キャリアアップを目指している人にとって、年収アップは転職で実現したい目的の1つです。年収1,500万円を次の目標として掲げているなら、どのような職を選べばよいのでしょうか?年収水準が高い職業の例と転職のコツ、手取り額の計算例を紹介します。
年収1,500万円を実現しやすい職業
年収1,500万円を目指すのが現実的な職業を、具体的に紹介します。年収1,500万円を実現したいのであれば、年収水準が高い職業を選ぶことが欠かせません。転職難易度が高い職もあるものの、自分が目指せそうなものがないかチェックしてみましょう。
商社パーソン
大手商社で働く商社パーソンは年収水準が高く、年収1,500万円を目指すのも現実的です。ただし、国の職業情報提供サイト「job tag」によると、商社営業の平均年収は578万3,000円(2022年時点)であるため、年収アップを目指すなら大手を狙いましょう。
商社パーソンの主な仕事は、商品仕入れ・生産管理・販売などさまざまです。担当する分野によっては、積極的に国外に行き、商品を仕入れたり販路を開拓したりする仕事もあるでしょう。
大手商社は高年収を実現しやすいだけでなく、やりがいも十分にある仕事です。
出典:商社営業 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
医師
医師も、年収水準が高い職業の1つとして知られています。内科・整形外科・耳鼻咽喉科といった診療科によって年収水準に差はあるものの、年収1,000万円を超えることがほとんどです。
そのため、医師としてキャリアを積めば、年収1,500万円を目指すのも夢ではありません。開業医を目指す道もあります。
ただし、すでに医師免許を取得している人なら経験を積んでキャリアアップできますが、免許を持っていない社会人がこれから医師を目指すのは、あまり現実的とはいえません。
出典:内科医 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
出典:外科医 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
大学教授
大学教員には様々な職階があり、その中で「大学教授」は最上位の職階を指します。大学教授の仕事は、講義をはじめとした教育活動だけでなく、研究活動にも携わります。場合によっては外部で講演会を開催したり、学会に出席したりすることもあるでしょう。
大学教授の年収水準は高く、「job tag」によると1,065万7,000円(2022年時点)です。特定の学問で修士・博士の学位を有しているのであれば、大学の求人を定期的にチェックし、応募できそうなものがないか探してみるのがおすすめです。
出典:大学・短期大学教員 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
パイロット
パイロット(航空機操縦士)も、年収水準が高い職業です。「job tag」によると平均年収1,600万3,000円(2022年時点)となっており、平均で1,500万円を超えています。
なお、一言でパイロットといっても、操縦する機体は旅客機・貨物機・消防用・警察用などさまざまです。
パイロットになるには、航空大学校に入学する方法か、航空会社に入社して養成訓練を受ける方法がありますが、いずれも難易度が高い方法です。
出典:パイロット - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
年収1,500万円に達している人の割合
全就業者のうち、年収1,500万円を達成しているのはどの程度なのでしょうか?総務省統計局が、2022年に発表した「就業構造基本調査」を基に紹介します。
全給与所得者の1.0%程度
同調査によると、2022年時点における日本国内の就業者は6,706万400人です。そのうち、年収1,500万円の報酬を得ている人は67万2,700人でした。従って、割合は以下のように計算できます。
- 672,700÷67,060,400×100=1.003…
上記より、全就業者の約1.0%が年収1,500万円を超えていることが分かります。100人に1人の割合であることを考えると、年収1,500万円を超えている人はそこまで多くなく、実現難易度は高いといえるでしょう。
40代以降のビジネスパーソンが多い
年代によって、年収1,500万円を超えている人の割合が異なります。同調査によると、年収1,500万円を超えている就業者の人数は以下の通りです。
- 15~24歳:300人
- 25~34歳:1万5,100人
- 35~44歳:10万6,600人
- 45~54歳:19万7,500人
- 55~64歳:22万8,300人
- 65~74歳:9万4,600人
- 75歳以上:3万300人
35~44歳から人数が大幅に増え、55~64歳でピークを迎えます。上記のデータから、40代以上のビジネスパーソンに年収1,500万円を実現している人が多いと考えられるでしょう。
年収1,500万円の手取りはどの程度?
年収1,500万円を実現した場合、手取り額はおおむね1,000万円です。以下では、年収1,500万円ちょうどかつその金額を収入として受け取り、ボーナスがない場合を想定して手取り額を計算します。
【社会保険料】約157万円
社会保険料に含まれる具体的なものと金額は、以下の通りです。なお、今回は40歳以上の人のみが負担する「介護保険料」は、計算に入れていません。
- 健康保険料(協会けんぽ48等級 ):6万3,500円/月(76万2,000円/年)
- 厚生年金保険料(32等級):5万9,475円/月(71万3,700円/年)
- 雇用保険料:7,500円/月(9万円/年)
【社会保険料の計算式】
- 762,000+713,700+90,000=1,565,700
年間の負担額は約157万円です。なお、社会保険には労災保険も含まれますが、労災保険料は全額雇用者が負担するため、ここでは計算に入れていません。
出典:令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
出典:令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
【所得税】約210万円
所得税は、収入の全額に対してかかるわけではありません。収入から給与所得控除を差し引いた「所得額」から、さらに所得控除(基礎控除や社会保険料控除など)を差し引いた金額である「課税所得額」に対してかかります。
年収1,500万円の場合、控除される金額は以下の通りです。
- 給与所得控除:195万円
- 基礎控除:48万円
- 社会保険料控除:156万5,700円
【課税所得額の計算式】
- 15,000,000-1,950,000-480,000-1,565,700=11,004,300
上記の課税所得額から所得税額を計算すると、以下の金額が導き出されます。計算には1,000円未満を切り捨てた金額(1,100万4,000円)を使用します。
【所得税の計算式】
- 11,004,000×0.33-1,536,000=2,095,320
上記より、所得税額は約210万円です。なお、生命保険料控除や住宅ローン控除などがある場合は、上記の金額と異なるケースもあります。
【住民税】約111万円
住民税は、居住地の区市町村・都道府県に納付する地方税です。「均等割」として課される都道府県税1,500円と区市町村税3,500円に、所得に応じて課される「所得割」がプラスされて税額が決まります。
先述の課税所得額(1,100万4,300円)から住民税額を計算すると、以下の通りです。こちらの計算も、1,000円未満を切り捨てた金額(1,100万4,000円)を使用します。
【住民税の計算式】
- 都道府県民税:11,004,000×0.04+1,500=441,660
- 区市町村民税:11,004,000×0.06+3,500=663,740
- 合計:441,660+663,740=1,105,400
都道府県民税と区市町村民税を合計すると、約111万円です。
年収1,500万円の家庭の生活水準例
一言で年収1,500万円といっても、具体的な生活水準は家庭によって異なります。世帯人員別の生活水準の例を詳しく見ていきましょう。
以下で紹介するのは、あくまでも一例です。生活費は家庭によって大きく異なるため、参考にしつつも自分のケースできちんと計算することをおすすめします。
1人世帯の場合
1人世帯で年収1,500万円の場合、余裕のある生活を送れます。1人世帯における、1カ月当たりの支出例は以下の通りです。
- 住居費:10万円
- 水道光熱費:2万円
- 食費:5万円
- 日用品費:2万円
- 交通・通信費:2万円
- 娯楽費:3万円
- 交際費:2万円
- 医療費:1万円
- 雑費:2万円
上記を合計すると、1カ月当たりの支出総額は29万円です。月収はボーナスがない場合で80万円以上になるため、非常に余裕があることが分かるでしょう。
具体的な支出金額は家庭によって大きく異なるものの、上記より支出が多かったとしても十分な余裕があります。貯金したり、資産運用で収益を狙ったりすることも可能です。
夫婦2人世帯の場合
2人世帯における支出の例も、チェックしていきましょう。一例を挙げると以下の通りです。
- 住居費:17万円
- 水道光熱費:3万円
- 食費:7万円
- 日用品費:3万円
- 交通・通信費:3万円
- 娯楽費:6万円
- 交際費:3万円
- 医療費:2万円
- 雑費:3万円
上記の支出を合計した金額は、47万円です。世帯数が1人から2人になったからといって支出が2倍になるとは限りません。
手取り額を考えると、2人世帯でも十分な余裕があるといえるでしょう。なお、世帯年収で1,500万円の場合は税負担が少なくなる分、より余裕が出ます。
家族4人世帯の場合
次に、夫婦+子ども2人の4人世帯の例を考えてみましょう。支出例は以下の通りです。
- 住居費:20万円
- 水道光熱費:4万円
- 食費:9万円
- 日用品費:4万円
- 交通・通信費:4万円
- 娯楽費:8万円
- 交際費:4万円
- 教育費:6万円
- 医療費:4万円
- 雑費:5万円
支出額を合計すると、68万円です。上記の計算例では一定の余裕はあるものの、大きな余裕があるとはいえません。
4人世帯になると、住居費・教育費・医療費・娯楽費などが家庭によって大きく異なります。場合によっては生活が厳しくなることもあるため、状況に応じて資産運用などの収入を増やす取り組みが必要です。
年収1,500万円を目指す転職のコツ
年収1,500万円を実現する難易度は高いため、転職するときにはきちんとキャリアプランを考えて、転職の軸を定めましょう。どのように転職活動を進めればよいのかを解説します。
経験・スキルを評価してくれる企業を探す
年収アップが目的の転職では、自分がこれまでに培ってきた経験・スキルを生かし、キャリアアップするのが基本です。そのため、自分の経験・スキルをきちんと評価し、適切な報酬を提示する企業を探さなければなりません。
転職を考えているなら、まずはこれまでのキャリアを書き出してみましょう。一通り書き出したら、転職市場において武器になりそうな経験・スキルが何かを考えます。その上で自分の強みを探し、選考でアピールするとよいでしょう。
状況によっては早めの異業種転職もおすすめ
業種全体の年収水準が低く、希望している年収を実現できる可能性が低い現実に、気付くケースがあります。そのようなときは、業種内でキャリアアップすることを考えるよりも、異業種転職を検討した方がよいでしょう。
ただし、異業種転職は将来性に期待できる若手人材の方が有利です。遅くなればなるほど不利になるため、可能な限り早く決断しましょう。
なお、異業種転職でも同職種であれば、これまでの経験・スキルを生かせる部分があるため、異職種に転職するよりは条件が有利です。
年収1,500万円を実現する上で他にできること
継続的な年収アップを目指し、いずれ1,500万円に到達したいと考えているなら、他にもできることがいくつかあります。具体的にどのようなことができるのかを見ていきましょう。
人脈を構築する
多くの企業が、優秀な人材を獲得することを意識して採用活動を展開しています。さまざまな採用手法が用いられており、その中の1つが社員の人脈を生かす「リファラル採用」です。
従って、普段から人脈を構築していれば、そこから条件が良い転職の話が飛び込むことがあります。また、新しいビジネスの話を聞くケースも考えられるでしょう。
ビジネスにおいて人脈づくりは欠かせないため、すぐに転職しようと考えていない人も普段から意識するのがおすすめです。
テクニカルスキルを高める
年収アップを実現するには、市場価値が高いスキルを習得することが欠かせません。業務に必要な専門的なスキルを総称して「テクニカルスキル」と呼び、その中でも希少価値が高いものを「特化スキル」と呼びます。
年収1,500万円を目指したいのであれば、習得している人が少ない特価スキルの習得に注力しましょう。一例として、ITエンジニアなら扱える人が少ない高度な開発スキル、デザイナーであれば自分ならではのセンスが挙げられます。
希少なスキルを有している人材は転職市場でも高く評価され、好条件での転職を実現しやすくなるでしょう。
計画的な資産運用に取り組む
年収1,500万円を実現する難易度は高いため、すぐにはかなわないケースも多いものです。そのため、転職を含めた労働以外で資産を形成することも欠かせません。
すでにある資産を有効活用するためにも、早めに計画的な資産運用に取り組むのがおすすめです。
きちんと勉強した上で、株式投資・投資信託などの資産運用に取り組めば、徐々に資産を形成することにつながるでしょう。ただし、資産運用にはリスクもあることを忘れてはいけません。
年収1,500万円を達成できる人はごくわずか
年収1,500万円を達成することは、不可能ではないものの難しく、誰でも実現できるとはいえません。そのため、長期的なキャリア形成を意識しつつスキルアップに励み、自分の市場価値を高めて転職することが大切です。
年収アップを目的とした転職を検討しているなら、自分の経験・スキルを生かせる転職先を探すことが欠かせません。
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