靴職人を目指すには?仕事内容や向いている人の特徴、やりがいを解説

「靴職人」は、ものづくりを仕事にしたい人にとって魅力的な職種の1つです。基本的な仕事内容や年収、向いている人の特徴など、靴職人についての情報を確認しましょう。仕事のやりがいや、働く上での魅力についても紹介します。

靴職人とは

革靴を履く人物

(出典) pixta.jp

「靴職人」とは、具体的に何をする仕事なのでしょうか?まずは、仕事内容や年収など、基本情報を紹介します。

靴の製造・修理を手掛ける仕事

靴の製造を手掛けるのが、靴職人の主な仕事です。場合によっては、自分が製作した靴の修理・調整も行います。

基本的に、靴職人は裁断・縫製・仕上げまで、靴の製造全てに携わることが一般的です。オーダーを受けて作る場合は、依頼者の悩みを聞き、足型を取って靴の原型となる木型を作り上げる工程も含まれます。

既製品の靴とは異なり、ほとんどを手作業で製作するため、1足の靴を作り上げるまでには長い時間がかかります。革靴の場合、革部分の製作だけでなく、ゴム底やヒール部分との接着・縫い合わせも行うなど、作業工程は少なくありません。

年収は約415万円

日本では、フルオーダーに対応できる靴職人の数はそれほど多くありません。手作業で靴を製作する靴職人を含む「靴製造」の仕事に携わる人の年収は、どのくらいなのでしょうか?

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、靴製造の仕事に就く人の年収は2023年時点で414万8,000円でした。

対して、国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均給与は460万円となっています。靴製造の仕事に就く人よりも、平均給与の方がやや高めです。

フルオーダーに対応する靴職人の収入が少ないとは言い切れませんが、靴製造に携わる人の年収は、平均よりもやや少ないことが想定されます。

出典:靴製造 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

出典:令和5年分 民間給与実態統計調査|国税庁

靴職人を目指す方法

靴職人のイメージ

(出典) pixta.jp

靴職人を目指すためには、何をすればよいのでしょうか?これから靴職人を目指したいと考える人のために、一般的な方向性を紹介します。

学校・教室で技術を身に付ける

靴を製作するには、知識や技術が必要です。何も分からないまま、靴を作ることはできません。

靴職人を目指すのであれば、専門学校や教室などで知識・技術を身に付けるのが近道です。1人で靴を作れるようになるまで、基本的な技術を学べます。

日本の専門学校・教室だけでなく、海外に目を向けるのもよいでしょう。海外には靴作りの職業訓練校がある国もあります。靴作りについて学びたいのであれば、本場で技術を学ぶことも検討してみましょう。

工房に弟子入りする

フルオーダーに対応している靴工房には、靴職人が在籍しています。実践的な技術を働きながら身に付けたいのであれば、学校よりも工房への弟子入りがおすすめです。

未経験からでも弟子入りを受け付けている工房もあるため、身近にある工房で人員を募集しているかどうか確認しましょう。

まずは、直接出向いて働けるかどうか確認するのが確実です。工房に弟子を求める張り紙がしてあるケースや、紹介によって弟子入りを受け付けているケースなど、工房によって条件は異なるため確認してみましょう。

未経験OKの求人に応募する

靴の製造に携わる仕事は、多数あります。未経験OKの求人も存在するため、探してみましょう。

未経験OKの一般求人なら、弟子入りとは異なり、最初から正社員として雇用してもらえることもあります。転職を検討している場合は、靴職人や靴製造の求人を定期的にチェックしてみましょう。

靴製造の会社のホームページや店頭の張り紙など、靴製造の求人を探す方法は多様です。そのほか、求人情報一括検索サイト「スタンバイ」で、求人を探してみるのもよいでしょう。

