転職によって収入アップを実現し、年収2,000万円を目指すにはどのようにすればよいのでしょうか。年収2,000万円を目指せる職種と主なキャリアプラン、転職を成功させるためのコツを紹介します。自分に合ったルートで年収アップを実現しましょう。
年収2,000万円はどの程度の水準?
年収2,000万円を実現している人の割合はどの程度で、平均年収と比較するとどのくらいの差があるのでしょうか。国税庁が発表した民間給与実態統計調査(2022年分)に基づいて紹介します。
出典:民間給与実態統計調査
全給与所得者の0.6%
2022年時点で、全給与所得者のうち年収が2,000万円を超えている人の割合は0.6%です。その内訳は以下の通りです。
- 2,000万円超2,500万円以下:0.3%
- 2,500万円超:0.3%
この結果から、年収2,000万円を超える難易度は高いといえるでしょう。約200人に1人しか年収2,000万円を超えられないのが現状です。なお、過去の調査(2018年~2021年)でも0.5%であり、大きな増減は見られません。
平均年収と比較すると高水準
産業別の平均年収に目を向けると、年収水準が高い産業でも600万円台~700万円台です。具体的な産業と年収の例は以下の通りです。
- 電気・ガス・熱供給・水道業:747万円
- 金融業・保険業:656万円
- 情報通信業:632万円
年収2,000万円は上記の約3倍であり、大幅に高い水準といえるでしょう。全産業の年齢別平均年収を見ると、最も高い55~59歳でも546万円です。
上記の現実を考えると、年収2,000万円を実現するには自分の市場価値を高め、計画的にキャリアアップする必要があるといえます。
年収2,000万円を目指しやすい職種
どのような職種に転職すれば、年収2,000万円が見えてくるのでしょうか。年収水準が高い職として、企業経営者・医師・コンサルタントの3つを紹介します。
企業経営者
きちんと結果を残せる企業経営者であれば、年収2,000万円を超えるのは難しくありません。継続的に成果を出し続ければ、さらに高い年収を得られるようにもなるでしょう。
キャリアアップで企業経営者を目指そうと考えているなら、ベンチャー企業への転職を検討するのがおすすめです。
ベンチャー企業は外部から優秀な経営者を招き入れる目的で、経営者候補の求人を出しているケースがあります。十分な経営スキルや経験・ビジネスに関する知識があれば転職しやすいでしょう。
医師
年収水準が高い職の代表が医師です。中央社会保険医療協議会が実施した第23回医療経済実態調査によると、医療機関によって差があるものの、病院長の職にある医師の平均年収は2,000万円を超えています。
一般の医師でも平均年収は約1,500万円であり、経験を積んで専門医などにキャリアアップすれば年収2,000万円を目指すのは現実的といえるでしょう。
十分な経験を積んでスキルアップし、開業医を目指す道もあります。
コンサルタント
高い成果を出せるコンサルタントも、年収水準が高い職の1つです。ただし、コンサルティングファームによって年収水準や評価体系が異なるため、転職するときはきちんとリサーチする必要があります。
コンサルタントはクライアントの依頼を受け、経営課題を解決するためのサポートを提供する職です。さまざまな案件に向き合い、結果を出し続けられれば、長期的に活躍していけるでしょう。
ビジネスを取り巻く環境は時間の経過によって大きく変化するため、日頃の学習を通じて最新の状況を把握しておく必要があります。学習が好きで常に試行錯誤しつつ、継続的にキャリアアップしたい人に向いているキャリアです。
年収2,000万円を目指すキャリアプラン例
キャリアアップを積み重ねて年収2,000万円を目指すルートを紹介します。比較的実現できる可能性が高いと考えられる、ベンチャー企業の経営者を目指す場合を例にして見ていきましょう。
現職でマネジメント経験や資金調達経験を積む
いずれは経営者を目指そうと考えているなら、さまざまな経験が求められます。求められる経験の具体例は以下の通りです。
- マネジメント経験
- 資金調達経験
- スタートアップ経験
- M&A経験
上記のうち、マネジメント経験は比較的多くの職種で積みやすいといえます。現職でマネージャーとして働く機会や新事業のスタートアップメンバーに参加する機会が開かれたら、チャレンジしてみましょう。
