無形商材業界とは何か?形のない商材を扱う難しさとやりがいを解説

無形商材とは、一般的にどのような商材なのでしょうか?無形商材の意味や、有形商材との違いを解説します。また、無形商材を扱う業界や関連する仕事のやりがい、無形商材の営業に従事する際に求められるスキルについても確認しましょう。

無形商材とは何?

受付

(出典) pixta.jp

営業の仕事には、販売する商品によって「無形商材」「有形商材」という分類があります。無形商材とは、何を指すのでしょうか?まずは、無形商材の概要や有形商材との違いを解説します。

確かな形がない商材を指す

無形商材は名称の通り、「形のない商材」です。「形がない」とは、物質的な形を持たない商材を表します。目に見えない労働力・技術・情報・体験などが、無形商材です。

例えば、情報やサービスが当てはまります。サービスには、人材紹介サービス・コンサルティング・技術や体験の提供などが該当するでしょう。

店舗で提供する技術には、ヘアサロン・エステサロンでの施術が挙げられます。体験教室・旅行商品・レジャー施設でのサービスは、体験の提供です。

そのほか、形を持たない商品としては、保険や金融商品も該当します。書面での契約やルールはあるものの、金銭を支払って商品を購入する仕組みとは異なるためです。

有形商材との違い

有形商材とは、「形のある商材」を指します。つまり、店で販売されている食品や電化製品、車などの物質です。

有形商材の特徴としては、何らかの物質を売買する点が挙げられます。制作経費や仕入れ代金がかかるケースが多く、販売・保管スペースの確保が必要なのも特徴といえるでしょう。

劣化する製品であれば、定期的な買い替え・修理も検討の対象となります。使い捨ての製品は、なくなると補充が必要です。

無形商材は基本的に形を持たないため、保管スペースの確保や物質的な劣化による買い替えが発生するケースは、ほとんどありません。

無形商材を扱う主な業界は?

情報交換

(出典) pixta.jp

無形商材を扱う業界は、数多くあります。同じ業界でも、無形商材と有形商材が入り交じっていることは少なくありません。特に、無形商材を扱う頻度の高い業界を紹介します。

金融業界

金融業界では、主に投資商品や銀行でのサービスが無形商材に該当します。

投資商品の投資先は、外貨・企業・国などさまざまです。複数の投資先を組み合わせたファンドや、ETFなど形を持たない金融商品も、証券会社・銀行で取り扱われています。

また、銀行で提供されるローン契約や、窓口での相談サービスも無形商材です。主に金銭を投資・貸し付けするための営業が多く、高額な契約も存在します。信頼性や、金融知識が求められる業界といえるでしょう。

保険業界

保険業界では、さまざまな保険商品を販売しています。医療保険・生命保険・災害保険・個人年金保険・学資保険のほか、車にかける保険など種類は多様です。

どの商品も、金額や内容は顧客の希望・目的に合わせてカスタマイズできるものが中心となっています。

保険営業は、保険加入を検討している人に対して適切な商品や金額設定を案内するなど、細やかな気配りが欠かせない仕事です。

加入が必須となっている保険は少ないため、加入によるメリットを伝え、顧客の問題解決をサポートする積極的な姿勢が求められます。

人材業界

人材業界では、人材派遣や求人情報の提供などの業務を行っています。企業と個人のマッチングや、それらに対する提案が主な業務です。

人材を派遣・紹介する仕事なので、一見有形商材に思えるかもしれませんが、実際に提供されるのは労働力・スキル・知識などの無形商材です。紹介する人材は都度異なり、企業や個人の要望に合わせて提案内容も変化します。

無形商材営業が難しいとされる理由

タブレットを使ったプレゼン

(出典) pixta.jp

営業職の中でも、無形商材の営業は難しいといわれています。なぜ、難しいといわれるのでしょうか?商材の特徴や、営業に必要となる能力について解説します。

個人の営業力が試される

無形商材は、商品の概要をつかみにくいものが多くなっています。特に、使い方や目的によって導入効果に差が出やすい商材は、分かりやすい説明を心掛けなければなりません。顧客に合う商品・サービスを提案し、カスタマイズする柔軟性も求められるでしょう。

有形商材と異なり、目で見て違いや内容を把握しにくいため、担当者の営業力が重要になってきます。商材のメリットを知るだけでなく、顧客が何を望み、どのような課題を抱えているのか見極める力も、無形商材営業では欠かせません。

有形商材と比べると、繊細な気遣いや顧客のニーズを見極める力など、さまざまな能力が求められる仕事です。

商材の品質を担保にしくい

サービスや体験など、商品の品質を一定に保ちにくい無形商材もあります。例えば、美容師のスキルはスタッフによって大きな違いがあり、さらに顧客の好みで評価も変わってくるでしょう。

体験教室や旅行商品の満足度も、一定の品質であるとは言い切れません。サービスを提供するスタッフの力量や、顧客の感覚によって差は生まれます。

有形商材であれば容量や産地、品質などをアピールし、コストパフォーマンスの良い商品であると伝えやすいですが、無形商材ではどれだけメリットを伝えても説得力に欠ける可能性もあります。

