報告書の書き方は?作成する際のポイントや手順、目的別の例文を紹介

報告書は、特定の出来事を社内・社外の関係者と共有するために作成するものです。しかし、具体的にどう作成するのか分からない人も多いでしょう。報告書を作成する際のポイントや具体的な手順を、例文とともに紹介します。

報告書を書く目的とは?

デスクワーク

(出典) pixta.jp

分かりやすい報告書を作るためには、目的を知っておくことが必要です。報告書の目的や、盛り込むべき基本的な要素について見ていきましょう。

特定の出来事を報告するためのもの

報告書は、特定の出来事や状況を正確に伝えるための文書のことをいいます。その主な目的は、関係者に必要な情報を共有することです。

報告書を提出することで、関係者が状況を迅速に把握し、適切な意思決定を行えるようになります。トラブルに関する報告書の場合は、問題の原因を見いだす目的もあるでしょう。

また、提出先は社内だけとは限りません。取引先など社外の関係者に向けて作成するケースもあります。

報告書の基本要素

報告書にはさまざまな種類があり、記載が求められる内容は異なります。ただし、基本的に記載しなければならない項目もあるので覚えておきましょう。主な項目は以下の通りです。

  • 日付:作成・提出する日
  • 作成者名:作成する人物の氏名
  • 宛名:提出先
  • 表題:報告の内容を端的に伝える
  • 概要:報告の要点を簡潔にまとめる
  • 本文:詳細な情報を時系列や重要度に応じて記載する

これらの要素を適切に配置することで、読み手にとって理解しやすい報告書が完成します。必要な場合は、関連資料なども添付しましょう。

報告書作成のポイント

書類を手にしているビジネスパーソン

(出典) pixta.jp

報告書を作成するためには、いくつか重要なポイントがあります。作成する際に意識したい3つのポイントを見ていきましょう。

事実と所感を区別する

客観的な事実と所感を明確に区別することが重要です。

事実については、「何が」「いつ」「どこで」「どのように」起こったかを客観的かつ具体的に記述します。一方、所感とは、自分の考えや感想など主観的な意見を述べることです。

例えば、「昨日の15時頃、A社との商談で契約が成立した」は事実、「この契約は今後の業績向上に大きく寄与すると考えられる」は所感となります。

両者を区別することで、読み手は客観的な状況把握と報告者の見解を明確に理解できるでしょう。また、事実と所感を分けて記載することで報告書の信頼性と説得力が高まり、より効果的な情報共有が可能となります。

5W2Hの要素を意識する

Who(誰が)・What(何を)・When(いつ)・Where(どこで)・Why(なぜ)・How(どのように)を明確にすることで、読み手に必要な情報を漏れなく伝えられます。

ビジネスの場合、費用に関する要素が重要になるため、一般的な5W1Hに「How much(いくらで)」を加えた5W2Hを意識することがポイントです。5W2Hを明確にすることで、状況をより具体的に把握でき、適切な判断や対応が可能になるでしょう。

また、報告書の構成が整理され、論理的で分かりやすい文章になります。重要な情報を漏らさず簡潔に伝えるためにも、5W2Hの要素を入れて作成することが大切です。

簡潔で明確な文章にする

簡潔で明確な文章にすることもポイントです。長文は避け、適切な箇所で文を区切ることで、読みやすさが向上します。

また、専門用語や難解な表現は控え、平易な言葉で説明することを意識しましょう。冗長な表現や重複した情報は削除し、必要最小限の内容に絞ることも大切です。

使わなくても意味が通じる言葉が書かれていないかもチェックしてみましょう。これらのポイントを意識することで、読み手にとって理解しやすい文章に仕上がります。

報告書の作成手順

デスクワークをする人物

(出典) pixta.jp

報告書を作成する具体的な手順を紹介します。報告書の書き方に悩んでいる人は、参考にしてみましょう。

作成に必要な素材を集める

作成に必要な素材を集めましょう。素材が十分にそろっていない段階で書き始めてしまうと、内容が伝わりにくくなるだけでなく、書き進めるうちにつじつまが合わなくなる可能性があります。

メモやメール、議事録などの資料を確認し、5W2Hを意識しながら収集することがポイントです。加えて、数値データなどの客観的な資料があると、より説得力のある報告書に仕上がります。

素材がそろったら、報告書の目的に沿って、どの情報を優先的に記載するか検討しましょう。適切な素材選びが、分かりやすい報告書作成の第一歩となります。

作成の目的を明確にする

誰に向けて、何のために書くものかを明確にしましょう。提出先によって、記載すべき内容や表現方法が異なります。

例えば、社内向けでも役員・上司・先輩など、提出先によって内容や書き方が変わります。社内外問わず、相手に対して失礼のないよう、言葉選びにも配慮が必要です。

また、情報共有・問題解決・意思決定のサポートなど、目的によって強調すべきポイントが変わります。読み手にとって価値ある情報を的確に伝えるためにも、目的を明確にすることが重要です。