資金調達やスタートアップの経験がある人材は、さらに有利な条件での転職を目指せます。
ベンチャー企業の経営者候補に転職する
転職で経営者になりたい場合、基本的にはベンチャー企業やスタートアップ企業を目指します。ベンチャー企業やスタートアップ企業は高度なスキルを有する人材を確保する目的で、社外から経営者候補を募集するケースがあるためです。
従って、転職を検討し始めたら定期的に求人情報をチェックし、自分の経験を生かせる経営者候補の求人がないか確認しましょう。
一例として、資金調達経験があればCFOを、エンジニア経験があればCTOを目指すのがおすすめです。
年収2,000万円を目指すためにできること
計画的にキャリアアップして年収2,000万円の達成を目指すなら、具体的な目標を定めて努力することが大切です。年収2,000万円を目指すためにやっておきたいことをチェックしていきましょう。
特化スキルを習得する
年収2,000万円を超えるには、需要が高いものの有している人が少ない専門的かつ希少なスキルの習得が欠かせません。そのようなスキルを特化スキルと呼びます。
エンジニアであれば最新の技術を活用するスキルが、財務担当者であれば公認会計士の資格やデューデリジェンスの経験などが該当します。
まずは現職でどのようなスキルを習得できるのかを考え、日頃からスキルアップを意識して学習に取り組むとよいでしょう。
経営スキルを習得して起業する
経営者を目指すルートには、外部から人材を募集しているベンチャー企業を目指す以外に自分で起業する方法があります。どのルートを選ぶとしても、経営スキルを培わなければなりません。経営スキルの一例を挙げると、以下の通りです。
- 起業する分野に関連するテクニカルスキル
- 全般的なヒューマンスキル
- 経営戦略を策定するスキル
- 財務・会計に関するスキル
- マーケティング関連のスキル
他にもさまざまなスキルが含まれるため、1つずつ習得することを意識しましょう。これらは一朝一夕で習得できるものではないため、長期的な努力が求められます。
ビジネス上の人脈をつくる
企業によっては、優秀な人材を確保する目的でリファラル採用に力を入れています。リファラル採用は既存社員の人脈を活用し、知り合いや友人、同窓生などの人材を中心にした採用活動を展開する手法です。
リファラル採用に限らず、人脈からくる転職の話は条件がよい傾向があります。そのため、転職の成功率を高めるには日頃から人脈を構築することが求められるでしょう。
転職だけでなく、起業するときもビジネスパートナーを確保するには人脈が欠かせません。
早めに報酬水準が高い企業に転職する
年収水準が高い企業に転職しようと考えているなら、できるだけ早く行動しましょう。可能であれば、20代前半~中盤で転職するのがおすすめです。
20代中盤までであればポテンシャルを重視した選考を受けやすいため、多少スキルが不足していたとしても転職に成功する可能性が高まります。
ただし、すでに30代になっていたとしても転職が難しいわけではありません。これまでに習得したスキルや経験を高く評価してくれる企業を探すことで、年収アップを目指しやすくなります。
自分の状況に応じて転職の方向性を定め、転職活動に取り組みましょう。
年収2,000万円の手取りを計算
年収が2,000万円ちょうどの場合、手取りがどの程度になるのかを試算してまとめました。今回は年収が2,000万円でボーナスはなく、全額を給与として受け取る場合を想定しています。手取りはおおよそ1,300万円です。
【所得税】約371万円
所得税は、年収から給与所得控除を差し引いた後の所得額に、所得控除をさらに差し引いて課税所得を計算します。課税所得からは、累進課税に基づいて税額を計算し、それに基づいて申告し納税するのが基本です。年収から控除される具体的な金額は以下の通りです。
- 給与所得控除:195万円
- 社会保険料控除:166万7,700円
- 基礎控除:48万円
上記から課税所得を計算すると、以下のようになります。
- 20,000,000-1,950,000-1,667,700-480,000=15,902,300
1,000円未満は切り捨てるため、課税所得は1,590万2,000円です。ここから所得税を計算しましょう。
- 15,902,000×0.33-1,536,000=3,711,660
