アパレルプレスは、ファッション業界で活躍したい人にとって、魅力的な職業の1つといえます。しかし仕事内容や必要なスキルについて、詳しく知る機会は少ないかもしれません。アパレルプレスを目指すなら押さえておきたい基礎知識を解説します。
アパレルプレスの仕事内容
プレスの役割は、自社ブランドの広報・PRです。ブランドの価値を高め、認知度を向上させるために、さまざまな施策を実施します。アパレルプレスが担う代表的な仕事の内容を、詳しく見ていきましょう。
ブランド情報の発信
アパレルプレスの重要な業務の1つに、プレスリリースやSNSを活用した情報発信があります。自社製品を購入してもらうには、まずはブランドや商品を、消費者に知ってもらう必要があるからです。
例えば新商品のプレスリリースを作成し、雑誌やファッション系webメディアに向けて配信したり、InstagramやXなどのSNSを用いてブランドの世界観を表現したりします。
テレビ番組や雑誌の取材に、自ら対応することも少なくありません。
サンプル貸し出し
雑誌やテレビを見ていて、モデルやタレントが着用している衣装と同じものを欲しくなった経験がある人は多いのではないでしょうか。
撮影に使う衣装の多くは、アパレルプレスがスタイリストに貸し出すサンプルです。最新コレクションの洋服や小物のサンプルを管理し、適切なタイミングで貸し出すことで、ブランドの露出を増やし、認知度向上に貢献します。
サンプル品は、ほとんどの場合1つのアイテムにつき1つしかないため、管理には細心の注意が必要です。貸出状況の把握や商品の検品、返却後の確認など、綿密な作業が求められます。
カタログや広告の制作
アパレルプレスは、カタログやポスター、広告原稿など販促物の制作にも関わります。ブランドの世界観や商品の魅力を視覚的に伝える制作物は、販促活動の要です。
制作会社の営業担当・デザイナー・フォトグラファーなどと協力し、コンセプトの立案から完成までを統括します。
業務は企画会議参加・ラフ案チェック・撮影の立ち合い・最終チェックと多岐にわたります。撮影では遠方のロケ地に行くために早朝に出発したり、屋外で長時間過ごしたりするケースも少なくありません。
イベント企画と運営
ファッションショーや展示会などの企画・運営も、プレスの担当業務です。イベントを通じて、ブランドの魅力を直接メディアや消費者に伝える機会を創出します。
ここでも、コンセプト立案から会場選定・関係者との調整・当日の運営まで、幅広い業務が待っています。
例えば、新コレクションのファッションショーでは、モデルやスタイリスト選び、招待客リストの作成、メディア対応などが必要です。
展示会では、ブランドの世界観を表現する空間づくりや、バイヤーへのプレゼンテーションなども重要な役割です。
アパレルプレスに求められるスキル
メディアや消費者に向け、ブランドの魅力を効果的に伝えるためには、どのようなスキルが求められるのでしょうか?アパレルプレスに必要なスキルを紹介します。
コミュニケーション能力
アパレルプレスは、多くの人とかかわる職種です。このため、高いコミュニケーション能力が求められます。
例えば、取材の機会やサンプルの貸し出し依頼を増やすには、メディアやスタイリストとの良好な関係構築が欠かせません。「またあのブランドを使いたい」と思ってもらえるような間柄になれるように、気を配る必要があるでしょう。
イベント運営や販促物作成も、多くの関係者の協力なしには進まず、外部との調整だけでなく、自社のデザイナーや営業部門との連携も重要です。
ファッション業界の知識
アパレルプレスは、誰よりも自社ブランドに詳しくなければ務まりません。それだけでなく、業界全般の知識も必須です。
プレスが業界知識に疎い場合、扱うブランドが業界の中でどのような位置付けにあるのかを理解できず、情報発信の方向性がズレてしまうでしょう。
業界の知識には、ファッション用語・市場動向・トレンド・競合ブランド・各メディアの特性などが含まれます。ターゲットに向けて効率よくPRするには、年代や性別毎の特徴や、地域性なども把握する必要があるでしょう。
作文力やプレゼンスキル
アパレルプレスには、ブランドの世界観や商品の特徴を的確に表現し、メディアや消費者の心をつかむ作文力が求められます。プレスリリースやSNS投稿の効果を高めるためには、決められた文字数の中で、いかに魅力的で説得力のある文章を書けるかが、ポイントとなります。
記者会見やイベントでの、プレゼンテーションスキルも重要です。用意した資料を読み上げるのではなく、場の雰囲気に合わせて自分の言葉でブランドの魅力を語る方が、説得力が増すことはいうまでもありません。
アパレルプレスになるには
特別な資格がなくても、アパレルプレスとして働くことは可能です。特にファッション業界や広報関連の業務経験があれば、目指しやすいでしょう。アパレルプレスになる代表的なルートを3つ紹介します。
販売職からのキャリアチェンジ
