タイピングスキルを生かせる職業の1つに「キーパンチャー」があります。幅広い業界で需要があり、柔軟な働き方ができるのが魅力です。主な仕事内容やデータ入力との違い、求人の探し方などを分かりやすく解説します。
キーパンチャーとはどんな職業?
キーパンチャーは、高度なタイピングスキルが求められる職業です。データ入力の仕事と混同されがちですが、求められるスキルや仕事の範囲が異なります。役割と働き方をチェックしましょう。
タイピングのプロフェッショナル
キーパンチャー(keypuncher)とは、手書きの書類や各種データをキーボードで入力する職業を指します。
入力するだけの単純な作業と思われがちですが、キーパンチャーはタイピングのプロフェッショナルです。ブラインドタッチは必須で、ローマ字入力のほかに、テンキーやかな入力などもマスターしなければなりません。
デジタル技術が普及した現代、データ管理は人の手を使わずとも容易に行えますが、機密性の高い書類やデータを扱う際には、キーパンチャーの力を借りる企業が多いようです。
キーパンチ機を使っていた時代も
キーパンチャーという名称は、キーパンチ機に由来します。パーソナルコンピューター(以下、PC)が普及する前は、デジタルデータを処理するために電算機を使用していました。
電算機では、データが穿孔されたパンチカードを読み取って処理します。当時、キーパンチ機でカードの特定位置に穴を空ける作業員はキーパンチャーと呼ばれていました。
PCが普及した現代も、キーパンチャーという呼称は受け継がれていますが、近年は「キーオペレーター」や「データエントリー」などと呼ばれることが多いようです。
「データ入力」の求人との違い
キーパンチャーの仕事内容について、「データ入力と同じではないか?」と疑問を持つ人もいるでしょう。両者の大きな違いは、仕事内容と求められるスキルです。
求人の仕事内容にデータ入力と記載されていた場合、それ以外の事務作業や電話応対が含まれると考えてよいでしょう。顧客や取引先とのやりとりが発生するため、コミュニケーションスキルも求められます。
他方、キーパンチャーはデータ入力の専門職であり、いかに速く・正確にタイピングできるかが問われます。高度なタイピングスキルを有した人でなければ、仕事をこなすのは難しいかもしれません。
キーパンチャーの主な仕事内容
キーパンチャーの仕事内容は、「エントリー」と「ベリファイ」に大別されます。経験が乏しい人は、エントリーからスタートする場合が多いでしょう。
タイピングスキルが試される「エントリー」
エントリーとは、データの入力業務のことです。キーパンチャーのメイン業務であり、タイピングスキルが試されます。データは日本語だけとは限らないため、英語や数字の入力もマスターしなければなりません。以下は、入力内容の一例です。
- 領収書・伝票
- 申込書
- アンケート
- 調査報告書
- 統計データ
- 財務データ
入力にルールがある場合は、あらかじめマニュアルが用意されているのが一般的です。キーパンチャーの経験が浅い人は、エントリーでタイピングの腕を磨いてから、ベリファイを担当することが多いでしょう。
内容の確認・修正を行う「ベリファイ」
ベリファイとは、エントリーが入力したデータの内容を検査する業務です。具体的には、同じデータを再入力し、内容が一致していない部分の確認と修正を行います。
1人目と2人目が入力した後、内容が一致しなかった部分を3人目が確認するケースもあります。
エントリーと違い、ベリファイは入力された内容に誤りがないことを確定しなければなりません。責任を伴うポジションであるため、キーパンチャーとしての経験が豊富な人が担当します。
キーパンチャーとして働く魅力
キーパンチャーには、一般的なデータ入力や事務職とは違った魅力があります。働き方や職場環境を確認しながら、自分に合った職種かどうかを見極めましょう。
在宅ワークが認められる場合がある
PCとインターネット環境があれば、在宅ワークが認められる場合があります。移動時間や交通費が削減できる上、仕事とプライベートの両立がしやすいのが魅力です。