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靴職人に向いている人の特徴

靴を磨く

(出典) pixta.jp

靴職人には、どのような人が向いているのでしょうか?靴を製作する上で求められることが多い資質や、適性について紹介します。

手先が器用な人

靴を作る上で、手先の器用さは欠かすことができません。依頼者の希望通りに靴を作るためには、細かい調整を重ねなければならないためです。

わずかな違いで、靴の出来上がりは大きく変わってしまいます。サイズ通りにきっちりと裁断し、履きやすいように縫製を進めるには、手先の感覚が頼りです。

また、裁断や縫製で失敗すると、最初からやり直しになってしまうこともあります。納期通りに靴を作り上げるためにも、正確な作業が求められるでしょう。

デザインセンスがある人

靴は履きやすさだけでなく、デザインにこだわる人も多い製品です。靴のデザインを考えることも靴職人の仕事のため、デザインセンスがあるかどうかも重要といえるでしょう。

デザインが良く履きやすい靴は好まれやすいため、デザインセンスがあれば靴職人として活躍できます。

もちろん、靴は履いて歩くものです。デザインだけでなく履きやすい靴を作れるかどうかも評価の対象になります。デザインセンスと履き心地を両立させられるかが、ポイントになってくるでしょう。

忍耐力がある人

靴作りは、時間や体力が必要な作業です。工程も多くそれぞれの作業に時間がかかるため、最後まで作業をやり遂げるための忍耐力が求められます。

靴作り中は、地道にコツコツ細かい作業を続けなければなりません。途中で飽きることなく、粘り強い意志を持って作業を継続しましょう。

もともと靴作りに興味があり、細かい処理が好きなのであれば、地道な作業であっても苦痛は少ないかもしれません。ものづくりの作業が楽しくできるかどうかも、靴職人として活躍できるかに関わってくるといえるでしょう。

靴職人のやりがいと魅力

靴を眺める人物

(出典) pixta.jp

靴職人として働くやりがいは、ほかの仕事にはないものです。やりがいや魅力を知り、目指す上でのモチベーションにするのもよいでしょう。

自分の作った靴で人を喜ばせられる

靴職人は基本的に1人で靴を作り上げるため、作った靴によって依頼者に喜んでもらえれば大きなやりがいにつながります。

中には、特別な形の靴が必要で、フルオーダーでの製作を熱望している人もいます。自分が作った靴によって、依頼者の生活がより良くなったのであれば、職人として喜ばしいことでしょう。

依頼者と職人がやりとりをしているのであれば、お礼の言葉を直接聞けることもあります。実際に履いている姿を見せてもらえるケースもあり、自分の靴が役立っている様子も分かるでしょう。

認められれば収入につながる

靴職人の収入は、靴の料金によって変わります。原材料や作業時間も関係するとはいえ、基本的には高額な靴を作れば作るほど収入もアップしていくでしょう。

多くの依頼者が「高い靴であっても製作してもらいたい」と感じるようになれば、作業に見合った収入を得られるようになります。

特に、フルオーダーの高級靴は作るのに時間がかかることもあり、料金は高い傾向です。1足数十万円で販売されている靴もあるため、一流の靴職人として認められれば収入に困ることはないでしょう。

海外進出のチャンスも

海外ではもともとフルオーダーの靴の文化が浸透しており、靴職人に靴を作ってもらいたいと考える人も多くいます。日本人が作るフルオーダーの靴は海外でも認められているため、有名な靴職人になれば海外への進出も狙えるでしょう。

たとえ数年待ちであっても魅力的な靴であれば待つという富裕層は多いため、国内だけでなく海外に目を向けて仕事をするのもおすすめです。

海外進出をするには、正確な技術や斬新なデザインなど、靴職人として高度な技能を身に付けなければなりません。まずは、技術を身に付けるところから始めましょう。

靴職人の仕事にはやりがいも多い

手に持った革靴

(出典) pixta.jp

靴職人は、フルオーダーの靴を製作する職人です。修理や細かい調整なども担当し、靴作り全般に対する深い知識と技術を兼ね備えています。

日本では工場による大量生産が主流で、靴職人の数は多くありません。しかし、フルオーダーの靴を必要とする人は一定数おり、需要は高まっています。

知識や技術を身に付けるために、学校や教室で学ぶことも可能です。すでに靴職人としての技能を身に付けている職人への弟子入りや、靴製造の求人に応募する方法もあります。

これから靴職人を目指すのであれば、靴作りのための知識・技術を学んでいきましょう。