販売職からプレスへのキャリアチェンジは、よくあるパターンです。販売経験を通じて得た顧客ニーズやファッショントレンドへの理解は、プレス業務に大いに役立ちます。
まずは、社内公募などを活用して、自社のプレス部門への異動を目指すことが第一歩です。日頃から情報発信やSNS運用に積極的に関わり、PR的な視点を養いましょう。
ファッション関連のイベントに参加し、プレスがどのように働いているのかを見聞きすると効果的です。自己啓発として、ライティングスキルやデザインソフトの操作、SNS運用法などを学んでおくのもよいでしょう。
異業種のプレスから転職
他業界でのプレス経験、PR会社や広告会社での勤務経験は、アパレルプレスへの転職に有利に働きます。業務で培ったメディアリレーションやイベント企画のスキルは、アパレル業界でも大いに役立つからです。
ただし、異業種からの転職では、就業する業界特有の文化や慣習を学ぶ姿勢が求められます。ファッション業界特有の知識やトレンド感覚は、別途習得する必要があるでしょう。
ファッション誌の編集者や、スタイリストとの人脈構築も欠かせません。積極的に業界イベントに参加したり、ファッション関連の情報を収集したりすることで、スムーズな転職が可能になるでしょう。
アシスタントとして経験を積む
販売も広報も未経験の場合、アシスタントとして経験を積む道もあります。アパレルメーカーのプレス部門やPR会社に就職し、専門知識やスキルを身につけていくのです。
アシスタントの主な業務はサンプル管理やプレスリリースの作成補助、イベント準備のサポートなどです。この経験を通じて、業界の仕組みを理解したり、人脈を広げたりできます。
希望の会社に就職するためにも、基本的なPCスキルや電話・メールの対応マナーなど、社会人としての基本は押さえておきましょう。
アパレルプレスに向いている人の特徴
アパレルプレスには、どのような人が向いているのでしょうか?代表的な特徴を2つ紹介します。
ファッションへの強い関心
アパレルプレスに向いている人の最大の特徴は、ファッションへの強い関心と情熱を持っていることです。常に変化し続けるファッション業界で活躍するには、最新のトレンドやスタイルに敏感である必要があります。
単に服が好きというだけでなく、ブランドの歴史や特徴、デザイナーの思想まで深く理解し、その魅力を最大限に引き出す創造力が求められるでしょう。
また、自社ブランドの服を魅力的に見せるため、高いファッションセンスも不可欠です。
柔軟性とストレス耐性
アパレルプレスの業務範囲は幅広く、その分予期せぬ事態も起こりがちです。イベントの準備が間に合わなかったり、天気の急変で撮影が中止になったりすることも珍しくありません。
プレスには、状況に応じて臨機応変に対応できる柔軟性が必須といえるでしょう。トラブルが続くとそれだけでストレスがたまりますし、広報活動が滞ることで、会社の業績に対するプレッシャーも重くのしかかります。
このような環境で活躍するには、前向きな姿勢とストレスに強いメンタリティーが欠かせません。
アパレルプレスのやりがいと厳しさ
アパレルプレスには華やかなイメージ通りのやりがいがある一方、厳しい側面も存在します。それぞれ、詳しく見ていきましょう。
最新トレンドに触れられる環境
常に最新のファッショントレンドに触れながら働けることは、アパレルプレスの大きなやりがいといえます。業界の最前線に身を置き、新しいデザインや素材、スタイリングを他に先駆けて知ることが可能です。
自分が発信した情報が、トレンドに影響を与えれば、大きな手ごたえを感じられるでしょう。人気メディアや有名なスタイリスト、ファッションリーダーなどとの貴重な人脈を形成できるのも大きな魅力です。
ワークライフバランスには課題も
アパレルプレスは、ワークライフバランスを維持しにくい職業でもあります。業務量が多いため、労働時間が長くなりがちな上に、撮影の立ち合いやイベント準備などで不規則な勤務形態になることも少なくありません。
繁忙期は、プライベートな時間を確保しにくい点を覚悟するべきでしょう。華やかなイメージとは裏腹に、地道な作業が多いのも事実です。展示会の準備や商品管理、原稿チェックなど、細かい作業を正確にこなす忍耐力が求められます。
アパレルプレスは最新トレンドにかかわる仕事
アパレルプレスは、ファッションブランドの広報活動を担う職業です。主な業務内容には、プレスリリースや販促物の作成・メディアへの衣装提供・イベント企画などがあります。
さまざまな人とかかわりながら、ファッションの最前線で働けることが、この職業の魅力です。
アパレルプレスへの近道は、販売職からのキャリアチェンジやPR会社からの転職が代表的です。未経験者には、アシスタントして経験を積む道もあります。
今からアパレルプレスを目指す人は、国内最大級の求人情報一括検索サイト「スタンバイ」で、豊富な求人情報をチェックしてみましょう。無料で利用でき、条件に合う仕事を簡単に探せます。