近年は、インターネット上で業務委託の仕事を受注・発注できるサイトが増えています。フリーランスとして仕事を請け負ったり、副業として始めたりする人も少なくありません。
在宅ワークでは、個人情報や機密情報の取り扱いに十分な注意が必要です。データの持ち出しを認めていない企業では、出社して仕事をするのが基本となるでしょう。
人間関係に悩むことが少ない
基本的に個人で行う仕事なので、人間関係をほとんど気にする必要がありません。ほかのスタッフとのやりとりはそれほど多くなく、大部分の時間は黙々と作業を進めます。やるべき作業がルーティン化されているため、慣れれば快適に作業ができるでしょう。
人間関係をストレスに感じる人や、1人で地道に作業を進めたい人にとって、キーパンチャーはおすすめの仕事です。円滑に仕事ができるように、最低限のコミュニケーションや社会人としてのマナーは身に付けておきましょう。
キーパンチャーのつらいところ
キーパンチャーには多くの魅力がありますが、気楽な仕事というわけではありません。求人に応募する前に、大変な部分も知っておく必要があります。
スピーディーな作業が求められる
キーパンチャーの仕事には、スピーディーさと正確さが求められます。入力作業にかけられる時間は決まっており、常に納期や期限を意識しながら作業を進める必要があります。
注意力が散漫になると、スピードが落ちてミスも増えるため、高い集中力を持続させなければなりません。自分のペースでゆっくりと仕事がしたい人にとって、時間に追われる感覚はストレスになり得ます。
ただし、タイピングスキルは数をこなしていくうちに向上します。ブラインドタッチが難なくこなせるレベルになれば、気持ちにも余裕が生まれるでしょう。
キーパンチャー病に注意が必要
1日の大部分をPCの前で過ごすため、首・肩・腕・腰・手首・目などに負担がかかりやすいのがデメリットです。人によっては、職業病とされる「キーパンチャー病」に悩まされるかもしれません。
キーパンチャー病とは、上肢作業に従事する人に見られる症状で、首・肩・腕を中心に倦怠感や凝り、痛みなどを感じます。ひどくなると、集中力や思考力の低下を引き起こすため、そうなる前にケアをする必要があります。
普段から小まめに休息を取ったり、上半身の筋肉をほぐしたりして、体への負荷を軽減させましょう。
キーパンチャーの仕事の探し方
タイピングの速さに自信があれば、未経験でもキーパンチャーを目指せます。スキルの磨き方や仕事の探し方をチェックしましょう。
タイピングスキルを身に付ける
キーパンチャーになるのに必須の資格はありませんが、選考ではタイピングスキルが重視されます。ブラインドタッチだけでは不十分で、スピードと正確さの両方が要求されます。10分間に2,000~3,000字程度の日本語入力ができるように練習しましょう。
タイピングの技能を証明する試験には、商工会議所が実施する「キータッチ2000」があります。試験時間は10分間で、計2,000字のアルファベット・数字・記号が出題されます。
タイピングスキルのほかに、Excel・Word・PowerPointなどのOfficeツールが使いこなせると、仕事の幅が大きく広がるでしょう。
求人を検索する
キーパンチャーは多くの企業が求人を出しています。情報システムや経営コンサルタント、統計データ処理に関連する企業のほか、印刷会社や物流会社での募集もあります。
主な雇用形態は、正社員・契約社員・パート・アルバイトなどです。人材派遣会社に登録する人や、フリーランスで仕事を請け負う人も少なくありません。
キーパンチャーの求人を探す際は、求人情報一括検索サイト「スタンバイ」を活用しましょう。雇用形態・勤務地・こだわり条件で絞り込めるため、自分が希望する求人が簡単に見つかります。
キーパンチャーに挑戦してみよう
キーパンチャーは、幅広い業界で活躍するタイピングのプロフェッショナルです。データ入力や一般事務と違い、データ入力以外の業務はほとんど行いません。在宅ワークが認められる場合もあり、仕事と家庭の両立を目指す人にも適した仕事といえます。
タイピングに自信があれば、未経験者でも採用される可能性があります。スキルを磨いて、ぜひ挑戦してみましょう。求人情報は日々更新されるため、小まめにチェックすることをおすすめします。