全体の構成を考えてから書き始める

事前に全体の構成を考えてから書きましょう。構成は、一般的に「表題」「概要」「詳細」の3つに分けられます。

上手にまとめるには、「詳細」から書き始めるのがおすすめです。「詳細」から書くことで、作成者本人が何を伝えているのかを把握できるためです。

続いて、「詳細」の内容に応じて見出しを付け、それを「概要」とします。「概要」は箇条書きにするのがポイントです。

最後に、全体の内容に合った簡潔な「表題」を付けて完成させましょう。構成を意識して書くことで、論理的で分かりやすい報告書になります。

【目的別】 報告書の具体的な例文

タイピングをする手元

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社内に専用のフォーマットがある場合は、その内容に沿って記載すれば問題ありません。フォーマットがない場合は、基本的な構成を知っておくと役立ちます。種類別の具体的な書き方を、例文とともに見ていきましょう。

業務報告書

業務報告書は、上司に対して業務の状況を伝えるための書類です。作成の際は、業務の内容や進行状況のほか、所感や今後の予定についても記載します。

<記載例>

(表題)

今週の業務報告

(作成日)

〇年〇月〇日

(作成者)

営業一課 〇〇

(概要)

  • 訪問営業10件
  • 新規顧客獲得2件

(詳細)

先週のテレアポでアポイントを獲得した10件に訪問・商談を行いました。そのうち、契約成立に至ったのは2件です。年間の売り上げは各社500万円の見込みです。

(所感)

今後の課題は、受注後の納期です。現在、製造ラインに確認中です。

トラブル対応報告書

トラブルを報告する場合、問題の発生から解決までの経緯を明確に伝えることが重要です。影響が社外にまで及ぶ場合は、社外向けの文書も作成します。その際は、事の経緯を報告するだけでなく、冒頭のあいさつ文や謝罪の言葉も必要です。

<記載例(社外向け)>

(宛名)

〇〇株式会社御中

(作成日)

〇年〇月〇日

(作成者)

〇〇株式会社 情報システム課 〇〇

拝啓 平素より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。 このたび、弊社において発生したシステム障害につきまして、多大なるご迷惑をお掛けしましたことを深くおわび申し上げます。 今回の件に関しまして、下記の通りご報告申し上げます。

【概要】

〇年〇月〇日〇時〇分、弊社サーバーシステムの障害により、一部のお客さまがサービスを利用できない状況が発生しました。

【現状】

〇月〇日〇時〇分に代替システムでの運用を開始し、現在は通常通り受注処理を再開しております。

【経過】

  • 速やかに影響範囲を特定し、システム復旧を優先的に実施
  • 代替対応として、別システムでの運用を開始

【原因】

ハードウエア障害に起因するもので、現在詳細な調査を進めております。

【対策】

再発防止のために、システムの保守点検を強化し、定期的な監視を徹底いたします。 現在、全力を挙げて復旧作業および再発防止策の実施を進めております。関係者の皆さまには、ご不便とご心配をお掛けし、重ねておわび申し上げます。 敬具

研修報告書

研修報告書では、受講した研修の内容や得られた知識、今後の業務への活用方法を上司や同僚に伝えます。

<記載例>

(表題)

研修報告書

(作成日)

〇年〇月〇日

(作成者)

マーケティング部 〇〇

(研修名)

リーダーシップ育成研修

(研修実施日)

〇年〇月〇日(〇曜日) 〇〇時~〇〇時

(実施場所)

本社10階会議室

(主催者または講師)

株式会社〇〇〇〇 〇〇氏

(研修内容)

  • リーダーシップの基本概念
  • グループワークによるロールプレーイング

(学んだこと)

チームのモチベーションを高めるには適切なフィードバックが必要である

(実務への生かし方)

  • 部下へのフィードバックのために、日頃から気付いたことをメモしておく
  • 定期的な1on1を実施する

報告書作成時の注意点

デスクワークをする人物

(出典) pixta.jp

報告書を作成する際の注意点についても確認しておきましょう。これらを意識することで、より効果的で信頼性の高い報告書の作成が可能です。

情報が正しいか確認する

報告書に記載する情報の正確性は、非常に重要です。特に社外に提出する場合、相手の社名や担当者の役職などのケアレスミスは、信頼関係を損なう可能性があります。

提出前に、必ず複数回の確認を行いましょう。数値データを使用する際は、自分の記憶だけに頼らないことも大切です。

メモやメールなどの記録と照らし合わせ、正確な情報を記載しましょう。さらに、可能であれば第三者に内容をチェックしてもらうことで、客観的な視点から情報の正確性を確認できます。

具体的に書く

報告書は具体的に記載しましょう。曖昧な言葉や抽象的な表現は、読み手に誤解を与える可能性があります。

例えば、数字に関わる報告をする場合、「かなり」「多くの」などの曖昧な表現は使わず、具体的な数値を記載することが必要です。

また、複雑なデータや傾向を説明する際は、グラフや表を活用するのも有効な方法です。視覚的な情報を加えることで、読み手の理解が深まり、報告書の説得力が増すでしょう。

報告書は読み手に必要な情報を伝える文書

書類をまとめる

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報告書は、読み手が知りたい内容を伝えるための文書です。目的を明確にして5W2Hを意識し、事実を正確に記載しながら作成します。

報告する内容によって、テンプレートは若干異なりますが、基本的な構成を理解しておくことが大切です。読み手を意識し、簡潔で分かりやすい文章を心掛けることで、情報を正確に伝えられる報告書になるでしょう。