上記から、申告・納税しなければならない所得税は概算で約371万円であることが分かります。ただし、これは一般的な例であり、個々の具体的な控除額や適用される税率によって実際の税額は異なります。
【社会保険料】約167万円
健康保険・介護保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険の5つを総称して、社会保険料と呼びます。上記のうち、介護保険料を負担するのは40歳以上のみであること、労災保険料は企業が全額負担することから計算では除いています。
年収2,000万円の場合、労働者が納める1年間の社会保険料の具体的な金額は以下の通りです。
- 健康保険料(協会けんぽ加入時50等級):69,500×12=834,000
- 厚生年金保険料(32等級):59,475×12=713,700
- 雇用保険料(一般の事業):20,000,000×0.006=120,000
上記の保険料を合計すると、166万7,700円です。なお、この金額は全額、社会保険料控除として課税所得を計算するときに控除されます。
出典:令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
出典:令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
【住民税】約160万円
居住している道府県民税(東京都では都民税)と市町村民税(東京23区では特別区民税)に対して納めるのが住民税です。住民税を計算するときは年収から給与所得控除を差し引いて所得金額を算出し、さらにそこから所得控除を差し引いて課税標準額を算出します。
課税標準額に税率を掛けて所得割を計算し、そこに均等割を加算した金額を納付します。年収2,000万円の場合、年収から控除される金額は以下の通りです。
- 給与所得控除:195万円
- 社会保険料控除:166万7,700円
- 基礎控除:43万円
各種控除を差し引いて課税標準額を算出するときの計算式と結果は以下の通りです。
- 20,000,000-1,667,700-430,000-1,950,000=15,952,300
1,000円未満の端数は切り捨てるルールにより、課税標準額は1,595万2,000円になります。標準税率を採用している地方公共団体では、住民税額を以下のように計算します。
- 道府県民税(東京都では都民税):15,952,000×0.06+3,500=960,620
- 市町村民税(東京23区では特別区民税):15,952,000×0.04+1,500=639,580
上記を合計した160万200円が納付しなければならない税額です。
年収2,000万円の実現が難しいときの対処法
年収2,000万円に到達する難易度は高く、努力しても容易には達成できないケースもあります。そのようなときはどのようにすればよいかを見ていきましょう。
世帯年収で2,000万円を目指す
1人で年収2,000万円を実現するのは難しいとしても、家族で目指せば実現できる可能性があります。厚生労働省が発表している国民生活基礎調査(2022年)によると、世帯年収で2,000万円を超えている割合は1.4%です。
単独で年収2,000万円を超えている人が全体の0.6%であったことを考えると、世帯年収で目指した方が達成しやすいことが分かります。
家族で事業に取り組むなど、一丸となって年収アップを実現するように努力するとよいでしょう。
長期的な資産運用に取り組む
自分の状況で年収2,000万円を達成するのが難しいとしても、資産運用に取り組んで長期的に資産を形成することは可能です。状況に応じて不動産や株式・投資信託などに投資し、資産形成に取り組むとよいでしょう。
ただし、資産運用にはリスクが伴います。収益がマイナスになったり投資資金を失ったりする可能性があるため、投入する資金額を決めるときや運用先を選ぶときはリスクとリターンのバランスを考慮しましょう。
まずは資金計画を具体的に策定し、どのような資産運用が自分に向いているか考えるところからスタートできます。
年収2,000万円の難易度は高いが不可能ではない
2022年時点で年収2,000万円を実現している人は全体の0.6%と少なく、実現難易度は高いといえます。しかし、必要なスキルや経験を培いつつキャリアアップを目指せば、不可能ではありません。
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