ってください。業界に関心を持った独自のエピソードを明確にし、臨床検査技師という職業や志望先との適合性を伝えられるようにしましょう。臨床検査技師は、人柄と熱意に加え、論理的思考も重視されます。質問への的確な回答や論理的な話し方を日常から心がけて定着させておくことが大切です。