販売後も継続したフォローが必要

無形商材には、販売後のフォローが必要なものもあります。例えば、体験教室の講師は参加者に対して、教室に長く通ってもらえるよう気を配らなければなりません。

ヘアサロンの美容師であれば、継続顧客を獲得するための営業も必要になるでしょう。システムソリューションの導入では、導入後に使い方を説明し、定期的なサポートも必要になります。

どの職種であっても、フォローがうまくいかず顧客が離れてしまえば、利益の確保は難しいでしょう。短期解約や1回きりの訪問で終われば、手間だけがかかるというリスクもあります。

有形商材の場合、返品がなければ利益が確定し、フォローの必要がない売り切りの商品も多いことから、「無形商材営業は難しい」といわれるのです。

無形商材営業のやりがい

説明する

(出典) pixta.jp

営業職は、魅力的な部分も多い仕事です。無形商材の営業ならではのやりがいもあります。就職・転職を考えているなら、やりがいを持てそうかどうか判断するためにも、特徴を把握しておきましょう。

自分の営業力を試せる

無形商材の営業は、営業力や自身のスキルによって売り上げが大きく変わるといわれます。多くの契約を取り、高い評価を受けると高収入も目指せるところがやりがいです。

例えば、コンサルティングを務める場合、提案によって顧客の課題が解決できれば評価が上がっていきます。美容師であれば、美的感覚・技術に加えて、トーク力も大切です。

金融業界でも、魅力的な商品を紹介できれば、顧客の利益や購買意欲の刺激につながり追加購入が期待できるでしょう。

さまざまなスキルを身に付けられる

営業職の中でも無形商材に関わる営業は、成長・経験に伴って多くのスキルを身に付けられます。目に見えない商材を販売するには、売り手が工夫して魅力・メリットを伝えなければならないためです。

保険商品の販売で考えると、顧客の年齢・職業・家族構成・予算・希望によって、適切な商品の組み合わせは変わってきます。

単に概要を説明するだけでなく、顧客の生活・将来においてどのような効果があるか、具体例を挙げなければなかなか契約には至りません。魅力を感じやすい提案をし続けることで、ニーズを読み取る力が身に付いていくでしょう。

また、商品の説明に説得力を持たせるために、金融関連の資格を取得するケースも考えられます。営業で身に付けたスキルは、異業種に転職する際に役立つことも多いでしょう。

無形商材営業で成功するために必要なスキル

打ち合わせ

(出典) pixta.jp

無形商材を売る営業として活躍するには、何が必要なのでしょうか?身に付けておきたいスキルを紹介します。どのような場面で役立つのか、確認しましょう。

傾聴力

傾聴力は、顧客の話を聞く力です。単に話を聞くだけであれば誰でもできますが、無形商材の営業は、顧客が話しやすい環境づくりや適切な質問の選択を心掛けます。

リラックスできるような話し方や、相手が答えやすい質問を織り交ぜながら会話を進めていくのです。

営業における傾聴力とは、「顧客に話しやすい相手だと思ってもらうための会話力」や「必要な情報を聞き出す力」とも言い換えられるでしょう。完全な聞き役に徹するというよりは、相づちや質問で会話を広げていきます。

顧客から聞き出した話の中にある、商品への興味や希望、課題を組み立て、適切な商品を勧めることができれば、成約につながるはずです。

論理的な思考力

顧客から話を聞き出し、相手の希望が分かったとしても、すぐに商品を勧められるわけではありません。まずは、顧客の希望や課題解決のためのヒントを、まとめる必要があります。

会話の中から重要なポイントを抜き出し、まとめ上げた上で課題解決を図るには、論理的な思考力が求められます。

顧客に合わせた営業手法も、論理的な思考力があれば導き出せるでしょう。性格や興味の強さ、会話による反応で、どのような営業のかけ方を好ましく思うかはある程度判断できるはずです。

多少強引に勧めた方が決断しやすい人もいれば、強い営業を嫌う人もいます。論理的な考えで見極めができれば、成約につながる確率も高くなるでしょう。

フォロー力

販売後のフォローがしっかりできていれば、長期契約やリピート購入につながります。無形商材では、特に契約後のサポートが必要になる商品が多いため、フォロー力は必須です。

販売する商品の種類によって、どのようなフォローが必要になるかは変わってきます。旅行商品の販売で、来年もまた利用してもらおうと考えるなら、メール・ハガキでのお知らせや割引チケットの送付などがフォローに当たるでしょう。

ヨガ教室を継続利用してもらうために、教室に訪れた生徒とコミュニケーションを取り、ヨガに関する悩みを聞くのも契約後のフォローです。

IT製品の導入後サポートや、更新時の継続意向の確認なども購入後のフォローになります。

無形商材の特徴を把握して営業に挑もう

営業マン

(出典) pixta.jp

形を持たない「無形商材」を扱う業界の営業職は、難易度が高い仕事ともいわれますが、その分やりがいがあり高収入を狙えるケースもあるでしょう。

特に、金融業界や保険業界、人材業界では形のない商品を扱うことが多く、無形商材が多い業界といわれます。

「スタンバイ」でも、無形商材を扱う営業職の求人を探せます。無形商材に該当する商材を把握し、自分のスキル・経験に合う仕事を探してみましょう。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら